w.o.d. “本質的にかっこいいと思え
るバンド”スサシ&THIS IS JAPANを
迎えた自主企画『スペース・インベー
ダーズIII』をレポート
「w.o.d.とはフェスで一緒になってからの友達。俺らがいい感じで(今後シーンを)引っ掻き回していくから」とタナカ。そんな彼がギターを手に「BRUSH UP」へ。ラガも混じったライミングとドライブ感溢れる疾走が場内も引き連れ走り出していく。続く「無愛愛」ではラテンポップ混じりのサウンドが会場をバウンスさせ、モータードライブ的なストレートさもインパクト大であった「SCAR」、それらとは対照的にムーディでセクシーな「good sleep」では一気に全く違った雰囲気と、そんな中、たゆたうように歌うタナカの姿も想い出深い。また、会場のiPhoneのライトだけの中、ムーディに歌った「MARS」を経て、ラストはこの状況を今にひっくり返してやるとのフリースタイルから「南無」へ。バウンス性の高いサウンドの中、タナカが歌いながらフロアを横断しバーカウンターに着。そこで同曲を歌い切り、彼らはライブを終えた。
深くリバーブのかかった幻想的な小山祐樹(Gt/Vo)によるギター音を抜け、突込んでくるようなかわむら(Dr)によるタイトなビート。そこに乗る杉森ジャック(Gt/Vo)のやさぐれ気味の歌と共に「グルメ」がスリリングさとヒリヒリさを伴いフロアめがけて飛び込んでいく。続いて水元太郎(Ba)が生み出すドライブ感も効いた「ストロボ」では、かわむらの育むカウパンクのりの2ビートが会場をグイグイと惹き込んでいき、スタックスビートからよりドライブ感を駆り立てるように「apple me」に入ると醸し出される痛快さにフロアも更なる激化を見せていく。
「時間を守れない自身に自戒の念を込めて」と入った「Yellow」で歌われたのは、そんなのノープロブレム&君次第と正反対のことだったりもした。続いて杉森もギターを持つ。「Z.Z.Z.」に入るとグルーヴィさやハネた部分が更に場内に躍動感を寄与し、場内のバウンスも激化。続く「D.I.Y.」では、性急的で突込んでくるサウンドに乗せ、やりたいことだけ、好きなことだけやればいいさと歌で誘発してくる。
「w.o.d.には自分たちのコンピ盤『NOT FORMAL ~NEW ALTERNATIVE~』に参加してもらい、その際のレコ発ライブも一緒にやった仲。これぞまさに相思相愛。その結果が今日の共演へと繋がっている」と杉森。その言葉を経て以後はラストスパート。ボルテージもグングン上がる。抜き差しによるメリハリも織り交ぜたドラマ性とそこを抜けた気持ち良さもたまらなかった「悪魔とロックンロール」、小山もボーカルを取るツインボーカルスタイルで夜を駆け抜けろと歌われた「GALAXY」ではステージに向けて無数の拳が上がった。そして、ラストの「カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか」がそんなもん関係ねえよとばかりに痛快に放たれた。何もかもを一緒に吹き飛ばしてくれたかのような爽快さを残し、彼らはステージ袖へと消えていった。
ここからはミディアムな曲が続いた。「サニー」ではどことなくの夜明け感が味わえ、「みみなり」のサビではパーッと広がっていく開放感が楽しめた。
まずは発売したばかりのニューミニアルバム『1994』から「音楽に救われてきた。自分もそんな音楽が作れたら」との思いが込められた、彼らの新境地的なナンバーとも呼べる「セプテンバーシンガーズ」が、これまではやや見えにくかった歌を届ける先、歌うべく相手に向けて歌われた感のある同曲が光へと導いてくれた。また、それとは対照的にラストに放たれた「Wednesday」では、再び会場をグイッと引き寄せ、エンドレスな未来に向けて駆け抜けていった。最後はサイトウによる「バイバイ」の一言。その言葉とこれまでは観後もあまり湧かなかったポっとした温かい気持ち、そして明日へと向かっていくささやかな活力を会場に残し、3人はステージを去った。
文=池田スカオ和宏
アーティスト
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00
人気
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第1回 『自己紹介を。』 -
2014.12.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第3回 『魔法の言葉は在るということ、を。』 -
2015.02.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第2回 『忘れられていることを。』 -
2015.01.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第16回 『巡り合いを。』 -
2016.03.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第5回 『新年度を。』 -
2015.04.20 00:00