【GILLE】海外の人たちがJ-POPのヒッ
トソングを年代別、ジャンル別に知る
ことができる
これまで4枚のJ-POP英語カバーアルバム『 I AM GILLE.』シリーズをリリースしたGILLEがベストアルバムを発表! 彼女のパワフルなヴォーカルが、アイドル、アニメ、さらに往年のスタンダードナンバーといった幅広い楽曲で堪能できる一枚に仕上がった。
取材:桂泉晴名
ベストアルバムの新録はお笑いコンビ、クマムシの「あったかいんだからぁ♪」ですが、まさかこの曲がくるとは思いませんでした。
ふふふ。でも、私とプロデューサーは“これしかない”という話をしていたんですよ。今、一番耳にする曲ですしね。私たちチームは常にフィーリングで突っ走ることに徹しているから、“この音楽がいい!”と思ったらやっちゃうんです。だけど、すごく大変だったんです。この曲でみんなが知っているところって、あの有名な“あったかいんだからぁ〜”の部分だけじゃないですか。だから、私たちもそこだけしか考えていなくて。でも、実際は…。
どういった部分が難しかったですか?
最初、曲中で3、4回転調していることに気付いてなかったんです。今回、ギタリストの押尾コータローさんとコラボレーションさせていただいたのですが、押尾さんは曲の途中でカポを変えなくてはいけないっていう。さらに2、3回くらいリズムも変わるので、リズムを戻しつつ、カポも動かさないといけない。PVを撮り終わった後、押尾さんから“かわいい後輩だから引き受けたけど、やってくれたな~”って笑いながら言われました(笑)。いや、本当に大変だったんですよ! だから、押尾さんにはすごく感謝しています。
そんな苦労があったとは! でも、おかげでとてもおしゃれな感じに仕上がっていますね。
押尾さんとは去年の夏に音楽イベント『音霊OTODAMA SEA STUDIO 2104』で初めてご一緒して、「いとしのエリー」をボサノヴァ調でやらせていただいたんです。今回、その時のアレンジをイメージしてお願いしました。「あったかいんだからぁ♪」は冬の曲じゃないですか。でも、夏も聴ける、夏バージョンみたいな感じにしたかったんですね。私は宮崎県出身なのですが、地元に帰ってドライブをしている時に、気持ち良く聴きたいっていうイメージなんです。今、オリジナル曲も作っているんですけれど、今年いっぱいは“車を走らせている時に、目に映る情景とリンクするような楽曲を作りたい”と思っているところなんですよ。
確かに、しっとりとした感じで、夏に聴きたくなりました。
ぜひ! 宮崎大使としては宮崎にお越しいただき、レンタカーを借りて、地元の名所である“青島”を走りながら「あったかいんだからぁ♪」を聴いていただきたいです(笑)。
それは素敵なプランですね。押尾さんとの「あったかいんだからぁ♪」のPVも楽しい雰囲気でした。
あれはまったく台本がなかったんです。当初の予定としては、“向き合って撮りましょう”とスタッフさんに言われたんです。でも、“控室やプライベートで会っている、いつもの押尾さんと私を見てもらいたい!”って言って、それで急きょ“セットなし”になったんです(笑)。
そう言えば、今回の「あったかいんだからぁ♪」は、楽曲の肝となる《あったかいんだからぁ》の部分を《Hot&kind with the love》と表現されているのでも、なんとなく“あったかいんだからぁ”と聴こえますね。
最初、そのまま日本語で“あったかいんだからぁ”にしようかなと思っていたのですが、やはりGILLEの得意とする英語でいこうと。オリジナルに対するリスペクトで、似ているように聴こえる英語を探しました。
さらにベストアルバムには、小林明子さんとの「恋におちて」、ゴダイゴのミッキー吉野さんとの「MONKEY MAGIC」、鈴木このみさんとの「林檎もぎれビーム!」などフィーチャリング曲も収録されていますが、PVを拝見するとアーティスト同士のいい空気感がすごく出ていますよね。
大先輩と一緒にやらせていただくことになり、とても緊張していたんですけれど、小林さんはすごく気さくに話してくださって、一気に心を開けたというか。小林さんの包み込むやさしさがあったからこそ、あの雰囲気が出たのだと思います。ミッキー吉野さんは、私がレコーディング中に気分がノッて軽くフェイクを入れると、キーボードを弾きながらニヤってされるんですよ。それが褒め言葉な感じがして、とても嬉しかったです。音楽の中で大先輩の表情が緩む瞬間があるのは本当に嬉しいし、その経験ができたことが幸せだなと思います。鈴木このみちゃんとは東京と広島でライヴをさせていただいたんですけど、お互い声が太くて大きいので、ハモった瞬間、モニターの声量がバツーンってくるんですよ。『 I AM GILLE.4~Anime Song Anthems~』の時、私が彼女に惚れて“一緒に歌いたい”とプロデューサーにお願いしたんですけど、ライヴで共演して改めて“自分も頑張らないと!”といい意味でのプレッシャーがかかりましたね。
今回のベストアルバムは、まさにJ-POPの歴史大全みたいな、ありとあらゆるジャンルがそろったラインナップになりましたね。
確かに(笑)。最終的には、GILLEの『 I AM GILLE.』というアルバムを聴くと、海外の人たちがJ-POPのヒットソングを年代別、ジャンル別に知ることができる…みたいにしたいんです。選曲についても純粋に“この曲をやりたい!”と思える曲を選んでいて。それが許される間は、わがままにやっていこうっていう話をプロデューサーとはよくしています。
GILLさんにとって“いい曲”という基準だから、これだけ幅広い楽曲が集まるんですね。
でも、まだまだたくさんあるんですよ。特に『I AM GILLE3.~70's&80's J-POP~』に関しては、自分の声域が足りなくて歌えなかった曲があったり、力不足でプリプロの段階でダメと言われた曲も何曲かあったので。でも、それが表現者としてすごく悔しくて…。改めてボイトレに取り組み、“こうやってやればいいんだ!”ということを学んで、今はまた声域が少し広くなりました。だから、何年後かに、もう1回カバーできるかもしれないです。
アーティスト
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