【サイダーガール】炭酸って泡で消え
ちゃう儚さもある

L→R フジムラ(Ba)、Yurin(Vo&Gu)、知(Gu)

期待のニューカマー、サイダーガールがミニアルバムを2カ月連続でリリース! 今月は4thミニアルバム『ジオラマアウトサイダー』の話を中心に、全員に訊いた。
取材:高橋美穂

サイダーガールは全員が作詞作曲しますけど、ひとりひとりの作風ってどうとらえてらっしゃいますか?

フジムラ

知くんの書く歌詞は一番切ないと思います。悲しくはないけど明るくもない、グッとくるっていうか。一番炭酸のイメージに合ってますね。

炭酸ってさわやかっていうだけじゃなく、泡で消えちゃう儚さもある。それは3人の歌詞に出ていると思っていて。僕はフジムラの歌詞が一番センチメンタルな気がしています。

フジムラ

Yurinの歌詞は一番男らしいかもしれないですね。

ド直球だけど視点が違うかなって。「空にこぼれる」もただのストレートじゃないストレートさがあると思っています。

Yurinさんは自分が書いた歌詞じゃない歌詞を歌うことについて、どう思っていますか?

Yurin

楽しいですよ。自分じゃ書けない歌詞や曲だし、わりと僕の声とかも理解した上で書いてくれてる感覚があるので、それをイメージ通りに再現していくことに対する挑戦みたいなものは毎回あります。

Yurinさんは僕がボーカロイドをやってた時から、僕の曲を歌ってくれてて、僕もYurinさんのファンだったので、最初にバンドの曲を作る時も“Yurinさんが歌ったらこうなるんだろうな”って考えていました。

フジムラ

僕も一方的にファンだったんです。好きなところがいっぱいある声で。ただ、今までボーカロイドを使っていたんで、未だに人に歌ってもらう曲作りは悩むところで、いつも音域やメロディーのつなぎで無理させてるんですけど。

Yurin

常に技術を磨いていかないと歌えなくなっちゃうので(笑)、自分がだらけないためにもありがたいですね。

さっき“炭酸のイメージ”とおっしゃっていましたが、バンド名そのものがテーマだったりもするのですか?

最初はテーマとしては付けてなかったですね。語感も大事にしましたけど、ナンバーガールが好きだったのと、炭酸にちなんだ言葉を入れたくて。

なるほど。あと、『ジオラマアウトサイダー』で言うと「ラスト」がシンガロングで終わっていくところが印象的でした。

Yurin

『ジオラマアウトサイダー』の最後の曲なんで、聴いてる人のための歌みたいな。『ジオラマインサイダー』の最後の「恋のすべて」は物語性のある歌詞でエンドロールっぽく終わるので、明るく終わらせてみようかなって。

「スワロウ」も象徴的ですよね。

そうですね。前向きなんですかね。ほんとのポジティブじゃないけど、内向的な人の前向き、みたいな。

それは知さん自身も内向的だから?

引きこもりなんで(笑)。今まで劣等感とかを持って生きてきたし、ボーカロイドで活動していた時もいろんな人を見てうらやましいと思っていたし、バンドを始めてからもこいつらに勝ちたいとか…“勝ち”って何か分かんないですけど、そういう劣等感は今も持ってますね。なので、そういう人の前向きな気持ちっていうか。

ロック好きなら内向的な人は多いはずですから(笑)、共感を呼ぶと思いますよ。 

ありがとうございます。嬉しいです。

この二枚をきっかけに、より広がっていきそうですね。

はい、たくさん聴いてもらいたいですね。

『ジオラマアウトサイダー』

  • 『ジオラマアウトサイダー』
    PROE-1012
    2016.11.09
    1944円

サイダーガール

シュワシュワとはじける炭酸の泡は爽快感、その泡はあっと言う間に消えてなくなってしまう儚さ。そしてどんな色にも自在に変化していく。そんな“炭酸系サウンド”を目指し、2014年5月、動画サイトを中心に活動していたYurin(Vo&Gu)、VOCALOIDを使用して音楽活動していた知(Gu)、フジムラ(Ba)で結成。インターネットを含むメディアでは一切顔を出さず、ライヴ会場でのみ本人たちの姿を目撃できるということと、“炭酸系”サウンドが相まって話題となり、17年7月にシングル「エバーグリーン」でメジャーデビュー。同年10月には初のフルアルバムとなる『SODA POP FANCLUB 1』をリリースした。そして、12月1日に4枚目となるフルアルバム『SODA POP FANCLUB 4』をリリースする。22年1月からは、アルバムを引っ提げた全国11都市を巡るツアーを敢行する。

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