【黒木渚】作り上げてきた世界観は絶
対に崩してはいけない

バラエティー番組への露出で一気に知名度を上げた黒木渚。注目を浴びた今だからこそ発売するのは、黒木渚節全開のダンスチューン!
取材:吉田可奈

最近はバラエティー番組に出演するなど、活躍の幅を広げていますね。みなさんからの反響はいかがですか?

私が公務員をしていた過去の経験などを面白がってもらっての出演になったんです。最初はどうなるか不安だったんですが、これまでのジャケ写やタイトルのイメージで聴かず嫌いだった人たちや、初めて観る人たちに、“黒木渚って暗いだけの人じゃないんだ”って思ってもらえたらしく(笑)、YouTubeでの再生回数が増えたり、ランキングが上がったり、黒木渚の音楽への興味につながったので、すごくいい経験になりましたね。

そんな話題に持ち上がった今のタイミングで発売される新曲「ふざけんな世界、ふざけろよ」の歌い出しが黒木渚節全開の《チクショーチクショーふざけんな》で、なんだか嬉しくなりました(笑)。

あはは。ありがとうございます。実は新曲を作った時に、“この歌い出しはやめたほうがいいのでは?”という意見も出たんですよ。でも、これまでもこの世界観に誇りを持ってずっと真面目に作ってきたからこそ、スタイルを崩してはいけないと思ったんです。

そんな歌詞が乗るサウンドがすごくダンサブルで、ギャップに驚きました。いつ頃作られたのですか?

実は他の曲でシングルをリリースすることが決まっていたんですが、事情があって、新しい曲を作らなくてはいけなくなってしまったんです。でも、予定通り同じ発売日に出すには、残り2日で曲を完成しなくちゃいけない状態になってしまって…。最初の1日でなんとなく作り上げたんですが、夜中に“これじゃダメだ!”って一度全部捨てたんです。その瞬間、なんだか笑えてきたんですよ。あと24時間しかないし、今が黒木渚にとって大事な時期だというのも自覚しているからこそ、聴き手の腹に一発入れるようなものじゃないと意味がないし…。

考えただけでドキドキしてきます(笑)。

ですよね(笑)。でも、ピンチの時に笑いが出るという状況を実感した時に、困難を乗り越えるために一番適しているのが笑いなんじゃないかと思ったんです。その時に、ユーモアやコメディー、音楽の力を借りて、“チクショー”を笑い飛ばす曲にしようと思い付いてから一気に書き上げました。まさに窮地に追いやられたからこそ、この曲ができたんです。

ということは、歌詞が先に生まれたのですね。

はい。リリースが春なら、花見をしながら、カーニバルのように踊れる曲が聴きたいと思ったんです。この歌詞がドギツイものだからこそ、そういった曲を付けてバランスをとることにしました。

ピアノのフレーズがすごく印象的でした。

私もアレンジしながらずっと踊っていました(笑)。チャップリンのようなコメディー映画って、調子の狂ったピアノがぽろぽろ鳴っているイメージがあったんです。そこにダンサブルなフレーズが入ることで、聴いてくれる人たちが踊ってくれたらいいなと思って作り上げたんです。1曲を通してずっとクラップが入っているので、ライヴではこの曲をみんなで歌えたらいいなって思います。

みんなで“チクショー”って歌えたら最高ですね。

本当に最高! きっと、今はみんながそれぞれいろんな“チクショー”を抱えていると思うんですよ。でも、それを抑えなくてはいけないじゃないですか。その気持ちを、黒木渚のライヴで思い切り発散してもらえたら嬉しいですね。

「ふざけんな世界、ふざけろよ」 2016年04月06日発売
Lastrum

  • 【初回限定盤A(DVD付)】
    LASCD-0067 2484円

  • 【初回限定盤B(DVD付)】
    LASCD-0068 2484円

  • 【通常盤】
    LASCD-0069 1296円

黒木渚

クロキナギサ:数奇な生い立ちと逆境まみれの運命との闘争を、音楽と文学と生き方そのもので果敢に表現し続けるアーティスト。強い女の生きざまや内省的メッセージを伝えるシンガーソングライター、独創的な娯楽ストーリーを生み出す小説家、演劇的な仕掛けや驚きに満ちたライブ・パフォーマーとして、唯一無二の黒木渚というジャンルを広げ続けている。

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