【Hello!!!】自然界のどこかで生まれ
た、透明な結晶のような一枚
L→R 灰野勇気(Gu)、道原シンジ(Vo&Gu)、岡田真帆(Dr)、かーや(Ba)
Hello!!!となって初めてのリリースとなるミニアルバム『海辺のグッドバイ』は、シンプルでありながら浮遊感があり、聴き終えた後にも想像を膨らませるような余韻が残る楽曲が収録されている。そんな今作について道原シンジ(Vo&Gu)に訊いた。
取材:高良美咲
2015年3月7日にバンド名を“ELECTRIC LUNCH”から“Hello!!!”に改めましたが、結成からはどのような活動を行なってきたのでしょうか?
結成当初は、ただ単純にひたすら自分たちがいいと思う楽曲を作ってライヴをするということの繰り返しでした。そして、その活動の中で仲間が増えてくるとともに、イベントを開催したり、どんどんまわりを巻き込んでいこうと活動していくようになりました。去年行なった、下北沢連続イベントもその流れです。
Hello!!!となって初めてのリリースとなるミニアルバム『海辺のグッドバイ』の制作はいつ頃から始めたのですか?
作り始めたのは去年の9月頃、レコーディングは12月からですね。よりシンプルで芸術性の高い作品を作ろうと思い作曲に入りました。他に候補曲はありませんでした。なぜかと言うと、実はこの作品の制作に取りかかる前に1年以上かけてアルバム1枚分の楽曲を作っていて、それをレコーディングする予定だったんです。でも、まだいける、まだ満足にはほど遠い、と思って全曲作り直したのが『海辺のグッドバイ』なんです。だから、全曲今作に向けて一気に作った曲で、曲数も決めていたので候補曲は他にはありません。
タイトル曲「海辺のグッドバイ」はヴォーカルやコーラスと楽器の絡みなどに浮遊感があり、PVの 独特の世界観も面白かったです。
サウンドに関してはRIDEやアーケイド・ファイアを参考にしたところは大きいです。浮遊感やコーラスワークとかはまさに。それらを取り入れながらも、伝わりやすいシンプルな言葉をシンプルなメロディーに乗せて印象に残りやすい楽曲を作ろうとしたんです。コーラスワークで、より目立たせたいところやサビが耳に残るように、リバーブで浮遊感を持たせつつも輪郭やインパクトやゴージャス感を出したくて。PVはELECTRIC LUNCHからHello!!!に飛び出すようなイメージの作品にしたいと思ってました。
ミニアルバムのタイトルにも“海辺のグッドバイ”と名付けられたわけですが。
“海辺のグッドバイ”をタイトルにしたのは、このアルバムを作るきっかけになったから。自分たちの新しい可能性を見つけるきっかけになった楽曲で、ここから一気に他の曲を書いたので、僕らにとって「海辺のグッドバイ」は今作の始まりであり象徴なんです。
「世界をのぞむ家」は語りかけるような歌詞で、ストーリー性のある曲ですね。
辿り着きたい幸福をイメージして書きました。僕は海辺育ちで、海に特別な感情があるんです。いつか海辺で、ともに暮らし守りたい恋人と穏やかな生活を送れたらどんなに幸せなことだろう、美しいことだろうと、そのイメージを上手く書けた気がします。
「cinema」「BIRTHDAY」のように、全体的に言葉の繰り返しやリフレインが多く、どこか虚無感がある歌詞が多いと思いました。
ひとつのフレーズを繰り返すことで、その曲で言いたい核をはっきりと出したい、伝わるようにしたいと思ってわざとそうしています。“結局言いたいことはコレ”って。虚無感…あるかもしれないですね。物を作る人はみんなそうかもしれないと思うんですけど、僕は物作りである以上、虚無感や孤独感は常に側にあるものと思っていて。今作は素直に感じてるものを全部出してやろうって気持ちだったので、その結果だと思います。だからって、別に暗く生きてるわけじゃないですけど(笑)。
声にエフェクトがかかった「holyland」は少しダークな印象も受けたのですが、聴き終えた後にも想像を膨らませるような余韻を残しますね。
悲しみと、あるひとつの世界での絶望を美しく表現したかったんです。そんなものも美しく描けるんじゃないかって挑戦しました。
アルバムの最後を締め括る「また明日もどうか会いましょう」はサウンドもシンプルで、曲調も穏やかな約7分の大作で。
「また明日もどうか会いましょう」もシンプルで伝わりやすい言葉と、押し付けがましくならないような、やわらかな泳ぐようなメロディーになるように意識して作りました。サウンドのひとつになるくらいに。そして、アレンジもシンプルに。ギターアレンジはギターソロは控えてなるべく印象的なフレーズを。ありきたりな日常での喜びや、忘れたくない大切なものを想起させるような曲にできたんじゃないかと思います。そして、穏やかな曲を作りたかった。そこもうまくいったんじゃないかと。
制作で挑戦したことはどういったところでしたか?
挑戦したことは、やはりコーラスワーク。6本くらい重ねてるとこもあります。あとは、ギターはカッコ良いギターソロよりも耳に残りやすいフレーズを練り込みました。聴きどころです。
今作の中で、思い入れのある曲を選ぶとしたら?
「BIRTHDAY」ですね。空っぽな人形のような自分を書いたんです。歌詞で《生まれ変わる》《心が欲しい》ってあるんですけど、書き終わったら本当に生まれ変わったような気持ちになってました。だから、明るく前向きなサウンドにもなっています。レコーディングでは一番コーラスを重ねて、まさに挑戦してレコーディングで一番進化を遂げた曲ですし。
制作で得られたことはありましたか?
新たな自分の武器や、新たにこれから身に付けたい武器が見つかりました。作曲にあたって、次に進みたい方向ややりたいことのヒントも見つけました。自然界のどこかで生まれた、透明な結晶のような一枚になったと感じます。それはきっと、心の中にあったものを結晶にかたちにできたってことだと感じています。リスナーの方々にはいろんな場所や場面で好きに聴いてほしいですね。ひとりでゆっくり聴いてほしい。
リリース後の活動についても教えてください。
ツアーもあるし、ライヴをやっていくのはもちろんなんですが、先程も言った新たに身に付けたい武器を身に付けて、いろんな景色を見て、いろんな体験をして…いち人間としての成長をしてそれを楽曲に活かしたいですね。さらなる優れた作品を作りたいです。そこでまた、まったく新たな挑戦をしたいです。
最後に、今作を通して初めて出会う人に、Hello!!!というバンドを説明するとしたら?
淡く美しいサウンド、でもその中に輪郭のあるメロディーが光のように射すシューゲイズドリームポップ。
アーティスト
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