【AK-69 ライヴレポート】
『AK-69 超配信ライブ
「LIVE:live from Nagoya」』
2020年8月28日 at 配信ライヴ
2020年8月28日 at 配信ライヴ
配信が始まるとヘリに乗ったAK-69の姿が映し出され、コロナ禍の今、自分に何ができるかを語っていく。“俺たちもみんなもつらい状況だけど、エンターテイメントとしてみんなを楽しませなければならない、勇気づけなければならない、力を与えなければならない。AK-69の本質をこのマイクで届けるよ”と声をあげるAK-69。ヘリが港のヘリポートに着き、新作のタイトル曲「LIVE : live」でスタート。そのままロールスロイスに乗り込み、上を目指す若き日の信念をラップしながら、名古屋の街を抜けて名古屋城に辿り着くと、天守閣を背景に炎が燃え盛るステージのど真ん中にAK-69が立つ。その重厚な映画のようなシーンには圧倒された。
そして、自分を信じて前に突き進んでいく気持ちが込められた「No Limit ~この映画のあらすじなら知ってる~」を歌唱。ライティングが闇夜に輝き、ステージ床面にもLEDで映像が流れ、パフォーマンスを彩っていく。さらに「IRON HORSE -No Mark-」ではCGでカラスの大群が飛び、雷が轟いたりと凝った映像演出が見られた。インパクト絶大なライヴはここから勢いを増していく。彼の名前を全国に知らしめた「Ding Ding Dong ~心の鐘~」を投下し、そのクラシックチューンを使ったニューアルバムに収録された「Bussin’ feat. ¥ellow Bucks」では¥ellow Bucksがステージに登場し、ハングリーに戦い続けるスピリッツを東海エリアの先輩後輩でラップ。また、「Speedin’ feat. MC TYSON, SWAY, R-指定」ではMC TYSON、SWAY、R-指定が次々とステージに現れ、ど迫力の4人のラップのチェイスを展開。その光景は名古屋城下で現代の戦国武将がバトルを行なっているようにも見えた。アーバンなトラックの「B-Boy Stance feat. IO」ではIOが登場し、それぞれが実践するB-Boyとしてのあり方を提示した。
ラッパー同士の壮絶なステージのあとは、Zoomを使ってファンと交流を図っていく。ファンコミュニティー『69Homies』の女性ファンが画面に映り、その中から選ばれたひとりの女性に向けて「BECAUSE YOU’RE MY SHAWTY」「Guest List」をプレゼント。そのあとには男性ファンがZoomで画面に登場。シャンパンで乾杯すると、“もしよければ、もしよければ”のかけ声から「もしよければ」でパーティーを始め、「Hangover」で飲みすぎの二日酔い感でオチをつけた。
ファンと楽しんだあとは空気を一変。「FXXk off」「Ha?」でナメた奴らを見返す想いを吐き出し、フラストレーションを爆発させると、『LIVE : live』に収録されている異性に向けて歌った「Hard To Remember ‒Season0.5-」「See You Again ‒Season1-」「I Don’t Wanna Know ‒Season2-」「ハレルヤ ‒The Final Season-」を続けて歌唱。常に自身の生き様をリアルに表現してきたAK-69は、恋愛は運命の人との出会いと別れを赤裸々に歌で届けた。
ライヴもいよいよ終盤戦。“この身が滅びようと伝えたいメッセージがある。俺はこの映像でお前に伝えたい、お前が何十年か経って、俺がやってきたこと、それが分かる時がきっと来ると思う。こんな普通じゃない親父かもしれないけど、背中見せるから、見とけよ”と、ファンと自身の子供へ初めて死生観を歌った「If I Die feat. ZORN」を披露。ステージにはZORNが加わり、自分なりの生き方、荒波を戦ってきた意地を渾身のパワーで歌い上げた。
ラストナンバーの前には、アルバム『LIVE : live』とこのライヴで伝えたかったことが語られる。“この世界の情勢で困難や苦境に立ち向かって一生懸命生きてる人たちは多いと思う。それは俺も一緒。今までも何度も負けてるし、それでも何回も立ち上がってきた。負けて恥かいて涙を流して、そして歯を食いしばって、また立ち上がって、もう一回戦う。人生はその繰り返しだと思う。だから、このライヴを観てる人も立ち上がってほしい”とアツく伝え、「START IT AGAIN」へ。何度でも立ち上がって戦っていく、一緒に限界の向こうまで走ろうというメッセージを伝え、“何度だって言う。その軋んだエンジンに、止まりかけたエンジンに、もう一発火を注いで、お前が定めたその険しい道のり、一緒に走り出そう”と語って本公演は締め括られた。
FC限定で配信されたアンコールでは、サングラスを外し、運命の出会いを歌う温かいメロディーのバラード「And I Love You So」を全てのファンに届けるAK-69。“最後はまた会場で一緒に会えるその日まで、みんなの気合になるようなステージにしたい”“このステージを作ってくれたスタッフ、画面の向こう側のみんな、全ての人たちに感謝したい。AK-69のヒップホップ、日本のヒップホップの未来を、これからも見せ続けるよ”と語り、「Flying B」で大団円。悔しさを糧に戦い続ける想いを力強くラップし、“B級の俺だってここまで来れたんだ、お前らだって行けるはず!”とファンに向けて熱いメッセージを投げかける。ライヴを終えて名古屋城に向かって歩きステージをあとにしたAK-69の姿は、まさに名古屋城に帰っていく城主のように映った。
取材:土屋恵介
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