【SuG】10代の初期衝動を今の感覚で
かたちにしたかった
L→R Chiyu(Ba)、shinpei(Dr)、武瑠(Vo)、masato(Gu)、yuji(Gu)
3月9日の“SuGの日”にメジャー初のミニアルバム『VIRGIN』がリリースされる。ヒリヒリしていて、切なくて、危うくて、やんちゃな曲の数々はある意味、彼らの本質。変わらぬ純情が詰まっている。
取材:山本弘子
活動再開以降の楽曲のみで構成されたメジャー初のミニアルバム『VIRGIN』がリリースされますが、初々しさも攻撃性も痛みも秘めている良いタイトルですね。
武瑠
シングル「teenAge dream」を書いた時にテーマは初期衝動がいいなと思っていたんですけど、“じゃあ、初期衝動を英単語で表したら何だろう?”って考えたら、自分の場合は“VIRGIN”がしっくりきたんですね。未完成な部分や危うさを秘めている言葉だなって。で、“初”というところで、そういえばメジャーでミニアルバムを出してないなって。
タイトルありきだったんですね。ミニアルバムのサイズで出したかったとか、そういうこだわりは?
武瑠
それもありました。インディーズ時代のミニアルバム『I SCREAM PARTY』(2007年)は初めてアートワークを自分で考えて、初めて作曲してやりたいことを全力でやった思い出が詰まってるんです。そういう初期衝動を今の感覚でかたちにしたいと思ったのが『VIRGIN』ですね。
曲作りにおいても初期衝動だったり、ヒリヒリするような感覚は大事にしたのですか?
yuji
曲はそこまで意識してないですね。最後に収録されている「Smells Like Virgin Sprit」だけは、♪ウォーウォーってコーラスができる曲にしたいっていうテーマがあったけど。
Chiyu
フェスで演奏したい曲っていうね。
SuGのアンセム的な楽曲になっていますものね。
yuji
全員が同じテーマをもとに曲を作って、スタジオでみんなの曲のいいとこどりをして組み立てていったんです。この曲だけは昨年のヨーロッパツアーで全カ所、演奏したんですよ。初披露なのに一発でお客さんが会場で一緒に歌ってくれました。
ヨーロッパツアーのドキュメンタリーも初回限定盤Aに収録されてますが、テロがあった時期で大変だったのでは?
yuji
テロ予告とか、いろいろありましたよ。ロシアのライヴの日は近所に爆弾が投げ込まれたようだし、ロンドンの会場に移動する日は地下鉄の爆破予告があったし。
masato
そればかりは避けようがないですからね。ツアーに出た以上、行くしかないって。ドキュメンタリーには楽屋風景とか観光している映像も入っていますけど…
shinpei
みんなのタガが完全に外れてるんですよ。めっちゃ楽しそうな映像になってる。
yuji
会場で赤ワインとか飲みまくってる(笑)。もしかしたら無意識に防衛本能が働いて、テロとかの現実を忘れようとアホになってたのかもしれない。
Chiyu
アホになったほうが楽しかったけどね(笑)。
それもドキドキの初体験ですね(笑)。『VIRGIN』は衣装、MV、音楽がひとつのテーマでつながっているのですか?
武瑠
音楽も歌詞も映像も服も10代の時に自分が初めて触れたバンドや映画やファッションがテーマになっています。 「teenAge dream」と同じことを違う言い方で歌っているのが、「Smells Like Virgin Sprit」なんです。
《もう うんざりだ なのに最高だろ?》っていう歌詞がグッときます。
武瑠
“Heavy Positive Rock”っていうコンセプトを思い付いた時の感覚に戻りたかったんですよね。衣装は10代の時に好きだったヴィヴィアンウエストウッドの服を取り入れていて、漫画『NANA』の影響でパンクカルチャーを知ってヴィヴィアンを知ったところがあるから、リード曲「桜雨」のMVは“東京のシド&ナンシー”をモチーフに撮ってるんです。
shinpei
「桜雨」のようなバラードをリード曲に持ってくるのは久しぶりですね。
Chiyu
SuGのイメージを考えるとスローな曲をリードに持ってくるのは、今の自分たちならやり切れると思ったし、どの曲もSuGにしかできないことがやれていて、SuGのいい味がちゃんと出せてる。
ラブソングにも性急感がありますね。
武瑠
曲調が明るくても全体にそういう感覚はあるかも。
SuGが今なお持ち続けている青臭さというか。
masato
どう作ってもSuGにしかならないというのは、みんな実感しているところですね。前回のフルアルバム『BLACK』を作ってバンドの底上げができたので、それを踏まえて全力で作ったからこそ一曲一曲にパワーのあるものが作れたんだと思います。
shinpei
全曲“シングルで出せるレベルの曲”という課題があったんですけど、ちゃんとそれがかたちにできましたね。個性の違う7曲が収録されている面白さもあるし。
yuji
自分が書いた曲は『VIRGIN』の中ではテンション高めですけど、この数年は背伸びして曲を作ったり、演奏していたところがあって。今回は基本、自分が演奏していて楽しい曲を書いたので、ツアーでは突き抜けるようなライヴがしたいですね。
ヴァージンな体験が多い青春真っ只中の人たちにアルバムがどんなふうに響いたら嬉しいですか?
shinpei
初めて聴いて衝撃を受けた音楽ってあるじゃないですか。『VIRGIN』がそういうふうに響いたら嬉しいですよね。初期衝動として、その人の中にずっと残るような。
武瑠
今回は、メッセージを届けるというより、主観で書いた歌詞が多いんですよ。勇気付けられたり、ライヴでストレスが発散できたりとか、それが俺らができることの上限だと思っているんですけど、その上限のできる限りのことをしたいという熱量はこもっているかもしれないですね。受け取った人の人生に責任はとれないけど、できることは全部やった。
ツアーも楽しみです。
yuji
俺らがキッズみたいな気持ちで回れたらすごくいいツアーになると思う。キッズになるのはもう無理かもしれないけど(笑)。
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