ザ・クロマニヨンズ ツアー前半・L
IQUIDROOMで炸裂した、古くて新しい
ロックンロール
ザ・クロマニヨンズツアー レインボーサンダー2018-2019
2019.11.14 LIQUIDROOM
今年もまた日本中に強力なロックンロールのウィルスを撒き散らす、ザ・クロマニヨンズのツアー『レインボーサンダー2018-2019』が進行中だ。ツアーに先駆けてリリースされたニュー・アルバム『レインボーサンダー』は、ミドルテンポのグルーヴィーな曲が多かった前作とは違い、スカッと爽やかなアップテンポ中心で、ライブでの爆発が大いに期待できるアグレッシブな作品だった。早くライブが観たい。しかしツアーは始まったばかりでネタバレはできない。しかし観たい。というわけで、11月7日の高崎を皮切りに2019年4月20日の福岡まで続くロング・ツアー、その5本目に当たる東京・恵比寿LIQUIDROOMでのライブをフライング・レポートする。
ザ・クロマニヨンズ 撮影=柴田恵理
「オーライ、ロックンロール!」
いつどこで観ても見た目も動きもちっとも変わらない、ヒロトの雄たけびと共に始まった今夜のロックンロール・ショー。セットリストはもちろん『レインボーサンダー』中心だが、これが予想通りに素晴らしい。シングルになった「生きる」を筆頭に、豪快エイトビートで明朗快活な楽曲の連発でハイ・テンションが途切れない。フロアはあまりの混雑と熱狂でジャンプもままならず、カタマリになってうねるのみ。「ミシシッピ」でヒロトがブルース・ハープを景気よく吹き鳴らし、「人間ランド」でマーシーがかっこいいピック・スクラッチを決める。コビーの低すぎるベースの位置も、カツジの仁王様のような雄々しいドラミングも、アップテンポで突っ走る流れの中で水を得た魚のように生き生きとしている。ヒロトの口も滑らかだ。
「楽しい時間はあっという間。ペース配分など考えず果てるまで行くよ」
ザ・クロマニヨンズ 撮影=柴田恵理
新曲の中で、4人のアカペラ・コーラスが最高に気持ちいい「恋のハイパーメタモルフォーゼ」など、オールディーズ風の楽曲を軽やかにやってのけるのもザ・クロマニヨンズの得意技。思えばビートルズもそうだった。荒々しいロックンロールの中にスウィートなポップスのエッセンスをほんの一滴。微妙なセンスをばっちり共有できる、あらためて凄い4人組だと思う。
ザ・クロマニヨンズ 撮影=柴田恵理
「マーシーが、コビーが、カツジがやりたがってるぜ。何より、ここにいるみんなはチケット手に入れた日からずっとやりたがってたんだよな。ありがとうな」
やりたがってる、何を? もちろんロックンロールを。新曲ばかりではなく、ライブ後半では懐かしい楽曲もたっぷりと聴かせてくれてフロアは狂喜乱舞。あー、久々に聴いたけどやっぱりいい曲だ。これはいつどこでも盛り上がるな。同じエイトビートでも今のほうが丸みがあるな。何せ「ザ・クロマニヨンズは50年ぐらいやってるからいろんな曲がある」(ヒロト談)のだ。根っこは同じロックンロールだが、アルバムの色は毎回かなり違う。それを楽しむために、僕らは毎年ザ・クロマニヨンズのライブに足を運ぶ。いつだって古くて新しいロックンロールがここにあるから。
やりたがってる、何を? もちろんロックンロールを。新曲ばかりではなく、ライブ後半では懐かしい楽曲もたっぷりと聴かせてくれてフロアは狂喜乱舞。あー、久々に聴いたけどやっぱりいい曲だ。これはいつどこでも盛り上がるな。同じエイトビートでも今のほうが丸みがあるな。何せ「ザ・クロマニヨンズは50年ぐらいやってるからいろんな曲がある」(ヒロト談)のだ。根っこは同じロックンロールだが、アルバムの色は毎回かなり違う。それを楽しむために、僕らは毎年ザ・クロマニヨンズのライブに足を運ぶ。いつだって古くて新しいロックンロールがここにあるから。
ザ・クロマニヨンズ 撮影=柴田恵理
おそらく、最前線の圧力に負けたファンをスタッフが保護したのだろう。ヒロトがそちらを向いて「避難したか? よかった。そこで聴いててよ」と声をかける。なんていいやつだろう。ツアーは始まったばかり、「毎日が幸せです」としみじみ言う。本当にいいやつだ。僕らもだんだん年を取って、小さな優しさが身に染みるようになった。ザ・クロマニヨンズのライブは熱くて激しいけれど、とても楽しくて優しい。
ザ・クロマニヨンズ 撮影=柴田恵理
「ありがとう。すげー楽しかったぞ!」
コビーの見事な腹筋と、マーシーのぎゅっと締まった痩身に見とれるアンコール。息一つ切らさずに歌い切ったヒロトが笑顔で叫ぶ。たぶん見えないところでいろんな努力をしているのだろうが、全ては人生かけたロックンロールのため。レインボーサンダーに導かれ、ザ・クロマニヨンズは今日もどこかで歌っている。理屈はいらない。見るべきだ。
取材・文=宮本英夫 撮影=柴田恵理
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