【岡本真夜 インタビュー】
温かい気持ちになったり、
笑顔になれる作品を作りたかった
岡本真夜
最新ミニアルバム『Happy Days』を携えて、現在初のひとり旅弾き語りツアーの真っ最中の岡本真夜。ハッピーになれるヒントを教えてくれる同作品のことはもちろん、ピアノとカホンを操るひとりライヴについて語ってもらった。
ミニアルバム『Happy Days』はタイトル通り、ハッピーな気持ちにさせてくれ、“ひとりじゃないんだ”ということにも気付かせてくれる作品になっていると感じました。岡本さん自身が思い描いていたことは?
2年前にリリースしたミニアルバム『Love Story』はどちらかと言うと切ない楽曲が多かったので、今回はなるべくアップテンポの曲を多めにしたいと思っていました。私は「TOMORROW」(1995年5月発表のシングル)のイメージが強くて、応援歌が得意だと思われている方も多いと思うんですけど、実はバラードはすぐに浮かぶけどアップテンポはなかなか作れないタイプなんです。全体像としてはみなさんが聴いて温かい気持ちになったり、笑顔になれるものを思い描いていたんですが、曲作りにはギリギリまで時間をかけました。
笑顔はキーワードですよね。周りに愛があることに気付けることもハッピーになる秘訣だと感じさせてくれる楽曲たちでした。
最後に収録されている「Winter Kiss」は私が18歳の頃に書いた曲なんですけど、“今だから歌える”というより、途中段階でほったらかしにされていた曲なんです(笑)。今回は秋から冬にかけて聴いていただけるタイミングでのリリースなので、冬に似合う曲をストックから探していたら、この曲のデモテープが掘り起こされたという。サビの歌詞は当時のままで、真っ直ぐに誰かを思う気持ちを歌っているので恥ずかしかったんですが、こういう想いは何歳になっても変わらないと思ったので、そこから広げて書きました。ひとりアカペラで仕上げた曲でもあります。
コーラスが降ってくる雪のようで美しいと思いました。
ありがとうございます。イルミネーションをイメージして、冬のシーンに似合うようなものに仕上げたかったので。
他の収録曲についてもエピソードをおうかがいしたいのですが、タイトル曲の「Happy Days」はカントリーテイストで、ライヴではハンドクラップで盛り上がりそうな楽曲ですね。
待って待ってようやく出てきたメロディーなんですが、歌ってみたら幸せな気持ちになれたので“Happy”という言葉を入れようと思いました。
《あなたと笑えばHappyになれる》という歌詞が出てきますね。
はい。“あなた”を家族、友達、恋人…それぞれが大切な人に置き換えて聴いていただけたら嬉しいですね。実際、“新婚さんに向けて書いた曲ですか?”っておっしゃる方もいれば、“子供を思い浮かべました”という方もいらっしゃるんです。カントリーっぽい曲には初めてチャレンジしたのですが、スタッフの意見を取り入れながら、楽しくてシャカシャカした感じの曲にしたいなとも思ってコーラスも入れました。
アニメーション仕立てになっているミュージックビデオもジャケットの動画バージョンといった作りで癒されますね。
動物たちが楽器を演奏しているイメージにしたかったんです。きっと子供から大人まで笑顔になれると思うのでぜひ観てほしいです。
それと「空の向こう〜君の手をとって〜」は《君のため息を ひとつも見逃さないように》というフレーズが“君”に対しての愛おしさを物語っていると思いました。
この曲は息子を思って書いたんですが、「Happy Days」と同じく聴いてくださる方が大事な人を思い浮かべてくださったらと思っています。
今作にはセルフカバーが2曲収録されていますが、「song for you」と「百年の恋」を自身で歌うに当たってアレンジなど意識されたことはありますか?
