活動25周年を迎えた森高千里、アーテ
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活動25周年を迎えた森高千里、アーティスト像 確立までの生き様を振り返る
森高と最初に出会ったのは80年代の終わり、東京・目黒区は自由が丘のスーパーの家電売り場だった。当時、写真や文章の仕事でメシが食えなかった20代後半の私は、夜になるとクラブで働いていた。ある日の夕方、食材と電池を買いにスーパーへ出かけると、鼻にかかったような独特の歌声が流れてきた。何かわからないが、クセになりそうなものを感じて、歌声をたどって行ったら、家電売り場のテレビにたどり着いた。その画面の中で、さまざまなミニスカ衣装に身をつつんだスレンダー美女が、激しいタテノリで長い髪を振り乱しながら、延々と同じフレーズを繰り返し歌っていた。「夜の煙突」。衝撃が走った。何か懐かしくて記憶をたぐり寄せようとするのだけれど、けっして思いだすことのできない、本当はそれまで見たことのないヴィジュアル、聴いたことのない楽曲。時間を忘れてつい見入ってしまい、遅れて店に戻ったら厨房で先輩にブン殴られた。
それが、南沙織の往年の青春ソング「17才」をカバーしている森高千里という歌手であることを後日知るに至り、再び衝撃を受けた。ナイトクラブのショーガールみたいな衣装、コミカルな振り付け…「夜の煙突」と同じアルバム「非実力派宣言」の収録曲ながらも「なんなんだ、このふり幅!」と、あ然とした。「夜の煙突」で森高がかもし出すものと「17才」の間には、ミニスカ衣装の光沢感以外に何の脈絡も感じられず、そのギャップがなんなのか考えようとしても答えは出ず、ただ気がついたら森高の世界観に身を委ねていた。
振り返ってみれば、ものすごいふり幅だと思う。でも、そんなふうにふり幅の大きな森高の生き様を見ていると、「人生って難しく考えることないのよ」「なるようになるわよ」といった、もちろんいい意味での楽観を感じるのだ。
女性ソロシンガーとして初めて47都道府県をめぐった「ROCK ALIVE」ツアー、2公演を除きほとんど追いかけてこの国の地理にちょっぴり詳しくなった私としては、オジサンになっても森高千里にときめき続けている。
25周年は、全国の森高ファンが待ちわびた最高の一年になりそうだ。そして、森高をちゃんと聴いたことがないという人たちにもこの機会に森高ワールドにふれてもらい、どんどん新しいファンに増えてほしい。
「ザ・シングルス」とYou Tube公式チャンネルで森高のふり幅を振り返りつつ、自分自身の人生も多少は振り返ってみようかな、なんて思っている。
森高千里公式チャンネル
(youtube.com/user/moritakachannel)
文・志和浩司
アイドルサイトIDOOOLにて『志和浩司のアイドル・スープレックス!』連載中
(i.listen.jp/st/sp/sp/idoool/column.html)
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