檀れいと中村橋之助が描く禁断の恋と
真実の愛の物語! 明治座『恋、燃ゆ
る。』オンライン製作発表レポート
一生自分の人生で起こることはないと思っているような叶わない恋。最初は運命のいたずらと言いながら、結局選んでいくのは自分自身です。恋をして、おさんと茂兵衛は、自分たちが胸の奥に隠していた心の強さを大いに発揮して、自分の人生を選び取っていきます。
それが今、この日本で上演されることがあまりにも素敵だという想像からこういう冒険を明治座さんとさせていただいています。素晴らしい出演者で、コロナ禍のなかで大変ですけれども、(作品を)立ち上げる喜びにみんな満ち満ちています。大変幸福に感じております。劇場に足を運んでいただけたらいいなぁと思っております。頑張ります。
秋元先生のつくられた『おさんの恋』を元にお稽古しているんですけれど、とても難しいです。私自身、日々の稽古の中で、おさんをどのように演じていこうかと、もがいている最中です。ですが、先生の描かれる女性は、とてもはかなくも強く、たくましい。恋を知った女性は本当に強いなと日々感じています。それをみなさんにお届けできればと思っております。よろしくお願いします。
おたまは、(茂兵衛への)燃え上がる恋心がテーマになるかなと思うので、ひたむきに思う気持ちを熱く熱く1つ1つのシーンを舞台上で演じていきたいなと思っております。みなさん、どうぞよろしくお願いします。
稽古はマスクをして、フェイスガードをしての稽古でございます。マスクとフェイスガードをしての稽古は、相手役の表情が見えません。やりにくいったらありゃしない(笑)。しかし、これは逆の意味で言えば、表情が見えないということは、声に頼るしかない。声の変化に、より敏感になれるんじゃないかと思っております。逆手にとって相手の声を集中して聴くような環境の中で、稽古が進められるんじゃないかと思います。
もしかしたら本番でもマスク・フェイスガードをしたままかもしれません。わかりません。世の中はどうなるか。でもそれはまずないでしょう。劇場に入って、それらをとったとき。相手の反応を見て、きっと度肝を抜かれて、腰を抜かしてしまう自分がいるのではないかなと。それがいちばんの不安です。......すみません、どうでもいいことをお話ししてしまいました(笑)。精一杯舞台を務めさせていただきます。何卒よろしくお願いします。
初めてデモテープを聞かせていただいた時に、なんと切ない歌なんだろうと。自分の心の底から歌いたいという気持ちで胸が締め付けられるというか。すごい舞台なんだろうなと感じましたし、歌詞の内容に共感ました。好きになった人に対して、結ばれなかったりすることって多いと思うんですけど、本気で好きになって、結ばれない切なさ。みんな誰しもが幸せになりたくて生きているんですけど、人のことを好きになる気持ちって止められないじゃないですか。いろんなルールに縛られて......というような歌詞が出てきたりすると、今の時代にあっているバラードだなと思って。自分の宝物の歌がまた1つ増えたような感覚でいます。
檀れい:時代物を演じる時にいつも思うんですけれども、西洋東洋問わず、長らく女性は個として生きることが難しいことが続いたなとすごく感じることがあります。今回のおさんという人間も、主人のために、彩玉堂のために生きる。自分を押し殺して生きる。それが当たり前。そういう時代に生きている女性なんですけれども、そんな女性が茂兵衛からまっすぐな恋心を伝えられた時に、女性として人として本当の自分を見つけるというか、本当の自分を見つけた時にどういう風に変化していくか。女性の強さ、たくましさみたいなものを伝えられたらなと思っています。
高畑淳子:主軸はまさにおさん・茂兵衛の恋物語。恋というよりもやはり江戸時代、女は女としてまっすぐに見てもらう機会の少なかった女が、自分をまっすぐに見てくれる男性と出会ったというのが起点だと思っております。でも、ここで恋が生まれるということは、この旦那さんは捨てられるわけですからね(笑)。その悲哀もあるわけで。私はこちらの物語も嫌いではなく。
それだけではなくまめまめしく働く奉公人たちもいきいきと描かれるはずです。そのなかで、四季折々の景色が美しく描かれるはずです。そういう日本で住んでいること、お互いを美しむようなこと、そういうことをお土産にもって帰っていただけたらありがたいなと。それで婆さんもいたなという感じで覚えて帰っていただけたらありがたいなと思っております(笑)。
これを舞台にしようとする時にそれでもまだシーン数が多いですから、舞台の機構をたくさん使います。俳優のみなさんはいろんな形の転換に今、てんてこ舞いになっているんですけれども、おかげでよく見る時代劇の形ではなく、ものすごく展開の早い、エモーショナルな、明治座のよく時代劇を見てくださっているお客様も、初めて時代劇を見るお客様もみなさまに満足していただけるような魅力が出てきたように思っています。
そして、テレビドラマだと、シーンで感じたことをカメラのアップで表現することが多いですが、舞台ではそれができません。出演者のみなさまに、表情一つ、わずかな、繊細な表情の変化で表現できることをどういうふうに演劇的に拡大しているかということを稽古場でご相談して、1つ1つ組み上げています。それを楽しみにしていただきたいと思います。
中村橋之助:西村さんも仰っていましたが、お稽古中マスクをして、マスクの上からフェイスシールドをしているんですけれども、お芝居においてとても大切な表情が読み取りづらく、苦労しています。マスクとフェイスシールドをとったときにどういうお芝居になるのか、とても楽しみでもありますし、それに負けてはいけないんだという心持ちでおります。
多田愛佳:時代劇が初めてなので、自分のシーンが終わったら、ステージの前からお稽古を見学させていただいて、先輩方のお芝居を見るようにしているんです。場面を抜いてお稽古をしていて、まだ通してお稽古をしていない時でも、やっぱりこの茂兵衛のおさんを思う燃え上がる恋心が、顔はマスクをしているので見えないですけど、体から溢れてくるおさんへの愛を客席から見ていて、すごく感動してしまうんですよ。
石倉三郎:マスクとフェイスシールドですが、さっぱり表情が見えません。こんな状況は初めてで、自分のセリフを喋って終わり、みたいなところがありまして。相手の表情が全く読めなくてですね、何を頼りにしたらいいのかわからないんですけれど、とにかく一生懸命頑張ります。
西村まさ彦:稽古場ではマスクをずっとして稽古。稽古というのは作品をつくっては壊し、つくっては壊しの連続なので、苦しみが伴うのは当然でございます。先が見えないというか、生みの苦しみはつきまとうものですし、演じる側、支えてくださるスタッフの皆様のやりがいにもつながっていくのではないかなと思っております。
――セリフが方言だと伺いました。方言を覚えるコツなどありましたら教えてください。
東啓介:方言僕も初めてでして、正直コツっていうものはないのではないかなというぐらい僕も苦戦しておりまして、石丸さんと対面して、アクセントの練習をして......脳が麻痺してくるんですよね。何を言っているか、分からなくなってくる。言えたとしても心情が乗ってこないということがあるので、コツを掴むというのは、簡単に言えるものではなくて。板に立って、そこで心情を動かした時に、方言も身についてくるかなと。まだできていない状態ですけれども、そう感じております。
――最後にお客様へメッセージをお願いします!
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