折坂悠太、
『心理ツアー』ファイナル公演を
WOWOWにて独占放送&配信
12月3日@LINE CUBE SHIBUYA
海の底、あるいは奥深い森を思わせる暗く闇に沈んだステージ。楽器の発する音なのか生き物の鳴き声なのか判別がつかない、謎めいた音が響いている。幕開けの「kohei」から、「爆発」「心」「悪魔」の4曲は、アルバム『心理』収録曲を続けて披露。穏やかな波のようなピアノフレーズで始まったのは上述の「朝顔」。客席の壁面には影絵の花のようなライトが投影される。繊細な心情を描きつつも絶望に陥らず、差し込む光を感じさせる名曲。折坂は柔らかな笑みを浮かべながら歌い奏でていた。続く「針の穴」では観客にハンドクラップを誘う場面も。かといって、通常のライブでよくある“一体感を求める”という距離感のアクションでもない。暗闇でギターを鳴らしながらの独唱でスタートした次曲「トーチ」以降、ほぼ最後まで、ステージ上は日常世界から切り離された、観る者を深く引き込んでやまない神秘の空間となっていた。
「윤슬(ユンスル)」は、美しいメロディーラインと深い残響音、フィーチャリングヴォーカル イ・ランの歌声の意味深長なリフレイン、それらすべてが合わさって詩情溢れる印象をもたらした。ステージ上にいくつか設置された銀の幕に照明が当たり煌めく情景は、月や太陽の光が水面に反映する様を意味した韓国語の曲タイトルどおりで、幻想的だった。折坂自らリズミカルにスレイベルを鳴らしながら歌う「春」は、古来の儀式を見るようでもあり、どこか未来的でもあり、時空を超えた不思議な魅力満載。折坂はただメロディーラインを正確に辿るだけではなく、ある時はくぐもった呻き声のような、ある時は詩を朗読するような、多種多様な声色を次々と繰り出して惹き付け、幻惑した。どの曲、どの瞬間も同じことの繰り返しがなく、ただただ聴き入り、観入るばかりだった。
Photo by Yukitaka Amemiya
Text by 大前多恵
【番組情報】
2月5日(土)午後8:00~[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
※放送終了後~1カ月間アーカイブ配信あり
◎スマホやPCでも見られるWOWOWオンデマンドでは無料トライアル実施中︕
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00
人気
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第1回 『自己紹介を。』 -
2014.12.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第16回 『巡り合いを。』 -
2016.03.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第2回 『忘れられていることを。』 -
2015.01.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第3回 『魔法の言葉は在るということ、を。』 -
2015.02.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第4回 『モヤモヤの正体を。』 -
2015.03.20 00:00