【Crispy Camera Club
インタビュー】
いろんな世代の人が
引っ掛かってくれたらいい
L→R 中根トモヒロ(Ba)、ミサト(Vo&Gu)、りんすけ(Dr)
懐かしくて、新しくて、意外と雑食性の高い音楽性がツボにはまるーー。京都発のCrispy Camera Clubが完成させたデビューミニアルバム『SWAG』。ミサト(Vo&Gu)の歌心を主軸に、90's UKインディーロックを昇華した普遍的なサウンドは多くの人に愛されそうだ。
このバンドの始まりというのは?
ミサト
2016年の春に、ふたり(ミサト、りんすけ)で3ピースのガールズバンドをやってて。それがなくなってから、スタジオに入ろうかって。そこが始まりですね。
りんすけ
で、メンズを入れようってことになったんですよ。
トモヒロさんが加入した経緯は?
トモヒロ
ライヴハウスの知り合いの紹介で入りました。
実際に音を合わせた時の感触はどうでした?
りんすけ
男前なベースを鳴らすなと。彼のルーツがガレージだったりするのでゴリゴリだなって(笑)。
ミサト
メンバーそれぞれ好きな音楽も違いますからね。
この3人の音楽ルーツは何になるのですか?
ミサト
お母さんの影響でスピッツをずっと聴いてて。高校からUKのARCTIC MONKEYSにはまり、それから90年代のマンチェスターのバンドを聴き始めました。THE STONE ROSESやThe La'sの「There She Goes」を聴いて、その辺が好きになったんですよ。スピッツはアルペジオの曲が多くて、それとも共通するサウンドでしたから。
りんすけ
私は兄の影響でGOING STEADY、ELLEGARDENを聴き始めて。で、NIRVANAのコピバンをやってたのでグランジも好きです。洋楽はミサトの影響を受けつつ、SUNDAYS、CARDIGANSも好きですね。
トモヒロ
僕は毛皮のマリーズ、THE BAWDIES、黒猫チェルシーとかロックンロール系のバンドが好きですね。で、その人たちのルーツにある50〜60年代を探って、ベースだとTHE WHO、CREAMを参考にしてます。
ベースの動きがかなり激しい人たちですね。
トモヒロ
だから、このふたりと音楽性は合わなかったけど、違うルーツの人と自分の好みを合わせる楽しさに気付いて。
曲作りはどういうふうにやってるんですか?
ミサト
こんな曲を作りたいという見本を持って行って、みんなで合わせて、最後に歌詞とメロディーを付けてます。
歌詞とメロディーは最後なんですね。
ミサト
そのほうがアレンジを面白くできるから。歌とメロディーが先にあると、それに縛られちゃいますからね。
では、今作の楽曲はライヴでやってきたものばかり?
ミサト
ずっとライヴでやってきた曲が大半ですね。アルバムのために作ったのは「雨があがったら」だけですね。
MVになってる曲ですね。これもさわやかな楽曲で。
りんすけ
みんなが横揺れできるものを作ってみようと。
トモヒロ
この曲のベースは一番気に入ってます。モータウンとか参考にしているので、古い感じをイメージしました。
今回録音する上で変化した楽曲はあるんですか?
りんすけ
コーラスは意識的に増やしましたね。
ミサト
アレンジを変えた曲もあります。ギターはサポートで男の子に弾いてもらっているんですけど、男女ヴォーカルが入ってるバンドも好きなので、コーラスもやってもらおうと。
耳に残る印象的なコーラスも随所に入れてますよね。
りんすけ
WEEZERを聴いて、私がやりたいと言いました。コーラスも楽器のひとつとして考えているんですよ。「good morning sunshine」のコーラスもそうだし、「アナザーデイ」の間奏もシンセを使えないので、その代わりに(笑)。
ミサト
あと、ギターも歪みを増やしました。今回のポップスでもオルタナでもない感じが気に入ってます。
トモヒロ
今回はミニアルバムに向けて曲を作ってないので、逆に言えばバラエティーに富んでるところが面白いところかなと。
でも、作品自体は統一感がありますよ。ミサトさんの歌声が抜けているので、どんな曲調でも成立するのかなと。
ミサト
そうですね。メロディーはもちろん、最近歌い方もガーッと歌うよりも気持ち良く抜ける歌い方を意識してます。みんなの体にスッと入る歌い方が合ってると思って。
特に「favorite train」はミサトさんの歌声が抜けてて、情景が見えるスケール感のある曲調に仕上がってますね。
りんすけ
これはめっちゃ初期の曲で、ミサトが弾き語りでやっていた曲をみんなで色付けしましたからね。
ミサト
情景が見えると言ってもらえるのは嬉しいですね。聴いた人がそれぞれの感情や風景を描ける歌詞にしたくて。スピッツの(草野)マサムネさんもそうですけど、意味が分からないけど分かる!みたいな歌詞に憧れもありますからね。
《とっておきのフィルム》(「favorite train」)《ローラースケートで切り取る街並み》(「good morning sunshine」)とか、言葉のチョイスに懐かしさを感じました。
ミサト
その懐かしさは感じてほしいなと思ってます。サウンドも懐かしい気がするとよく言われますからね。
あと、今作の中で「タンザナイト」は異色ですね。
ミサト
YESみたいな変な構成で、そういうのやってみる?と言って作り始めたんですよ。でも、みんなで作るうちにまた違う曲になったんですけどね(笑)。
その意味では意外とミクスチャーバンドですよね。
ミサト
あぁ、そうかもしれない。
りんすけ
確かにミクスチャーですね(笑)。
今後、バンドとしてやってみたいことはあります?
ミサト
みんなでいつも言ってるんですけど、海外の野外フェスに出たくて。それで徐々に上がっていけたらいいなと。
りんすけ
自分たちでどういうジャンルをやってるのか分かってなくて。それは逆にいいことなのかなと。
トモヒロ
いろんなルーツを持つバンドなので、いろんな世代の人が引っ掛かってくれたらいいなと。
今作は若い人はもちろん、40〜50代に人にも刺さる普遍性があると思いますよ。そこがこのバンドの強味だなと。
ミサト
40代の方から“好きです!”と言ってもらえることもあるので。今後もいろんな人に聴いてほしいですね。
取材:荒金良介
「雨があがったら」MV
アーティスト
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