【Aqua Timez】前進する意志を込めた
新作『アスナロウ』
L→R mayuko(Key)、OKP-STAR(Ba)、太志(Vo)、TASSHI(Dr)、大介(Gu)
シングル「生きて」「最後までII」「12月のひまわり」を含むニューアルバム『アスナロウ』が完成! 独特のミクスチャーサウンドをさらに進化させた本作は、10周年を超えた彼ら自身にとっても大きな意味を持つ作品になったようだ。
取材:森 朋之
ニューアルバム『アスナロウ』は、Aqua Timez流のミクスチャーサウンドがさらに進化した作品だと思いました。アコギとEDMが共存する「空想楽」、ヘヴィなギターサウンドを軸にした「We must」、アイリッシュパンクを取り入れたクリスマスソング「ソリに乗って」など、多彩な要素を織り交ぜた楽曲が揃っていて。
TASSHI
そうやって言葉にしていただくと“確かにそうだな”って思いますね(笑)。
太志
ミクスチャーに対するとらえ方もメンバーそれぞれ違うと思うんですよね。僕自身は高校の時に山嵐を聴き始めたのがきっかけだったんですけど、ああいう男気のあるミクスチャーロックはできなかったんですよ、僕らは。もともとメロディーがあるものが好きだったし、僕が曲を作る時もリフとかではなくて、まず歌メロから始めるので。ギター1本でも成り立つような曲…アコギの弾き語りで路上でも歌えるような曲を作って、それをバンドでやるのがAqua Timezなのかなって。今回のアルバムは、それが一番バランス良くできたと思ってるんです。メロディーを中心にしながら、思い切り音で遊べたというか。
メンバー全員のプレイヤビリティー、アレンジのセンスも活かされているわけですよね?
太志
そうですね。しかも、全員が前に出るタイプではなくて、“どうぞどうぞ”って譲ることが多いんです。だから、僕は好き勝手に曲を作っていられるし、“こういうアレンジにして”と抽象的なことを言っても、メンバーがしっかりとかたちにしてくれて。そういう役割分担も今はできているんです。ただ、一方では“仲良しのままではダメだな”という気持ちもあったんです。最初の10年はそれで良かったのかもしれないけど、15年、20年とバンドを続けていくためには、仲間意識みたいなものに甘えてちゃいけないなと。「アスナロウ」という曲では、まさにそのことを歌ってるんです。
TASSHI
「アスナロウ」はアルバムの1曲目という前提で作っていたし、2017年から始まるホールツアーの1曲目でやりたいというイメージもあって。もちろん太志がこの曲を持ってきた時の想いも感じていたし、自分たちとしても“今までの曲を超えるミクスチャーサウンドにしよう”という気合いがすごくあったんです。途中で難航もしたけど、いい曲になりましたね。
mayuko
今までにないカッコ良さを出せた曲だと思います。歌詞を見た時も、太志から喝を入れられるような感じがありましたね。
音楽との向き合い方を見つめ直す曲になった?
大介
そうですね。バンドにもよると思いますが、活動期間が長くなってくるとどうしても“なあなあ”なところが出てくるんですよ。それで上手くいけばいいけど、この先のことを考えると“危機感や向上心を持って自分を奮い立たせないと落ちていってしまう”ということを自分自身も感じて。そうならないために、自分は何をするべきかをすごく考えてましたね。曲作りもそうだし、バンド全体のこともそうだし、自分の楽器演奏のことも。
OKP-STAR
「アスナロウ」の歌詞もそうだし、個人的にも太志からいろいろ言ってもらったんですよね。自分は一応、バンドのリーダーとしてやらせてもらってるんですけど、どう引っ張っていいか分からない時期もあって。喝を入れてもらうじゃないけど、太志に言ってもらったことで、いろいろと気付けたんです。そういう状況の中で、今までで一番カッコ良いと思える曲を作り上げることができたのは、すごく良かったです。15年、20年を目指す上で、大事な一曲になると思いますね。
最後に収録されている「魔法を使い果たして」も印象的でした。若い時の勢いで突き進んでいく時期を経て、本物の実力を身に付けながらバンドを続けていく意志が感じられて。
太志
その瞬間には気付けないこともたくさんあると思うんですよ。例えば、10代の素晴らしさを本当に知っている10代の子はいなくて、あとになって振り返った時に“10代というものがあったんだな”と分かったり。そういう経験をずっと重ねていくものだと思うんですよね、人間は。自分たちもそういう脱皮を続けていきたいと思うし、その経験はこのアルバムにも活かされていると思います。『アスナロウ』というアルバムを作ったことで、いい物語が続いていくというか。
TASSHI
そうだね。
太志
ベストアルバム(2015年にリリースされたベストアルバム『10th Anniversary Best RED』『10th Anniversary Best BLUE』)後の最初のオリジナルアルバムだし、ここからが本当の“フェーズ2”だと思ってるんですよね、僕は。以前の自分たちと対決しなくちゃいけないし、もっともっとレベルアップしていきたいですね。やっぱり“今のAqua Timezが一番いい”って言ってほしいじゃないですか。今回も“ストーリー性のある前アルバム『エルフの涙』に勝つためにはどうしたらいいか?”って考えていたし、そういう挑戦をずっと続けていきたいので。
2017年2月からスタートする全国ホールツアー『アスナロウ TOUR 2017』でもいろいろなことが試されそうですね。
太志
アルバムの1曲目の「アスナロウ」がプロローグで、最後の「魔法を使い果たして」がエピローグになるという構成だけは考えていて。その物語を空想するだけでもすごく楽しみだし、ホールという場所を活かして、ショーの要素を取り入れたツアーにしたいですね。
大介
ステージセット、照明などの視覚的な要素を含めて、『アスナロウ』を最大限に表現する環境をまずは整えたいと思っています。
OKP-STAR
ライヴのアレンジ、曲のつなぎ方、MCの雰囲気など、全てにおいて“Aqua Timezらしいな”と思ってもらえるようなライヴをしたいですね。
アーティスト
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