【SPICY CHOCOLATE】“今と未来”と
“僕とキミ”
ジャケットのモデルに鈴木奈々を据えた新曲は、Ms.OOJAと寿君をフィーチャリング。長く付き合っているカップルのピュアでハートウォームなラブソングに仕上がった。
取材:石田博嗣
今回のフィーチャリングアーティストのMs.OOJAさんと寿君は、キャラ的な部分でもこの曲にぴったりなキャスティングだと思いました。
KATSUYUKI
先にテーマがあったんですよ。曲ができるのと同時進行でこのふたりがいいなっていう想いが浮かんできたというか。Ms.OOJAは歌声が素晴らしいし、書く歌詞も独特の世界観があるし、寿君も声に特徴があるので、今回はこのふたりと一緒にやらせてもらいました。
その時点で楽曲は完成していたのですか?
KATSUYUKI
なんとなくのテーマは決まっていただけで、そこからトラックを準備して、歌詞をMs.OOJAと寿君が悩みながら書いていきました(笑)。煮詰めて煮詰めて降ってきた言葉もあったり。
寿君
僕、大阪にいてたんで、テレビ電話でのご挨拶やったんですけど、その時にテーマを決めましたね。KATSUYUKIさんに“男の人と女の人の恋愛観ってどう思う?”って訊かれたんで、男の人は未来を大切して、将来は女の人を守っていく立場やけど、女の人は今を大切しているから、“今、会いたい”って言う…そういう“未来”と“今”とちゃいますか?って。
KATSUYUKI
そこが軸になっていったよね。そこから“今と未来”と“僕と君”というテーマにまとまっていったというか。
歌詞はMs.OOJAさんと寿君の共作なのですが、その作業はどのように?
寿君
最初にもらった音源に鼻歌みたいなものが入ってて、 “ずっと”って言ってるようなってイメージがあったから、“最初に僕が何小節か出します”って言って、最初のバースの部分…歌い出しの《知り合った頃の僕は本当何もなくて》の8小節を持って行って、残り部分とMs.OOJAさんの部分を一緒に作っていった感じですね。音源をもらった時にイメージが沸いてたんで、一緒にスタジオに入って、スタジオの中の別々の部屋でそれぞれ書いていました。Googleのリリックを書くアプリを使ってたんで、それにMs.OOJAさんが歌詞を書くと、僕のところにバーンって共有されて出てくるんですよ。だから、同時進行で歌詞ができていったというか。
歌詞を書く時に意識したことはありますか?
寿君
ジャケットをやってくれている鈴木奈々さんの恋愛観というのもテーマとしてあったんですけど、そこに僕の恋愛観もプラスしました。Ms.OOJAさんが身の回りにあるものを使って生活感を出してくれていたんで、僕は男のストレートな気持ちというか、広い層に共感してもらえるようなランゲージを使って気持ちの部分を表現しましたね。
つい小言を言ってしまう彼女と、それに慣れっこになっている不器用な彼氏という感じが、すごく出てますよね。
KATSUYUKI
そういう世界観ですよね。長く付き合っているカップルというか。
寿君
“長く付き合っている”っていう部分と、“今と未来”と“僕と君”というテーマと、パズルがばっちりとはまりましたね。
《二人なら大丈夫だよ》と言葉が、ひとつのキーワードになっていますね。
寿君
そこ、Ms.OOJAさんが出してくれはったんですけど、《お揃いのグラスも あの頃より色褪せても 大切なものもきっと増えたね》ってところもやばいですよね(笑)。心を鷲掴みにされる。
KATSUYUKI
さすがだよね。どんな恋愛をしてきたのか訊きたくなる(笑)。
さっき寿君が言われていたのですが、歌詞を書く前にジャケットに鈴木奈々さんを起用することは決まっていたのですか?
KATSUYUKI
決まっていました。今回は鈴木奈々さんということで…奈々さんって彼氏と長く付き合っていたし、すごく彼氏のことが好きなのに、なかなか彼氏は構ってくれないっていう話も本人がされていたので、そういう世界観が歌詞に出せればいいかなって。長年付き合っているカップルが、なかなか“好き”って言えなくなっているんだけど、お互いがお互いを大切に思っている…そういうストーリーになればいいなって思ってました。
そんな歌詞が乗るトラックはすごくやさしくて温かいのですが、そこは意識して?
KATSUYUKI
やっぱりやさしさだったり、温かさを出せればいいなってのは思ってましたね。あと、ちょっとイメージしていたのは、80年代のラバーズのレゲエ。そういうものを下地にして作ったので、昔からレゲエを知っている人はなんとなく懐かしく思えるような曲調になっています。大音量で聴いてもらえばベースも響いいてくるし、ちゃんとクラブ仕様にもなっているので、そういうところも気にして聴いてもらえればと思いますね。
実際のレコーディングはどうでしたか?
