【魔法少女になり隊】歌でしか伝えら
れないことってあるんです。歌が魔法
なんです!

L→R 明治(Gu)、gari(VJ&Vo)、火寺バジル(Vo)、ウイ・ビトン(Gu)

2016年最重要バンドとの呼び声も高い、魔法少女になり隊がついにメジャー進出! あらゆるサブカルチャーを詰め込んだ特濃サウンドの背景を4人のメンバーが語る! 魔女に呪いをかけられて喋ることができない火寺バジル(Vo)は懸命に筆談で答えてくれたよ。
取材:帆苅智之

魔法少女になり隊はシングル「KI-RA-RI」でメジャー進出を果たすわけですが、魔法少女になり隊というRPGの中では、今、バンドの物語はどの辺まで進行しているところですか?

gari

最初の街を出たところでしょうか。

明治

扉を開けて…

ウイ・ビトン

“出発だぞ!”と。

gari

ここから始まっていくという。

火寺バジル

『わたしはチュートリアルを終えたくらいだと思います。』

なるほど。実際、傍から見ていても、インディーズデビューからここまでは随分早いテンポで進んできたバンドである印象はあります。

ウイ・ビトン

それはメンバー自身も思っているところで。コンテストの優勝をきっかけにいろんな人たちに知ってもらって、そこからの流れはすごく目まぐるしいものだったなと感じてます。

gari

そのコンテストが2年前の夏ですね。

ただ、魔法少女になり隊のメロディーのクオリティーの高さを考えると、メジャーデビューまでの早さにも納得です。全曲、すごくキャッチーで親しみやすいメロディーですよね。

明治

ウイさんは“こんなのどう?”って曲を持ってくるんですけど、毎回“もうこれでお願いします”という感じで(笑)。いつも楽曲として完成するのが楽しみなんです。

gari

いつも曲が先なんですけど、メロがめっちゃキャッチーなので、歌詞を乗せる前のデモの時点でも“あ、これはいい曲になるな”と思うことが多いですね。

「KI-RA-RI」収録曲はもちろんのこと、インディーズ作品も常に一定のクオリティーで、所謂ハズレがないんですよね。

火寺バジル

『“こんなバンドがあったら好きになるだろうな”と思う曲ばかりで。新しい曲ができるのを、わたしが一番楽しみにしているかもしれないです。』

このメロディーの立ち方は尋常じゃないと思ってまして、RPGに例えるなら、通常、初期装備は“ひのきのぼう”辺りが相場なのに、いきなり“はがねのつるぎ”のような感じだと思うんですよ。

全員

ははははは。

ウイ・ビトン

“ちょっとずるくね?”みたいな?(笑)

いや、チートというような意味ではなくて(苦笑)、それゆえにメジャーデビューの早さも頷けるということです。しかも、魔法少女になり隊の恐ろしいところはメロだけじゃなくて、サウンドの密集感も凄まじいところで。歌が超絶キャッチーだから最初はそちらに耳がいくんですけど、途中から“何だ? このラウドなサウンドは!?”と気付かされるんです。

ウイ・ビトン

そうですね。聴いてもらった感想として、“何か他と違う”とか“新感覚”とよく言われるので、それを聞いて“あ、そうなんだ”と気付いて(苦笑)。

サウンドの特異性には意外と無自覚でしたか?

ウイ・ビトン

“この曲の中でこれもやりたいし、あれもやりたい”ってことをやってみたら、こうなっちゃったという。それがそういう評価につながっちゃったんですかね?

火寺バジル

『曲を作る時もカバーをやっている時も、“ラスボスと闘う時みたいなの作ってよ”とか、“これをやったら楽しいね”というのをみんなで出し合って作っている感じなんですよ。』

所謂ミクスチャーと言われるサウンドって“AメロがパンクでBメロがラウド、そしてサビがポップ”というようなパート毎に展開が分かれるものが多いと思うのですが、魔法少女になり隊の場合はあらゆる要素をごちゃ混ぜにして圧縮しているような印象です。

gari

そう言われたのは初めてですね(笑)。でも、確かに自分のヴォーカルにしても無理矢理入れ込んでいるイメージはあります。最初は“これは無理だろう”って思いながら、“あっ、やったらイケるじゃん!”みたいな(笑)。

火寺バジル

『メンバー全員が“これをやったら面白いんじゃない?”というものを詰め込んだ結果がカオス感につながっているというか、そういうところがわたしたちらしさなんじゃないかと思います。』

ウイ・ビトン

ギターに関しては、自分がやれる表現は全部入れてやろうという感じで、入れちゃってますし(笑)。

明治

私は感覚的に好きか嫌いか、でやってるんですけど、それが結果バンドに合っているというか。

火寺バジル

『ギターはウイさんが動なら、めいちゃんが静で、そのギャップが魔法少女になり隊のカッコ良さのひとつだと思ってます。』

ウイ・ビトン

で、俺はそんなふうにメンバー全員が好き放題やったことをちゃんとポップでキャッチーになるように最後調整するんですけどね(笑)。

分かりました。では、歌詞についても聞かせてください。「KI-RA-RI」にしても「MEGA DASH」にしても、歌詞には“魔法少女”という言葉やゲームのキーワードが出てきますが、ここで歌われていることは、“なりたい自分になろう”であったり、“辛くても前向きに進もう”であったり、いつの世も通用するであろう、かなり根源的なことですよね?

火寺バジル

『その通りです。聴く人が自分の状況に合わせて当てはめて聴いてもらえると思います。』

周りを見渡してみると、“言いたいことを口にできない”というバジルさん自身と同じような、呪いをかけられたような子が多い印象をお持ちですか?

火寺バジル

『そうなんです。わたしはずっと歌が好きで、人前で歌うことに憧れはあったんですけど。初めてバンドで歌って、ずっと不安もあるし、うまくいかないもどかしさもあったんです。でも、手を伸ばしてみたら掴めるところにある気がしていて。その気持ちを歌詞に入れてあって。』

《歌よ 届け!》という歌詞が力強いですもんね。

火寺バジル

(うなずく)『歌でしか伝えられないことってあるんです。歌が魔法なんです!』

「KI-RA-RI」 2016年09月21日発売
MASTERSIX FOUNDATION/Sony Music Records

  • 【初回限定盤(DVD付)】
    SRCL-9178~9 1800円

  • 【通常盤】
    SRCL-9180 1300円

魔法少女になり隊

マホウショウジョニナリタイ:2014年結成。ヴォーカルの火寺バジルが魔女にかけられた呪いを解くために冒険している女2&男2のパーティー。ラウドでポップでファンタジー。全ての針が振り切れたRPG系プロジェクト。8bit映像を使い、モッシュ、ダイブ、ヘドバン、ヲタ芸、パラパラが巻き起こるカオスなショーを繰り広げる。ジャパンカルチャーの美味しいところてんこ盛りな彼らにUSA・台湾公演など海外も夢中。16年9月メジャーデビュー。彼らの冒険は始まったばかり。※バンドです。

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