社会人になっても音楽と両立できる?
「ホワイト企業」に出会うポイント
とは
大学3年生の方々は、就活に向けて自己分析や業界・企業研究を始める頃合いですね。就職活動というと、「企業に選んでもらうためのもの」という意味合いに捉える方も少なくないかもしれませんが、実際は「お互いにマッチングするための活動」というほうが正確かと思います。
会社員になるのであれば、毎日長い時間をそこで過ごすことになるのですから、自分のライフスタイルと合致する職場を見つけられるかどうかは大切なポイントです。
今回、あえて言葉足らずなタイトルをつけましたが、本記事は
本格的に勉強(もしくは活動)を続けていきたいと思っている
学生(もしくは転職を検討している社会人)
さらに具体的に注釈しますと、私のように「学生時代はなんとかなるでしょと思っていたけれど、実際に就職してみたら想像以上に余裕がなく、あれよあれよと音楽から遠ざかり、再開のタイミングも失い、結果的に1年以上のブランクが空いてしまった」というケースを想定したうえで、そうならない方法を検討するコラムです。
よって、「睡眠時間削れます!」「これまでも気合いでなんでも解決してきました!」というタイプの方(実際にいらっしゃいます)にはかなり肩透かしな内容になっていると思いますので、ご留意いただけますと幸いです。
社会人を甘く見てはいけない
その理由は
初めての「仕事(業務)」をこなせるようになるまで心身が非常に疲れる(慣れるまでの目安:1〜3年)
シンプルに時間がない(常時)
言うまでもないですが、仕事をするということはすばらしいことです。目標があり、そのために努力すべきことがたくさんあり、次第に結果につながるようになっていき、クライアントやお客様から「ありがとう」の言葉がもらえたり、何ヶ月も頭を悩ませた問題を解決して仲間たちと手を取り合って喜んだり……というのはかけがえのないことだと思っています。仕事を通して人間的にも成長できますし、社会に参画している実感は自己肯定感を高めてくれ、さまざまな側面で人生を充足させるものであることは間違いありません。
ですので、私の言いたいことは「仕事を適当にこなして生活費を稼ぎ、なるべく多くの時間を本当にやりたいことに使おう!」というニュアンスではないことだけ強調させてください。
一方で、一度会社員としての暮らしにずっぽり浸かってしまうと、私のように再開のタイミングを失ってしまう例もよく聞きます。そこで、まずは「社会人になってからの両立は、楽観視していると難しくなる可能性がある」ということを念頭に置く必要があると考えます。
自分に合う「仕事 / 会社」とは
会社という “団体” においては「ケースバイケース」という対応が取りにくいため、なかなか社員全員にとってベストな環境を作るのは難しいものです(そのような問題解決に取り組んでいる例もありますが)。だからこそ、自分のライフスタイルに合わせた会社を志望することが重要になってきます。
では、自分のライフスタイルに合わせた会社とはどのような会社でしょうか。希望をあげていくとキリがないので、まず考えるべきなのは譲れない条件です。
仕事と音楽(やりたいこと)を両立するために必要なもの、それはとにもかくにも時間です。時間の捻出をテーマにすると、ひとつの例ですが、以下のような条件は魅力的に感じられます。
おすすめの条件
年間休日120日以上
残業が少ない(もしくは調整可能)
「家から近い会社を選ぶ」というのは意外と盲点になりがちなのですが、もっとも確実かつ合理的に時間を作れる方法なので無視できないポイントです。楽器の練習は電車の中ではできませんし、譜読みに時間をあてるにしても満員電車の中ではままなりません。ちなみに私は2駅で通える会社に勤めているおかげで、朝練の時間を捻出できていると思います。
残業が少ないという点は、正直入社してみないとはっきりしない面ですが、「残業が少ない職種を選ぶ」方法と、「残業が少ない会社を選ぶ」方法があります。
もちろん実態は会社によりけりなので一概には言えませんが、事務やアシスタント職などは残業が少ない確率が高いと思います。
