【lecca インタビュー】
別れを経験した時期ではありつつも
明るくて強いアルバムになった
lecca
約7年振りにリリースされるアルバム『LIBERTY ERA』。人生を謳歌することについて、収録されている各曲が考えさせてくれる。自分自身の人生と重ねながら、さまざまなメッセージを噛み締めることができる作品だ。制作エピソード、込めた想いなどについてleccaに語ってもらった。
自分の行きたいほうへ連れて行けるのは自分しかいないと思う
東京都議会議員として活動をしていた2017年から2021年を経て、2022年から音楽活動を再開しましたが、どのようなことを感じていましたか?
2022年は自分にとって非常につらい年だったんです。leccaに関するいろいろなことを一緒に決めて作ってくれていたエイベックスのディレクターの柳 和実さんが亡くなったんですよね。それによってleccaをやるのがつらくなってしまったんです。でも、ファンの方々がまだいてくださって、ライヴに来てくださる中で、“つらいからってleccaから私が逃げてしまうと、柳さんが頑張って一緒に作ってくださったこともなくなってしまう。それだけは避けないといけない”と思わされました。柳さんは“人生は面白いことをしたら、楽しいというのをみんなと共有していくのが大事”とずっと言っていて、“まだやらなきゃいけないことが残っている!”というのも感じましたね。
2022年12月には約5年振りとなるワンマンライヴ『lecca KICK OFF PARTY』をZepp Namba(OSAKA)で開催しましたね。
はい。まだ私の曲やライヴを忘れずに会場に来てくださることが本当にありがたくて、私ならではのメッセージを届ける意味がまだあるのかもしれないと思いました。
そして、今回のアルバムになるのですが、タイトルの“LIBERTY ERA”にはどのような意味を込めましたか?
個人的な状況に関して言うと、子供を産んでから1ERA(エラ)すぎたくらいの感じなんです。上の子が12歳で、もうすぐ中学生になるので、まだ成人していないながらもやりきった感がありまして(笑)。その間を振り返ってみると自分の時間はなくて、遊ぶ時間もほぼなかったので、仕事と子育てしかしていない修行みたいな時間だったんです。だからか、ひと段落する時期を迎えた自分の気持ちを考えた時に浮かんだのが、“LIBERTY ERA”という言葉でした。でも、この言葉があって作ったアルバムということではなくて、曲を並べてみてつけたのがこのタイトルだったんです。仕事をするために生きているわけじゃないし、苦しむために私たちは生きているわけでもなくて、どう考えても楽しんでいい。楽しむことを自分に許していいし、そのために私たちは頑張ってきたんじゃないかと思ったんです。
《さぁ今から⽣まれなおすんだ》と歌っている「マクアケ」は、まさにそういう姿を感じる曲ですね。
5、6歳の可愛らしい純粋なお子さんが“楽しむぞー!”と公園で言っているのとはまた別の感じですね。コロナに関することも含めた抑圧されていた期間を経て、ここから改めて自分の意志で楽しいことを取り戻していけたらいいなと。それが今回のアルバムを作る中で感じていた希望のひとつだったんです。
自分の意志で取り戻していくから“Freedom”よりも“Liberty”がしっくりきたんでしょうね。
そうなんです。“重いものを脱ぎ去る”という感覚というか、“戦いの末に掴み取る”というイメージだったんですよね。
戦いを経て何かが新たに始まるイメージは「ohayo-gozaimasu」からも感じます。
自分を起こしたかったというのもあるんです。大人って惰性で生きて、惰性で仕事ができちゃったりする時期もあると思っていて、そんな自分を起こしたいと思って書いたのが「ohayo-gozaimasu」なんです。こういうことに近しい曲をこの1、2年でかなり大量に書いたんですけど、曲を一緒に選んでくださったエイベックスのスタッフのみなさんもこういう系統のものを推してくださる感じがありました。
コロナ禍を経てきていますから、“目覚める”というのは同時代を生きている人に共有される感覚なのかもしれないですね。
そうなんだと思います。コロナを経て起きたかと言えばそうでもなくて、人の流れは戻ってきつつあっても、魂がまだ寝ている人が結構いると思うので。本当の意味でここから目を覚ましていきたいんですよね。
「start up」も魂が目覚めることを描いている曲ですね。
この3曲のテーマは共通していると思います。
自分の人生は自分の意志で変えていけるということも感じられる3曲です。
ありがとうございます。私は意志が強いほうではないんですけど、自分の行きたいほうへ連れて行けるのは自分しかいないと思うんです。自分以外の要素によって動かなきゃいけないことが多い人生の中で、“ここぞ!”というところで自分の意志を出せればいいのかなと。そういう私の希望でもあります。
リスナーにとってleccaさんの歌詞は心を鼓舞されるフレーズの連続なんだと思います。
前に他の曲で使ったかもしれないフレーズもあるかもしれないですけど(笑)。歌詞はレコーディングの直前まで書き直すんです。言い足りない、物足りないとか気づく度に書き直しています。私も頭が固くなっていて、“こう思われるかもしれない”という配慮とかもしてしまうからこそ、そこをめくり取るのが大変かつ面白い作業なんです。
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20代の頃は胃薬を飲まないとライヴができなかったアーティスト
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