アンダーカバー 2016年春夏メンズコ
レクション - 文化と服をつなぐ、25
年目の新たな歴史
ただし単なるアーカイブコレクションにとどまらず、今っぽさを意識的に加えていることは、常にカルチャーとモードの交差点を模索し続けるアンダーカバーらしさでもあるだろう。特に今季目を引くのが、2015年に新作公開を予定している映画「スター・ウォーズ」のグラフィックやフォントだ。例えば、ジャケットやブルゾンにはジェダイの戦士やダース・ベイダー、赤いライトセーバーが描かれたグラフィックが、バッグやキャップ、Tシャツなどには「REBELS」「SITH」「JEDI」といったフォントが落とし込まれ、スター・ウォーズファンなら誰しもが目を留めるようなアイテムの数々が、惜しげもなくラインナップした。
90年代後半の裏原宿ブームを牽引し、2003年からはパリコレクションでショーを発表、一躍トップブランドへと上り詰めたアンダーカバー。そうした中で、今季のようにコレクションの歴史をたどる機会に触れると、高橋の生み出す個性的なスタイルは、デザイナー自らの強烈な嗜好によって形作られていることに気づく。
その姿勢はスタッズの打ち込まれたライダースジャケットからも分かるし、独自の加工を施したスリムなデニムからも分かる。そして最もそれを象徴するのが、アイテムに散りばめられている言葉だ。今季のコレクションでいうと、トーキング・ヘッズの名曲「PSYCHO KILLER」やフランク・ザッパの曲「BRAIN POLICE」、ドイツのプログレバンド・カン(CAN)の「Future Days」といった音楽に関する言葉に加えて、映画『タクシードライバー』での名ゼリフ「You takin' to me?」など。映画や音楽といったカルチャーをこよなく愛する彼ならではのメッセージが、随所に散りばめられているのである。
カルチャーをファッションの文脈で捉えること。これまで貫かれてきたアンダーカバーのアイデンティは、こう言い換えることができるように感じる。しかし、本当にそれだけだろうか。服を通して自身の好むカルチャーを、世の中に体感してもらうこと、すなわちカルチャーとファッションの架け橋になることを、意図しているようにも思えるのだ。
アーティスト
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