【Cö shu Nie インタビュー】
地に足を着けて生きている
実感を音楽にしている
L→R 藤田亮介(Dr)、中村未来(Vo&Gu&Key&Manipulator)、松本駿介(Ba)
昨年メジャーデビューを果たした新進気鋭の3ピースバンド、Cö shu Nieが、自身初となるフルアルバム『PURE』をリリースした。アニメ『PSYCHO‐PASS サイコパス 3』のEDテーマでもある4thシングル「bullet」を含む全12曲収録。本作に収められた既存のロックとは一線を画すバンドアンサンブルの妙と、楽曲の核を成す熱きスピリッツの背景をメンバーに訊いた。
Cö shu Nieではそれが普通で、
それがCö shu Nieの様式
これは誉め言葉として受け取ってほしいのですが、アルバム『PURE』を聴いて、Cö shu Nieの音楽は展開が予測不能だなと。例えば、3rdシングルでもあった「Lamp」。冒頭からコードも不穏な感じで、リズムが入って来るタイミングもこちらの想像よりも若干速いような気がします。
中村
あぁ…でも、初めて聴いた音楽が思った通りに進んだとしたら、それってグッと来なくないじゃないですか。だから、そんなふうに聴いてもらえたなら嬉しいですね。
いい意味で少し驚きました。あと、アルバムのラストの「gray」はアウトロがなく、いきなり終わりますよね。ミッドバラードらしからぬ展開で“面白い終わり方だなぁ”と。
中村
“何だこれは!?”って感じでしたか?(笑)
ええ(笑)。さらに言えば、2ndシングルの「asphyxia」もそうで、この楽曲、途中でリズムが3拍子っぽくなるところがありますよね。でも、そのリズムが変わるのは、いわゆるBメロやCメロに入るタイミングではない。予想しない場所で変化するという。
中村
そうです。変拍子にはなるけど、マスロックではない…という感じですね。数字というよりはグルーブで進めるという。それは自分の音楽にある核だと思います。
パターン化された音楽、様式に沿った音楽を作りたくないというところからスタートしているんですか?
中村
いや、他と違うものというよりは、その必然性みたいなものです。例えば、5拍子にするなら“なぜ5拍子なのか”という。「asphyxia」について言えば、この曲の焦燥感や切迫感は歌詞も拍子も、グイグイと引っ張っていくサウンドの感じも含めて、それが必要であってこの曲になるという感じなので、数字先行ではないということですよね。
松本
うん。もしサビがワルツだとしたら歌詞との連動がちょっと変わってくる。
中村
そう。8分の6拍子でずっと行くと優雅なイメージになるんですけど、そこから1拍抜くことで焦燥感や切迫感がもっともっと出てくる。
楽曲の世界観があるからこそのサウンドであるということですね。中村さんが作詞作曲されていますが、そもそもこのバンドのアレンジはどのように進めていくんですか?
藤田
それも中村ですね。
中村
でも、かっちりとアレンジは作るには作るんですけど、プレイヤーのふたりのことをリスペクトしているし、彼らが演奏すれば完全に彼らのフレーズになるので。楽曲の雰囲気に合った、もっといいものが出てくるのならぜひ取り入れて欲しいし、その先に連れて行ってくれるプレイヤーだと思っています。複雑な曲だということもあるし、会話よりも音での表現のほうが伝わるので、デモを作り込みますが、“好きにやってもらっていい”っていつも言ってます。
今、“その先に連れて行ってくれる”とおっしゃいましたが、それは聴く側も同じで、“この楽曲はどこへ行くんだ?”と思う瞬間が随所にありますよね。
中村
異世界ですね。
このバンドのリズム隊は様式にとらわれていない印象です。ベースもドラムも4小節の繰り返しみたいなところがないですよね?
松本
それは同じことの繰り返しができないという性分もあるのかもしれないんですけど(苦笑)。まぁ、突き詰めると…今、中村も言ってましたけど、わざと変拍子をしようという考えで作っていたら、それに合わせたフレーズを作らなきゃいけないんですど、自分たちは曲、メロディー、作品をメインとしているので、それに沿っていったら自ずとそうなるんじゃないかな。“毎回、違うことをしてやろう”ではなくて、結果としてこうなるという。
中村
リフレインの曲もあるんですよ。ただ、1本の旋律として楽器が成り立ってるって感じですね。
確かに「scapegoat」にはリフレインがありますけど、始まりこそループミュージックっぽいが途中で打ち切られるという。でも、そういうところも面白く聴きましたけどね。
藤田
僕はどちらかと言えばリフレインは好きなほうなんですけど、作っていくうちに楽曲に沿ったフレーズへと変わっていきます。
ドラムに関して言えば、いわゆるフィルインはあってもそれがそれらしき場所にあることは少ない気もします。
藤田
確かに多くはないですね。“(フィルインして)次へ行きましょ”って展開もなく…。
中村
いつの間にか次へ行ってたみたいな。
藤田
もしかするとCö shu Nieではそれが普通で、それがCö shu Nieの様式かもしれない。
中村
そうだね(笑)。今の様式なのかもしれない。だから、これを面白がってもらえたらすごく嬉しいです。
アーティスト
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