【KEYTALK】NGナシのバンドだったこ
とを思い出した

L→R 小野武正(Gu&Cho)、首藤義勝(Vo&Ba)、寺中友将(Vo&Gu)、八木優樹(Dr&Cho)

現在入手不可能なインディーズ時代の限定盤EPをコンプリートした『KTEP COMPLETE』。そこに収録されている初期KEYTALKを支えた楽曲たちにまつわる思い出や、インディーズ時代のエピソードなどをたっぷり語ってもらった。
取材:フジジュン

当時の音源に恥ずかしさもあるけど、青さもひっくるめて聴いてほしい

まず、このタイミングでインディーズ時代の作品をまとめたアルバムをリリースするというのは、どんなところから生まれた話だったのですか?

小野

これはKOGA RECORDSのCEO(KOGA社長)が温めてきた企画で。ずっとタイミングを見計らってたと思うんですけど、今だったんでしょうね(笑)。でも、収録曲には今もライヴでメインでやってる曲もあるし、お客さんもYouTubeやiTunesで聴いてくれてたけど、限定生産なので盤は購入できなくて。こうしてコンプリート盤として、盤で購入できることは喜んでもらえると思うし、僕らもインディーズ時代の曲をまた新しい気持ちでライヴで演奏できるのが嬉しいです。

前回のツアーで、(首藤)義勝くんが“このリリースに関しては納得してない”って話してませんでしたっけ?

首藤

話がねじれてますね(笑)。「MABOROSHI SUMMER」の別バージョンが事務所に眠っていて、それを今回のボーナストラックに入れたいという話をKOGAさんがしたんですよね。嫌だなぁと思いながら返事をないがしろにしてるうちに、収録されることが決定していたのをネタにしただけです。

小野

で、義勝さんの怒りのボルテージが下がってきた頃にリリースという。やり方が上手いですよね(笑)。

あはは。やっぱり当時の音源を改めて聴いて、恥ずかしさや照れ臭さもありますか?

首藤

ガンガンあります(笑)。だから、その青さもひっくるめて聴いてほしいみたいな、開き直りにも近い気持ちです。聴く側にしたら、そこの良さもあるんじゃないかと思うし。

八木

僕はすげぇ恥ずかしいし、自分のプレイはあんまり聴きたくないです(笑)。ただ、改めて聴くとみんな若くて、まだつたないし、視野も狭いけど、その中で精いっぱいやってる感じがあって、その良さがあるのも分かるんですけどね。

寺中

今作には「KTEP」(2010年3月発表)から、「KTEP FREE」(2013年11月にライヴ会場で配布された非売品CD)と時系列通りに収録されているので、少しずつ成長していってるのも分かるしね。どんどん現在のかたちに近づいている感じが見えるのもすごい面白かったし、できていないこともあるけど、当時は当時でいろいろ考えながらやってたんだなって感心しました。

「KTEP」が2010年3月リリースなのですが、改めて音源を聴いて当時のことも思い出しました?

首藤

そうですね。当時はプロデューサーのTGMXさんやKOGAさんやエンジニアの及川勉さんに“レコーディングってこういうもんなんだ”と一から教えていただいて、アーティストとは何ぞや?ということをだんだん学んでいった感じで。右も左も分からなくて、ヴォーカル録りとか本当に緊張してました。

小野

最初は前身バンドのrealの頃からあった曲をTGMXさんと一緒にリアレンジしたり、その後にリリースするミニアルバム『TIMES SQUARE』(2010年7月発表)を見越して新曲を作っていく中で、「amy」ができてきたりして。

寺中

TGMXさんに“とにかくいろいろやって、その中から方向性を見つけていこう”と言われたのを覚えてますね。例えば2ビートの曲とか、シャッフルの曲とか、自分たちにないリズムの曲を課題として出されて作っていった覚えがあります。

小野

あと、KOGAさんからもアイデアをもらったりね。

寺中

そうそう。歌詞も“英詞か日本語詞かにこだわる必要はない”と言われて、日本語と英語が半々くらいになっていったり。最初の頃はとにかく幅広かったですね。

新しいことに挑戦するのは楽しかった? 大変だった?

首藤

僕は大変でした。(小野)武正が引っ張って、八木がドラムでアプローチしていくところに、必死でついていかなきゃみたいな。ワクワクするという感じではなかったです。

八木

でも、新しい可能性を引き出してもらったTGMXさんやKOGAさんには、今もすごい感謝してます。KEYTALKは今も“何でもやってみよう精神”があって、NGナシのバンドですけど、昔からそうだったんだなというのを思い出しましたね。

そうやってどんどん新しいことに挑戦をしていくことが、自分たちの力になってると感じたのはいつだった?

八木

「KTEP2」(2012年5月発表)の頃には変化した証拠というか、自分たちがこうしていきたい!という方向性が出せてた気がします。ミニアルバム『SUGAR TITLE』(2011年11月発表)を出して、完全に振り切れました。

首藤

『SUGAR TITLE』の頃には、英詞より日本語詞のほうがいいのかな?とか、4つ打ちのリズムがいいのかな?とか、やりたいことが見えていましたね。それが「KTEP2」には如実に出ています。「MABOROSHI SUMMER」があって、武正節が出てる「color」があって、その後の“祭りシリーズ”に続く巨匠(寺中)の「祭りやろう」があって(笑)。

今作にはその頃のライヴ映像も収録されますね。

小野

この頃、一気にお客さんが増えたんだよね?

寺中

そう。名古屋とか大阪とか、東京以外にも足を運ぶようになって、取り置きのチケットが増えてすごいテンションが上がったり、その土地で切磋琢磨するバンドが出てきて、一緒に企画するようになったり。ライヴをやってる意味を感じられたのが、この頃でしたね。ライヴが増えてお客さんの反応を見ることによって、曲作りにも影響が出たりもして。

バンドを形成するいろいろが作られて、それが上手く循環し始めたわけですね。当時のライヴ映像は改めて確認しました?

八木

…僕は怖くて観てないです。

寺中

八木は映像も写真も一切見ないんですよ(笑)。

八木

見ると全部消したくなっちゃうと思うんで、見れないんです。大丈夫です、全てお任せします!

わははは! すげぇな、一切チェックしないメンバーがいる中、リリースされちゃうんだ(笑)。

小野

僕も『SUGAR TITLE』の初ワンマンの映像は、これまで一度も観てなくて。でも、つい最近観たんですけど、めちゃくちゃ良かったです(笑)。今とは全然違うんですけど、逆に今はこんなライヴできないなと思って、すごい刺激受けました。

首藤

俺はシラフじゃ観れないなぁ…。

寺中

僕もチラチラは観ましたけど、冷静に観れなかったですね(笑)。10年後くらいにじっくり観たいです。

八木

あと3年じゃない? 3年経ったら、もう別人だよ(笑)。

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