一方、クリエイティブ職やコンサルティング職、営業職などは激務になりがちですが、ライフスタイルと合致しているのであれば選択肢として十分ありだと思います。いくつか例を挙げると、クリエイティブ職の中には、裁量労働制が適用されていて自分で時間配分を調整できるケースが少なくありません。toCのコンサルティング業で14時〜22時という勤務時間の場合には、音出しのしやすい午前中に安定して練習時間が取れるというメリットがあります(知っている例では英語学習のコンサルティングサービスがこの形態でした)。営業職では、直行直帰が許され、ノルマをこなしている限り自由度が高いというケースもあるでしょう。
残業が少ない会社を見極めるのは難しいですが、シンプルな方法として「全社的に残業削減に取り組んでいる」と大々的に銘打っているようなところであれば確度は高いと思います。そのほか、確実ではありませんが求人情報における「みなし残業時間」の箇所はひとつのヒントになりえます。
みなし残業とは、給与の中に一定時間の残業代を含ませておく制度のことで、かなり多くの会社で設定されています。たとえば「月30時間の残業を含む」と書かれている場合、月30時間以内の残業に関しては元々給与内に「みなし残業代」が含まれており、別途の残業代は支払われません(逆に、10時間の残業でも30時間分の残業代が支払われるというメリットにもなり得ます)。
個人的な経験に基づくと、「みなし残業時間」は実際に発生することが多い残業時間数に収まるように設定されていることが多いように感じています。ですので私は、みなし残業時間が40時間以上に設定されている会社は受けないと決めていました。ただしこれはあくまで確率論の話ですので、現実には「みなし残業時間が40時間に設定されているけれど、実際は20時間程度」という会社も存在します。
みなし残業代は悪?こうして書くと「みなし残業」ってものすごく悪いものじゃん! と思いそうですが、必ずしもそうとは限りません。たとえば進捗によって仕事量が変動するクリエイティブ系の仕事や、クライアントありきでスケジュールが決まる営業職などは、「定時がはっきりと定められていてその時間だけ働く」という働き方は非効率的です。そこで、労働者自身がある程度労働時間の配分を決められる「裁量労働制」をとるケースが多く、その一貫として「みなし残業時間」が設定される場合は、合理的なことと言えます。ただし、そういった性質を悪用し、必然性のない残業を強要する会社もありますので要注意です
「ホワイト企業」を選ぼう
「入社前の情報と実態が食い違っていない企業」
のことです!
「定時に帰れるという話だったのに実際は毎日3時間残業がある」会社と、「言われていた通り毎日1時間ほどの残業がある」会社であれば、後者の方がよっぽど両立できる環境なわけです。
とはいえ、入社前にそれを確実に見定めるのは、簡単なことではありません。方法としては、口コミサイトを参照することです。「Openwork」や「カイシャの評判」がかなり参考になります。注意点としては、ここに口コミを書く人は総じて「その会社からの転職を検討している人/転職した人」なので悪い口コミに偏りがちだということ。「残業時間の実態」などは、数字で判断できるものなので参考になりますが、たとえば「会社の雰囲気について」など主観が強く出る口コミに関しては、多少のバイアスがかかっていることを差し引いて見ないと、「どの会社も悪い面ばっかりだ……」という印象だけが残ってしまいます。
働き方改革も進み、さまざまな働き方が選択できるようになってきている現代において、働くことを軽視せず、しかし音楽などやりたいことも諦めずに続けていくことも夢ではありません。
そしてもちろん、会社を選ぶということは、そこにおいて責任を果たす義務が生まれるということでもあります。勤務時間内は集中して職務をまっとうし、退勤後は思い切り練習に没頭する、というふうにメリハリをつけることで、どちらも充実した時間になるという理想的なサイクルをめざしましょう。
なお、今回は会社選びについてのコラムでしたが、実際に両立する方法(練習時間の捻出方法)については以前別の記事を書いております。よろしければぜひご覧ください。
【考察】会社勤めをしながら練習時間を確保するには?17.08.04
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