藤原さくら『SUPERMARKET』。自由奔
放な音楽表現が開花した飛躍作

 飛び抜けて素晴らしい。この作品における一発目の言葉は<I’m freeling super good>(気分は最高)。まさしく、そんなところだろう。楽曲毎に変わるアレンジャーと演奏陣に彩られた、多種多様な音楽性。本作にはこれまでのどの作品よりも豊かな音楽的な煌めきがある。
 レコーディングには”Twilight Tour 2019″のバンドメンバーだった須田洋次郎(
)、渡辺将人(
)、猪爪東風(
)の3人をはじめ、これまでも彼女の作品やライブに参加してきた
のYAGIとRYOTA、
&元ヤセイの
といった旧知の顔ぶれズラリと並ぶ。そこに加えて彼女がコーラスで参加した『SUPERFINE』で交流が生まれた
や、初のタッグとなる
澤部渡など、新鮮な面々も複数アレンジャーとして参加。いわばこれまでのキャリアで培われた関係性と新たな刺激が同時に花開く1枚であり、リスナーは本作において新たな彼女の魅力に触れるだろう。これは出会いのレコードであり、そこで生まれる交歓が音となって弾ける音楽だ。
 アルバムとしてはおよそ3年半ぶり、『PLAY』以来の3作目の作品である。本作の特徴はまずなんと言っても楽曲の多彩さである。2月からリリースされていた5曲の先行楽曲が示唆していた通り。春の日差しを思わせる陽気なホーンが印象的な「twilight」、エイトビートのリズムとタイトな演奏が高揚感をもたらすインディロック「Ami」、夕日を反射して輝く水面のような淡い音色の「Waver」、スリリングなパーカッションが印象的な「Monster」、Ovallがプロデュースした軽やかなファンク「Super good」など、恐らくファンの誰もがバラエティ豊かな本作の方向性を確信していたことだろう。


藤原さくら『SUPERMARKET』



通常盤<CD>
VICL-65362 / 3,000円+税

01.Super good
02.Ami
03.Waver
04.生活
05.コンクール
06.marionette
07.Right and light
08.Monster
09.spell on me
10.ゆめのなか
11.BPM
12.Twilight
13.楽園



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