寿君
今まで中で一番レゲエっぽくて、すごい乗りやすかったんで、書いた歌詞に対して素直に歌が吐けましたね。最初のMs.OOJAさんのパートってレゲエっぽく聴こえないというか、Ms.OOJAさんの曲のように聴こえるけど、そこから僕のパートに入るってところで…やっぱりレゲエというジャンルで配信するわけだから、ここはレゲエアーティストとしてバシッと完璧に飾り付けをせんとあかんっていうのは思ってました。だから、レゲエ独特の間の取り方を意識してやってましたね。
これはいい意味でなのですが、レゲエとはいえ、それ以前にポップスとして受け止めていました。
寿君
うんうん。《君と 会えない時も》のところとかDRAKEの「Hotline Bling」のサビ前の抜けを意識したりして、最先端の音楽のツボみたいなものも入れていて…最近、ヒップホップを聴いたりしてるんで、時代のニーズじゃないけど、そういうフロウも意識してたんですよ。SPICY CHOCOLATEのメンバーで、トッラクメーカーのWolfJunkさんが“寿君のこういうところが寿君らしいんですよ”って言ってくれて…メロディアスなんだけど、韻を踏んだ言葉が詰まっているのが寿君っぽいって指導してもらったんで、後半の8小節にメロディーを付けてみたり。そういうのって自分だけじゃ気付かない部分だったから、“そうやったんや! だったら、もっとこうすれば自分らしくなるかな”ってことにも挑戦できました。
トラック作りの部分でもレゲエに縛られないことを意識したり?
KATSUYUKI
そうですね。僕はレゲエ畑から出てきたんですけど、レゲエレゲエしたものよりも、掘り起こしていったら土台は全部レゲエだけど、その上に新しいものを積んでいくような作り方をしているので、レゲエととらえる人もいれば、J-POPとしてとらえる人もいるでしょうね。たくさんの人に聴いてもらいたいっていうのがコンセプトとしてあるので、そういう作り方になっています。
今回、どんな曲に仕上がったと実感がありますか?
KATSUYUKI
Ms.OOJAと寿君の良さをちゃんと出せたし、みなさんの恋愛観にも近い楽曲になったんじゃないかなと。この曲と同じ状況のカップルもいると思うので、そういう人たちに聴いてもらって、仲良くふたりで…SPICY CHOCOLATEはひとりでも多くの人を元気にしたい、愛とか勇気とかを与えたいと思って楽曲を作っているので、そういう一曲になればいいなって思っています。
寿君
今年のSPICY CHOCOLATEの曲というよりも、この先もずっと聴き続けてほしいですよね。歌詞に“携帯”とか“ポケベル”というランゲージも入ってないから、10年後や20年後に聴いても“めちゃくちゃいい曲やん!”ってなると思うし。日本のデュエットソングを代表する曲になればいいですね。カップルで仲良く歌ってほしいです。
話をうかがっていてすごくレゲエへのこだわりを感じるのですが、おふたりにとってのレゲエはどういうものになっていますか? 少年期に触れていたレゲエはレベルソングだったと思うのですが。
KATSUYUKI
戦うレゲエでしたね(笑)。僕にとってのレゲエはライフスタイルだし、レゲエによって人生をいい方向に導いてもらっている。いろいろ恩恵を受けているので、その恩を返せればと思って音楽をやっているところがありますね。その恩返しが何かって言ったら、レゲエをひとりでも多くの人に届けることだったり、知ってもらうことで、レゲエで人に力を与えたり、愛を教えれればなって思ってます。僕も若い頃は“愛とか関係ない”とか思ってたんですけど、年齢を重ねていくと大切な人がいなくなったり、家族がどんどん減っていったりするので、そういう中で愛の大切さを知ったというか。レゲエはレベルミュージックを歌いながら、ラブミュージックも歌っている。そういうジャンルってなかなかないんですよね。反抗と愛の両方を表現できるのってすごいなって、改めてレゲエの素晴らしさを感じてます。で、この日本に足りないのは愛だってことで、僕はラブソングを作っているというか。
寿君
僕もKATSUYUKIさんと同感ですね。自分もレゲエ畑から出てきたので、やっぱりレゲエのシーンに貢献したい。レゲエってジャマイカで生まれたものだし、僕も毎年ジャマイカに行ってるんですけど、ジャマイカで聴くとはまるんですよ。レゲエにはジャマイカという国の問題だったり、貧しさだったり、生活や文化だったりが背景にあるので。だから、それをそのまま“これがレゲエやねん!”って日本でやっても、環境が違うから響かないと思うんですね。この日本で感じたことを自分で噛み砕いて、自分の音楽として表現することが、僕にとってのレゲエかなって。今回の曲みたいなラブソングって日本人全員に共感してもらえると思うんで、レゲエの良さをレゲエを聴かない人にも分かってもらう…そうやってレゲエに貢献したと思っています。ジャンルのルールなんて、僕らが動いたあとにできてくるものなんじゃないかなって思うし。
アーティスト
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