【nano.RIPE】僕らはもともと空を飛
ぶためのチカラを持っている

L→R shinn(Dr)、きみコ(Vo&Gu)、ササキジュン(Gu)、アベノブユキ(Ba)


取材:石田博嗣

地元である千葉や都内のライヴハウスを中心にライヴ活動を行なっているnano.RIPEが、3枚目のミニアルバムとなる『空飛ぶクツ』を完成させた。

「とにかく希望の1枚にしたかった。単なるキレイゴトではなく、現実をしっかりと見据えた先にある希望。キレイゴトだけを並べた歌ってゆーのは聴く時を選んでしまうと思うから、うれしい時にも、悲しい時にも、苦しい時にも聴ける、そんな1枚にしたかったので、まさにイメージ通りのものができたんじゃないかと思っています。自信を持ってたくさんの人に聴いてもらいたいアルバムになりました」(きみコ)

その言葉通り、凛とした力強さを感じさせる声で切々と歌われる楽曲には、“すごくしんどかった時期に自分自身に言い聞かせる意味も込めて書いた”という「色彩」を始め、リアルな世界と前向きなマインドが描かれていた。また、爽快なギターサウンドを創り出しているのだが、そのアンサブルも楽曲の世界観を彩るような繊細さを持っている。

「曲の世界観を彩る…まさにそんな感じですね。1曲1曲、この曲は何色っていうイメージが大体あるんですけど、どうしたらその色に近付けられるか、その色が映えるためにはどうしたらいいか、そんなイメージでやっています」(きみコ)

そして、気になるのが“空飛ぶクツ”というファンタジックなタイトルだ。同名の曲が収録されているわけではないだけに、アルバムを象徴するものとして、この名称が掲げられたということである。

「悲しい出来事や苦しい日々が続くと、そこら中に落ちているはずの小さな幸せに気付けなくなってしまうことがあると思います。でも、僕らはもともと空を飛ぶためのチカラを持っているので、このアルバムを聴いてくれた人にそのきっかけを作れたら…僕らの歌がみんなの“空飛ぶクツ”になれたら、そんな思いを込めました」(きみコ)

最後に、この作品を完成させたnano.RIPEのバンドコンセプトについて尋ねてみた。

「現実の中に見え隠れするキレイゴト。キレイゴトの中に見え隠れする現実。繰り返される日々の中にもキレイなものを見つけられるよう、でも、キレイゴトがキレイゴトで終わってしまわぬよう、そんなものを閉じ込めたくて僕らは歌っています」(きみコ)

その言葉通りのものがアルバムになっていることは言うまでもない。

空飛ぶクツ

  • 空飛ぶクツ
    BEE-101
    1500円

nano.RIPE

ナノライプ:前身バンドを経て2004年にnano.RIPEとなり、地元である千葉・東京を中心に本格的な活動を開始。08年、インディーズレーベルよりミニアルバム『空飛ぶクツ』を発売。草野マサムネ(スピッツ)など多くのアーティストから推薦コメントが寄せられ、話題となる。10年、Lantisよりメジャーデビュー。その後、メンバーチェンジを経て、現在はきみコとササキジュンのふたりで活動を続けている。

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