「song for you」は声優の牧野由依ちゃんに書いた曲なんですね。“ピアノとチェロをバックに歌えるようなミディアムテンポの曲を”というリクエストがあって書いたんですが、完成した曲を聴いたらテンポが速くなっていて、“この曲、アップテンポにもできるんだ!?”と新たな発見があったので、テンポはそのままにしました。アレンジは「TOMORROW」など私の代表曲を手掛けてくださった十川ともじさんにお任せしました。私にはない発想のフレーズやサウンドで、アルバムの良いエッセンスになったと思っています。沢田知可子さんに提供させていただいた「百年の恋」はピアノアレンジをして、レコーディングで伴奏もさせていただいたので、そのままのアレンジで歌っています。
提供曲をセルフカバーするのは自身のオリジナルを歌うのとまた気持ちが違うものですか?
提供曲はそのアーティストさんのカラーだったり、タイアップならテーマも視野に入れて書くんですが、曲をお渡しする時は自分の子供を旅立たせるような感覚なんです。なので、“おかえり”みたいな気持ちで歌っています。
なるほど。「Mother〜あなたに花束を〜」は泣ける曲ですね。岡本さんの育てのお母様(祖母)に向けて書いた曲だとか。
ええ。この曲は作ろうと思って書いたというより、自然に生まれてきたんです。母は10月15日に96歳になったんですが、今は高知で施設に入っていて、叔母が面倒を見てくれているんですね。年齢のせいもあって日によっては、私のことも叔母のことも分からないこともあるんですけど、母はお花が好きで花を見ると“きれいやね”って笑顔になると叔母から聞いて、“そんなに好きだったんだ”って。一緒に住んでいた頃は気付けなかったんですね。
岡本さんが10代の頃ですものね。
高校を卒業するまで一緒に過ごしていたんですけど、今は離れていて何もできないから、毎月15日には花を贈っているんです。そんなことがありつつ生まれたメロディーに《毎月15日には あなたに花を贈ろう》という出だしの歌詞がスッとはまったので、“お母さんをテーマに書く歌だな”って。
今の岡本さんだから生まれた曲ですね。「未来」はタイアップソングでもありますね。
はい。KAIグループ(貝印株式会社)からお話をいただいて作った曲です。社長さんと社員さんの距離が近い仲良しの会社で“ひとつの目標に向かってみんながやる気になれるような曲が欲しい”というお話だったので、頑張って書かせていただきました。
今作がどんなふうにリスナーに届いたらハッピーですか?
“明日も頑張ろう”と思っていただけたら一番嬉しいですね。そのコンセプト自体はデビュー当時から変わっていないんですが、いろいろなスタイルの曲がある中、最終的にみなさんの気持ちが前向きになってくれたら“作って良かったな”と思います。
現在は2019年4月まで続く『岡本真夜★Premium″一人旅″弾き語りLive Tour 2018~2019』の真っ最中ですね。
はい。おそらく弾き語りが得意そうなイメージを持っていらっしゃる方も多いと思うんですが、全てひとりで弾き語りするライヴは初めてなんです。以前は2〜3曲演奏する時ですらピアノを弾く手が震えるほど緊張していたのですが、この4〜5年はイベントで披露する機会が増えたこともあって、いつしか弾き語りライヴをすることが目標になっていったんですよね。それに初の試みとして、このツアーではカホン(箱型の打楽器)を使って演奏する曲があるんです。ドラムのバスドラのキックをペダルにつなげて、左足でペダルを踏むとカホンが鳴る仕組みになっているんです。
ひとりでビートも出してしまうんですね。親密な空気の中、お客さんとのやりとりがあったり?
そうですね。セットリストは一応決めてはいるんですけど、その日の気分で曲を変えたり、“今日は女性が多いからこの曲をやろう”とか。ひとりだからこその楽しさもありますね。もうすぐファイナルの日程も発表できそうなので、楽しみにしていてほしいです!
最後に今後の抱負を教えてください。
岡本真夜としては2020年が25周年なので、無事に迎えられるよう頑張りたいですね。その先の30周年も迎えられたらと思っていますし、コンセプトを変えずにみなさんが笑顔になれる曲を1曲でも残していきたいという想いがあります。ピアニスト・mayoとしてはまだ3年目ですが、オリジナル曲で勝負して最終的には世界でライヴができるようになることが目標です。
取材:山本弘子
「Happy Days」MV
ミニアルバム『Happy Days』トレーラー
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