【POLYSICS】どれだけウルトラ怪獣に
愛を注げるか
L→R ヤノ(Dr&Vo)、ハヤシ(Gu&Vo&Synthesizer&Programming)、フミ(Ba&Synthesizer&Vo)
POLYSICSの『HEN 愛 LET'S GO!』シリーズ第二弾は“ウルトラ怪獣”! 小学生の頃から愛してやまないウルトラ怪獣への“異常で過剰な愛情”を表現した楽曲たちに注ぎ込まれた、ハヤシ(Gu&Vo&Synthesizer&Programming)の圧倒的熱量と偏愛に震えろ!
取材:フジジュン
ミニアルバム『HEN 愛 LET'S GO! 2 ~ウルトラ怪獣総進撃~』は、異常なほどの愛と熱量を感じる作品でした!
熱いし、濃いでしょう!?(笑) もともと、俺が人より偏った愛情を注いでると言えば怪獣だよねってところから始まったのが、この“HEN 愛シリーズ”なんですよ。ライトなところからということで、まずは“食”をテーマに一枚作ったんだけど。
あ、そういう流れだったんですね。で、いざ完成した怪獣編にはマニアックな怪獣ばかりがセレクトされていて…
そう、そこがポイントですよ! バルタン星人とかゼットンとかピグモンとか、メジャーな怪獣ももちろん好きだけど、もっと自分の怪獣愛を分かりやすく伝えるためには、メジャーじゃないところでアピールするしかないと思ったんです。この9体を選ぶのもDVDを改めて端から観直して、すごい時間をかけました。“これなら歌にできる!”って、ばっちりはまった怪獣だけを選んだんです。例えば、“円盤生物 アブソーバ”って怪獣がいて、曲にしたかったんですけど、話がとにかく暗すぎてダメだったり…。
そんな怪獣、全然知らないです!(笑) ひとつ気付いたのが、怪獣って悲哀の部分も魅力じゃないですか。で、今回は振り切ったアッパーな曲ばかりですけど、怪獣って必ず負けるから、どの曲も歌詞に悲哀の部分がありますよね。
確かに。毎週違った怪獣が出ては倒されて、子供の頃はそれが楽しかったけど、大人になって観返してみると“ゴモラってこんな可哀想なヤツだったんだ!?”と思ったりして。《ジョンスン島で そっとしておいて》って歌詞があるんですけど、人間が何もしなかったらひっそりと生きてたのになと思って書いた歌詞だったりしますね。あと、そういう怪獣の悲哀の部分も好きだけど、何より怪獣のデザインが好きなんです。ゴモラも“古代怪獣”がテーマだから、恐竜っぽさを残しながら、この尖った角とか前のめりの首の角度とか、すごいシンプルかつ洗練されたデザインじゃないですか!
「怪獣チャンネル ~電波怪獣ビーコン登場~」では、歌詞でデザインやルックスを褒めまくってますね(笑)。
まん丸な目鼻と、背中のトゲのギャップが最高でしょ?(笑) 怪獣の強烈なデザインが幼心にショックだったし、次はどんな怪獣が出てくるんだろう?ってすごく楽しみでしたね。あの衝撃やワクワクはずっと覚えてるし、今観てもすごいし。
円谷プロ全面協力、総勢9匹の怪獣とコラボという夢の企画ですが、円谷プロにラブコールを送って実現したということですか?
そうです。直接お願いしに行ったら、すごく好印象でした。“まずはデモを聴かせてください”と言われたので、「燃えろ!超獣地獄 ~一角超獣バキシム登場~」を最初に作ったんですけど、相当気合い入れて作りましたね。改めて観返したけど話も面白かったし、怪獣の声やロケットの爆破音を聴いて“これは曲にできる!”と思いました。正規の怪獣の声をお借りして、最初に聴いた時はすげぇ興奮しましたよ!
怪獣も歌ってるようで、ちゃんとコラボしてますね(笑)。
あと、歌詞は“身長65メートル、体重7万8,000トン”とか、“強いぜ”みたいなものにしても意味ないなと思って。自分のセンスも伝わるものにしなきゃいけないのが難しかったかな。だから、ほんと「From バンダ星 ~ロボット怪獣クレージーゴン登場」とかも最初は歌モノだったんだけど、あえて物語に関係ない歌詞を最低限で入れて、口笛を入れたりしましたね。あの口笛はクレージーゴンが夕日をバックに倒されるシーンが切なくて、それを口笛で表現したんですけど…。
それは説明してもらわないと分からないです!(笑)
この曲をどこに入れるかは悩みましたね。ゴモラは凶暴で暴れる感じを出したかったんで、BPM速めのデジタルハードコアのイメージで、最後はゴモラとデュエットしてって。
ハヤシさんがほぼ曲を作り上げてという感じだったのですか?
今回はそうですね。「宇宙からの贈りもの ~火星怪獣ナメゴン登場~」もあえて非人間的で非効率なベースラインをフミにガチガチに弾いてもらうことで、自分たちのテクノ感みたいなのを出したり。でも、「From バンダ星 ~ロボット怪獣クレージーゴン登場」とかは自分がデモで弾いてたガチガチにエディットした音を聴いたフミが、“この独特のエディット感がオルタナっぽさを増してる”ってアイデアをくれて、俺のベースをそのまま使ったりしてます。
POLYSICSの曲としてという視点もあるわけですよね。
もちろん。でも、今回はライヴのことは一切考えなかったな。ライヴのことを考えるとやりたいことが制御されちゃうと思って、考えるべきは“怪獣に対する偏愛、どれだけ愛を注げるか”ってことだけだと思って。やりたいことをやり切った感じでしたね。だから、TDも普段だったら、ちょっと過激すぎるかな?と思って調整する部分を、もっと過激にしたり。電子音や怪獣の鳴き声がダイレクトに突き刺さるものにしたいと思って、遠慮せずにやりました。
そこで遠慮してたら、あの頃、ハヤシ少年に衝撃を与えた円谷作品に近づけないですしね。きっと、ウルトラマンを制作していた人たちも遠慮や加減はしてないはずですよ。
絶対してないでしょ(笑)。ウルトラマンはそれまで前例のないものを全力で作って、その作り手の熱量が画面から伝わってきたからこそ、観る側も衝撃を受けたわけですから。それに関わるものを作るなら、自分もそういうものにしなきゃいけなくて…なんか、すげぇ良い話してるな(笑)。
しかし、これだけ愛情を持って熱く振り切った作品を作ったら、POLYSICSの次の作品にも何か影響を与えそうですね。
影響はあるでしょう、それは自分でも思う。やっぱり思いっ切りやるのが似合ってるバンドだなっていうのも再認識したし、振り切ったものを作ろうってところで同じ方向を向けたのも大きかったし。次の作品も期待してください!
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