【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#209
音楽プロデューサー・酒井政利の言葉
誰でも、ものごとに感激していくことによって、自分に磨きをかけていく
日本の歌謡界に大きな足跡を遺し、2021年7月16日に惜しくも死去した偉大な音楽プロデューサー・酒井政利。この本が出版された頃、おニャン子クラブが一世を風靡し、次世代のアイドルプロデュースの担い手として秋元康が脚光を浴び始めていた。そんな中、酒井は“アイドルとは何か? スターとは何か?”を世に問うように書き示している。酒井は、「これは将来大スターになるという見極めは、最低七年はかかると思っている。その点、最近の一発屋の横行は悲しむべき状況だ」と当時の歌謡界を嘆いている。確かに、この頃からきらびやかな歌謡界やスターという言葉の印象が変貌していったように感じられる。今回の名言は、スターになるための条件について書かれた章からの抜粋。特に重要なのは「感激屋」であることだという。しかし、それはスターに限らず、“誰でも当てはまる”と酒井。「いやなことに腹を立てるのも感激の一種だし、本や映画を見て興奮するのもいいだろう。そうやって、日々、自分の細胞を活性化していくのがいい」と説いている。人生を豊かにするための方法として覚えておきたい。
1935年11月17日生まれ、和歌山県出身。音楽プロデューサー、メディアプロデューサー、心理カウンセラー。酒井プロデュースオフィス代表取締役社長。日本ストリートダンス協会非常勤理事。1961年、日本コロムビアに入社。島倉千代子、こまどり姉妹などを担当しプロデュースしている。1968年、CBS・ソニー(現ソニーレコード)に移籍。数多くのミュージシャンを発掘、育成に尽力し、フォーリーブス、南沙織、山口百恵、郷ひろみ、天地真理、浅田美代子、キャンディーズ、矢沢永吉、太田裕美、宮沢りえなどのプロデュースを手掛け、次々とスターを生み出していった。1996年、酒井プロデュースオフィスを設立。オフィスの立ち上げにあたり、カウンセラー養成所に2年間通ったという。この頃からテレビ番組などのコメンテーターとしてもお茶の間で馴染みの顔となり、映画や舞台、テレビ番組などのメディアプロデュースなど多くの分野で活躍している。一方で、講演や心理カウンセラーとしての活動も行っていた。2005年に音楽業界初の『文化庁長官表彰』を受賞。2019年に『2018年度和歌山県文化功労賞』を受賞。2020年に『文化功労者』として顕彰されている。プロデューサーとして担当した芸能人の売上累計は約8700億円とも言われ、日本の歌謡界に遺したその功績は計り知れない。2021年7月16日に心不全のため死去。享年85。
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