宮沢賢治の生涯を父の目線で描いた究
極の親子愛! 的場浩司主演舞台『銀
河鉄道の父』開幕
2020年10月15日(木)、東京・新国立劇場 小劇場にて的場浩司主演の舞台『銀河鉄道の父』が初日を迎えた。
本作は第158回直木賞受賞作『銀河鉄道の父』(門井慶喜/講談社文庫)を原作に、第43回日本アカデミー賞優秀脚本賞受賞の詩森ろば(映画『新聞記者』)が舞台脚本化。劇団四季の『恋におちたシェイクスピア』演出、新作歌舞伎『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』へ脚本提供、音楽劇『マニアック』の脚本・演出など、振り幅の広い活躍をする青木豪が家族の会話劇として芝居を作り上げた。
宮沢賢治の父、政次郎役を演じるのは的場浩司、母イチ役は大空ゆうひ、賢治役を田中俊介、賢治の妹・トシ役を鈴木絢音(乃木坂46)、弟・清六役を栗山航が務める本作のゲネプロ(通し稽古)の模様をレポートする。
舞台『銀河鉄道の父』
舞台上にはやや斜めに削がれた十字の路があり、その路の上や隙間、区切られた部分の舞台などを場面ごとに使い分けながら物語が展開していた。
舞台『銀河鉄道の父』
舞台『銀河鉄道の父』
舞台『銀河鉄道の父』
物語は賢治の生涯を父・政次郎の目線で描かれる。政次郎が生来虚弱な賢治を溺愛する様がコミカルに描かれていた。結果、賢治は我がまま放題に育ってしまい、何かと親を困らせる。そんな賢治に結局折れて言われるままの父・政次郎を的場が、また賢治役の田中はやりたい放題のワガママ息子役を愛嬌たっぷりに演じていた。
舞台『銀河鉄道の父』
政次郎と賢治の関係性が強く描かれているが、同時に賢治が妹トシを愛する姿も描かれていた。ある意味、父親譲りというべきか、賢治がトシに見せる愛情は政次郎が賢治にそそぐ愛情に似ており、トシも兄に全幅の信頼を注ぐ。トシ役の鈴木が見せるけなげな姿が実に魅力的。当たり役と言ってもいいくらいのハマリっぷりだった。
舞台『銀河鉄道の父』
舞台『銀河鉄道の父』
もう一人、清六役の栗山は兄を崇拝しつつも、冷静に自分がやりたい事と家業を守る弟を頼もしく演じ、父の強烈なキャラクターに隠れ気味だが、宮沢家をしっかり支える母イチ役を大空が頼もしく務めていた。大空がイチのような母役を務めるのは個人的に意外だったが、不思議としっくりハマって良い存在感を放っていた。
舞台『銀河鉄道の父』
舞台『銀河鉄道の父』
舞台『銀河鉄道の父』
物語は様々な形で兄が妹に、そして父が息子に愛を注ぐ姿が描かれ、それが観る者の胸と涙腺を熱くする。是非一度観てほしい良作だ。
なお、本作は10月17日(土)にイープラス・Streaming+でのライブ配信(配信限定アフタートークイベントあり)が予定されている。
取材・文・撮影=こむらさき
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