【a crowd of rebellion
ライヴレポート】
『Zealot City Tour 2021
〔←REDO.〕』
2021年2月17日
at SHIBUYA CLUB QUATTRO

2021年2月17日 at SHIBUYA CLUB QUATTRO(Photo by Kato Shumpei)

 “いろんな制限や葛藤がある中、来てくれてありがとうございます!”と宮田大作(Vo)がライヴ序盤に感謝の言葉を述べていた。そう、コロナ禍のガイドラインに沿い、SHIBUYA CLUB QUATTROは椅子有りの座席指定で行なわれたが、会場は異様な熱気に包まれていた。

 a crowd of rebellion(以下、リベリオン)の4thアルバム『Zealot City』レコ発ツアーは、残すところ東京と大阪の2公演のみ。SE「Interlude-(NOT FOUND)」が流れると、宮田、小林亮輔(Vo&Gu)、丸山 漠(Gu)、高井佑典(Ba)、近藤 岳(Dr)のメンバー5人が現れ、『Zealot City』の冒頭曲「Meteor」でスタート。ヘヴィな攻撃性でいきなり焚きつけると、次は同作の中で抜群にキャッチーな「無罪者」へ。“心の中で歌ってください!”と宮田も積極的に煽り、場の温度は高まるばかりだ。

 テクニカルな展開を用いた「Under The Split Tree」に入ると、最前で扇風機ヘドバンに励む人を複数見かけたり、後半にはハンドクラップが起きたりと座席指定ではあるものの、通常のライヴと変わらない熱が渦巻いていた。宮田がメロイックサインを掲げると、凶暴性を剥き出しにしたデスコア調の「SLANDER.」に突入。業火に突き落とすような極悪サウンドは痛快極まりなく、Slipknot風のイントロで始まる「°OD。」においては《Why am I write?》という強烈なサビも相まり、狂騒感はどんどん増していく。前半は『Zealot City』から5曲連続でプレイし、最新にして最強のリベリオンを存分に叩きつけてくれた。

 “今のこの世界をユートピアにするのか、ディストピアにするのか?”と問いかけたあと、「Utopia」に移行。宮田がクリーンヴォイスに挑戦したこの曲はライヴでも格段に映えていた。その流れで「Calling」や『Zealot City』収録の「coelacanth」と続き、小林の透明度の高い美麗ヴォイスを柱にした曲調は、砂漠の中のオアシス的な役割を見事に果たす。

 近藤のドラムソロを挟んで、いよいよ佳境。戦友や新潟の仲間に捧げた「Keep The Day」で濃厚なエモーションを吐き出し、「MEI」を終えると、今ツアーで脱退する高井が長めのMCで語りかけた。“今日は会えて嬉しいです。僕は東京最後…もうバンドはやらない。みなさんも元気でいてください。やりたい曲をメンバーに選んでいいと言われたので、『Zealot City』はガン無視で…”と告げると、高井セレクトの楽曲で本編を締め括る。初期曲の「Satellitear」と「Black Philosophy Bomb」、そして「Ill」とつなげ、“新潟発のスクリーモバンド”という出自を明らかにした阿鼻叫喚のヘヴィネスに観客も身振り手振りで体を激しく動かし、バンドとフロアーの境目は完全に崩壊する爆発力を魅せつけた。

 アンコールに入ると、宮田がこれまで支えてくれた高井に感謝を伝え、最後はアンセムチューン「M1917」をプレイ。ドドメと言わんばかりの観客の息の根を止める5人の演奏に撃ち抜かれたのは言うまでもない。そう言えば、“コロナのせいにするな。自分たちでどうにかしようぜ! 自分次第!”と宮田がライヴ中に呼びかける場面もあった。どんな苦難にも立ち向かい、我が道を切り開いてきたリベリオン。彼らが今日のライヴで届けたかったものは、何にも屈しない強靭な意志と前進する勇気なのではないかと思う。その生き様が投影された最狂のパフォーマンスであった。

撮影:Kato Shumpei/取材:荒金良介



セットリスト

  1. SE. Interlude-(NOT FOUND)
  2. 1. Meteor
  3. 2. 無罪者
  4. 3. Under The Split Tree
  5. 4. SLANDER.
  6. 5. °OD。
  7. 6. Utopia
  8. 7. Calling
  9. 8. coelacanth
  10. 9. Keep The Day
  11. 10. MEI
  12. 11. Satellitear
  13. 12. Black Philosophy Bomb
  14. 13. Ill
  15. <ENCORE>
  16. M1917

a crowd of rebellion

ア・クラウド・オブ・リベリオン:2007年春、新潟県新潟市にて結成されたラウドロックバンド。対照的なツインヴォーカルから繰り出されるリリックと、変幻自在に展開をみせていく楽曲アレンジで唯一無二の世界を描き出し、煽情的かつエモーショナルなパフォーマンスでオーディエンスと対峙する圧巻のライヴを繰り広げている。これまでに5枚のミニアルバムと3枚のフルアルバムをリリース。19 年にはZepp Diver City(TOKYO)でのワンマンライヴを開催。映画主題歌にも起用されるなど、さらに注目度が増している。20年11月におよそ2年振りとなるフルアルバム『Zealot City』をリリース。21年は配信作品を2作発表し、22年1月に結成15周年を記念した完全生産限定盤ミニアルバム『ABANDONSYSTEM__』をリリースした。

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