中田敦彦デタラメ歴史塾:ロマン優光
連載152
写真:2016年2月10日・FOXムービープレミアム短編映画祭2015 授賞式/プレミアムナイト
飯島さんが持ち帰りの牛丼買うときに無料の紅生姜を沢山貰ってくるっていっても、店内で食べてる人の横から卓上の紅生姜を容器ごと奪い去ろうとしたわけでもないし、店の人がダメってとめてないんだから別にいいんじゃないでしょうか。店が赤字になるのではないかと心配する人もいますけど、店内でも飯島さんが持ち帰った量よりも多くバカみたいに紅生姜使って牛丼を食べる人間も大勢いるわけです。それでも、紅生姜は取り放題のままですよね。それを考えると、客の何割かに紅生姜を沢山食べられたところで別に赤字にならないように計算されてるのではないでしょうか。
ただ、持ち帰り用の紅生姜は店内に置いてあるやつに比べてショボいというか萎びた感じというかアレなので、自宅で食べるのなら業務用の紅生姜を常備しといたほうがいいのではないかとは思います。しかし、牛丼って自分でカスタマイズして食べるものじゃないですか。人によって七味や紅生姜の量や相互バランスは違います。飯島さんは温泉卵、おろしポン酢、七味、紅生姜という独自スタイルを持ってるほど拘りがあるようなので、あの持ち帰り用の紅生姜でなければ彼女の求める味にならないのかもしれない可能性があるので何とも言えませんな。
一言でいうと、中田さん雑なんですよ。参考文献の選び方もよくないというのが一つ。中田さんは本の内容を要約して喋ってるだけで、間違っているのは参考文献が悪いから仕方ないみたいな話をしてる人もいますが、そんな本を選ぶのが悪いと言われたらそれまでの話。だったら、もう少しちゃんとした本を参考文献に選ばないといけないのではないでしょうか。さすがに元寇の話とか、何年前の知識だよって感じしかなかったので、それが参考文献のせいだとしたら、今時そんなことを書いてるような本を選ぶことに問題が。
要約の仕方も雑です。なんでそうなるかはなんとなくわかるんですよ。あれ、一本、20分から30分ぐらいの尺じゃないですか。はなから、そんな尺でちゃんとまとめるのが無理な事柄をわりと無理矢理要約して喋ってるからです。高校の歴史の授業なんか結局最後まで教科書終わらないまま卒業することとかあるじゃないですか。教科書自体ができるだけ簡素に歴史をまとめてるものです。それだって年に100時間ぐらいは最低かかってるはずなのに終わらないわけで。年号とか細かい法律名とか省いていっても、それでも大筋をなぞるだけで、そうとうな量があるわけで、それを2、3時間で要約して話すなんてだいぶ無理があります。その無理をやるために、ギリギリまで歴史を要約してしまってるような本を参考文献にしちゃうじゃないですか。元ネタの本を人間で例えるなら、ギリギリ骨格だけが残っていて人間だと認識できるような状態です。それを要約するというのは、骨を抜いていくようなもので、そんなに抜いたら人間の形はしなくなっちゃいますよね。それに、あの人が本当にやりたいのは知的な啓蒙ではなくて自分の話芸を聞かすことでしょう。そっち優先して、面白いと本人が思ったくすぐりとか入れてくるわけじゃないですか。そこに尺をとってたら、さらに解説部分がざっくりしてくるでしょうな。
あと、あの番組、トークのライブ感重視してますよね。ここ言い忘れたから後で差し挟んどこうみたいな編集の仕方はしてません。トークライブの記録をそのまま配信しているような感じです。トークライブって場の勢いで進んでいくもんなんで、細かい言い間違い、言い忘れ、記憶違い、思ってもないことをノリで言ってしまう等が起こりがちなんですよ。自分思うんですが、中田さんは今思われているよりは、本当は題材にしてることに対して理解はしているのではと思うんです。中国の近代史の件も、一応はちゃんと袁世凱についての話をしていたわけで、共産党が成立したころに清朝があったとは思ってはないと思うんですよ。ただ、その場のテンションだけでいっちゃうから、そういう肝心なこと(清朝滅亡とか)をはっきりと伝えるのすっぽかしちゃって、余計に変な感じになるんだと思います。
「関ヶ原の功績で土佐藩の領主となった山内一豊。しかし、前領主長曽我部氏の旧臣たちは彼の支配下にはいることを良しとせずにゲリラ戦で抵抗する。そこで一豊は土佐の相撲好きの国民性を利用して相撲大会を開催し、ゲリラたちを誘き寄せる。そして参加者を無差別に銃撃して皆殺しにすることで、抵抗勢力を一掃した。」という話があり、事実のように語られてます。一豊といえば、残虐でズル賢いジェノサイダーだと思っている人もいると思います。でも、これ司馬遼太郎の小説『功名が辻』のエピソードが、元ネタが小説であることが伝わらないまま事実であるかのようなていで流布していった話なんですよね。事実は相撲大会をこっそり見物に来た大勢の抵抗勢力を捕縛し処刑したぐらいの話なんですよ。参加者全員無差別殺戮なんて話ではないんです。それを司馬さんが小説の中で膨らませて書いたわけです。司馬さんには罪がありません。最初からフィクションであると公言しているわけですから。それを事実であるかのようにさらに膨らませた感じで広めたやつが悪いのです。そのせいで、高知県人が一豊の出身地である静岡の出身の人間を憎むあまりに戦争がおこるようなことがあったら、取り返しがつきません! まあ、それは冗談ですが、間違った歴史認識が広がることで本来は必要ない軋轢が生じることは実際にあることなんですから。間違った歴史認識だって人を殺すことはあるんです。
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ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。twitter:@punkuboizz
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