【瀧川ありさ】初めてのカバー曲は葛
藤がありながらも、その作業は愛おし
くて楽しかった
2017年第一弾となる新作は初の両A面シングル「ノーサイド/ONE FOR YOU」。「ノーサイド」は松任谷由実のカバー曲であり、「ONE FOR YOU」は進研ゼミ高校講座進級応援ソングで聴く者を勇気付けてくれる。1stアルバム『at film.』後の次の一手となる本作に込めた想いを語ってもらった。
取材:田中隆信
2017年のリリース第一弾シングルは「ノーサイド」と「ONE FOR YOU」の両A面ということで、まずは「ノーサイド」について聞かせてください。
はい。「ノーサイド」は松任谷由実さんのカバーなんですが、カバー曲をリリースするのは今回が初めてなんです。
以前からよく聴いていた曲なのですか?
ユーミンさんの歌を聴いて音楽を始めたので、この「ノーサイド」もずっと聴いてきた大好きな曲です。高校の時、私の友達がラグビー部の人と付き合っていて、その子が“これ、私の曲なの”って言ってて、この曲の内容がそのふたりと重なってたので、すごくリアルに感じていました。今回、ラグビーを題材にしたアニメ『ALL OUT!!』のエンディングテーマのお話をいただいて、この曲をカバーできることになったことに運命を感じてますね。決まった時、すぐその子に連絡したんですけど、すっごく喜んでくれました。
大好きな曲をカバーする、しかも自分の作品としてリリースするために歌うということで、いろいろ考えることも多かったと思いますが。
好きすぎて立ち入りたくないという気持ちも正直言ってありましたね。これまでは自分が歌うことを想定したメロディーで、自身の経験から紡いだ言葉で曲を書いて歌ってきたので、“原曲”という完成形がある作品をどう歌えばいいのかいっぱい考えました。
好きだからこそ、無意識のうちに原曲に寄せてしまうこともあると思いますしね。
そうなんですよ。ユーミンさんの歌を聴いたまま歌ったり、コピーじゃダメなんです。2017年に私が歌う意味というのも曲に込めたいと思っていたので、結構歌い込みましたね。実は、歌録りを2回したんです。1度完成したんですけど、“もう一歩踏み込めるはず!”って思って、もう1度歌い直しました。そうしたら本当に良くなったんです。時間も掛かりましたけど、その作業さえ愛おしいというか、楽しいというか。自分の音楽人生の糧になってるなぁって感じましたし、達成感もすごくあります。
ミュージックビデオの撮影は大分で行なわれたんですよね。
楽曲のモデルになったのが大分舞鶴高校のラグビー部ということで、年明けに大分に行ってきました。撮影のために部員のみなさんに集まっていただいたんですが、始まる前から撮影など関係なくがっつりと練習されていたので、ドキュメンタリーのようないい作品になりました。私、晴れ女なんですけど、この日は珍しく雨だったんです。でも、この曲に合っていて雨で良かったと思いました。
ノンフィクションという雰囲気が感じられる作品になっていて、映像の質感からはノスタルジーも感じました。
あの映像は撮ってから加工したんじゃなくて、本物の8ミリフィルムのカメラで撮影したんです。8ミリ独特の風味があって、2017年の風景を撮影したんですけど、自分が生まれていない時代の空気感も再現できたかなって思いますね。
両A面のもう1曲、「ONE FOR YOU」についても聞かせてください。この曲はどういうテーマで書いたのですか?
自分はソロ活動をしているので、仲間や絆などはわりと無縁なところにいるんですが、さっきのラグビーもそうですけど、そういうのを見てるのはすごく好きなんです。自分にないものなのできれいに見えたり、端から見ていて羨ましく思ったり。そういう子たちの“別れ”も、端から見ることが多いんですよ。別れにはいろんな理由があって、相手のことを思って離れ離れになったりすることもあると思うんですけど、“どんな別れもいつかは君のためになる”ということを伝えたくて書きました。進研ゼミさんの応援ソングでもあるので、当事者である高校生の子たちに寄り添える言い回しを使って、できるだけやさしい言葉にしたいという気持ちがありました。
こちらの曲の歌録りはどうでしたか?
歌詞を書くのに悩んだ分、歌録りは一発でした。レコーディングに関しては、いつもだったらプリプロの段階で完成させて、スタジオではそれを録る作業っていうことが多いんですけど、今回はプリプロの段階では余白を残しておいて、現場で考えようってことにしたんです。本番録りの日に現場でイントロや間奏、アウトロを考えたりして、ミュージシャンっぽい作業だったというか、“作ってるなぁ”って実感することもできました。クリエイティブですごく楽しかったです。
もう1曲、「SUNDAY」がカップリング曲として収録されていますが。
ライヴをやったあと、家で“次のライヴではこういう曲があるといいな”とか思ったりするんです。「SUNDAY」もライヴでノリが作れる曲が欲しくて作ってみました。「ノーサイド」のように情景が見えるような曲や「ONE FOR YOU」のようにメッセージ性の強い曲も大事ですけど、いい感じに肩の力が抜けてるような曲も元気がない時に聴くと力になったりするので必要だなって。
歌詞も日常のひとコマを切り取ったような内容ですからね。
はい。気負わずに何かをしながら聴いてくれてもいいし、もちろんじっくりと聴いてもらってもいいし、いろんなシチュエーションで聴いてもらいたいです。
4月から始まるツアーはどんな内容にしたいですか?
バンド編成でのワンマンツアーが終わったばかりで、次は私ひとりで回るアコースティックツアーになります。キャンペーンやリリースイベントで主要5大都市とかは行ったことがありますけど、それ以外の場所でライヴをする機会があまりなくて。2年前にデビューしてからずっと“たくさんの地域に行きたい!”って言い続けてきてたので、全国いろんなところに行けて、自身最長のツアーができることが嬉しいです。
アーティスト
編集部おすすめ インタビュー
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00
人気
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第1回 『自己紹介を。』 -
2014.12.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第16回 『巡り合いを。』 -
2016.03.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第2回 『忘れられていることを。』 -
2015.01.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第3回 『魔法の言葉は在るということ、を。』 -
2015.02.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第4回 『モヤモヤの正体を。』 -
2015.03.20 00:00