来年芸歴20周年の柚希礼音にインタビ
ュー ソロコンサート『REON JACK3』
にかける思いとは

1999年に初舞台を踏み、2009年に宝塚歌劇団星組トップスターとなった柚希礼音。15年に宝塚歌劇団を退団後、「女優」としてのキャリアを着実に歩んでいる彼女だが、その彼女の魅力が詰まったソロコンサート第三弾『REON JACK 3』が2018年10月から東京国際フォーラムと梅田芸術劇場で開かれる。柚希礼音が、コンサートにかける思いや、来年で芸歴20周年の節目を迎える心境などを合同取材会で語った。
お客様と心が通い合う空間を作りたい
『REON JACK2』の様子 撮影:西原朋未
--2017年3月〜4月に行った『REON JACK2』の満足度が高く、ご自身の中でも「しばらくいいかな」という話をされていたかと思いますが、改めて今回『REON JACK 3』をやろうと思う動機を教えてください。
『REON JACK 2』で、宝塚現役時代のコンサートでやりたかったことがすべて叶いまして、燃え尽き症候群になりました。次は浮かばないな、しばらくは無理だなと思っていたのですが……さまざまなミュージカルや、女優として挑戦しているなか、やはりコンサートは自分自身を表現する場なので、役を演じるのとは違うんですね。
だからやりたいなと思った時に、『REON JACK 2』の進化型のような形で、つまり、前回は大貫勇輔さんやクリスティアン・ロペスさんなどすごい方々にゲストのように出ていただいたのですが、その方々にももっと多くの場面に出ていただければよりお客様も喜んでくださるでしょうし、すごいものになるのではないかと浮かんできたんです。どういうコラボレーションができるのか、今、構成を考えています。

−−なるほど。では、基本路線は『REON JACK2』を踏まえた上で、進化させた『REON JACK 3』ということですか。
そうですね。
『REON JACK 2』は後半までMCを挟まず、一気にお見せする形だったのですが、もう少しお客様とキャッチボールと言いますか、心と心が通いあう空間も欲しいなぁと思っています。もちろん、カッコいいと思っていただけるような場面もお見せしたいですし、少しほっこりとする場面も入込みたいと思います。
ファンの方々も『REON JACK』を喜んでくださるし、私自身にとっても大好きなコンサート。いっぱい挑戦しながらも、心が通いあう空間になればいいなと思っています。
コンサートは柚希礼音そのものを表現する場所
『マタ・ハリ』のゲネプロの様子 撮影:五月女菜穂
−−『REON JACK 2』から今回の『REON JACK3』の間、『ビリー・エリオット』や『マタ・ハリ』などにご出演されました。新たにファンも増えたと思いますが、新しいファンも長年のファンも楽しめる内容になりそうですか?
はい。『REON JACK3』から見ていただいても、絶対楽しんでいただけるいいものにしたいと思います。
色々なミュージカルで役として挑戦してきて、宝塚を卒業して女優として一歩一歩歩んでいるのを皆さまが応援してくださいますが、コンサートは柚希礼音というものを表現するものなので。今の柚希礼音というものを思いっきり、そして、いろんな柚希礼音を表現できたらいいなと思います。
−−コンサートに出演している時と、お芝居に出演している時はやはり違うものですか。
もちろん、役を作る上でも結局は自分自身を使うには使いますが、役を追求していく作業と、コンサートは違いますね。コンサートは自分自身と向き合うことが多くなり、場面や衣装やセットや振り付けなど全てにおいて今、自分が何をしたいのかを考える時間が多くなるので。今の自分はどういうことをしたくて、何を伝えたいのだろうということに向き合うことが多くなります。
お芝居ではその役が何を言いたいか、演出の方々と話すのですが、コンサートは自分自身から発するものなので。今回もいろんなところにこだわって、思いの詰まったものになればと思っています。
『REON JACK 2』と同じ超実力派メンバーが再集結
『REON JACK2』の様子 撮影:西原朋美
−−『REON JACK2』に引き続き、超実力派メンバーが再集結します。共演者の方々とも息がぴったり合いそうですね。
SHUN先生(※大村俊介)は、宝塚の時から振付をしてくださっていて、『REON JACK 1』の時から振付をしてくださっているので、ちょっと別枠みたいな感じなんですけど……お客様の心情もよく分かってくださっていますし、私自身のこともよく分かってくださっていて。今どういうものをお客様が求めているかを見てくださるので、とてもありがたいですし、とても心強いです。
大貫勇輔さんは『メリー・ポピンズ』出演後にまた『REON JACK』に出ていただけて、本当にありがたいです。前回は二人でしっかり踊るというものがあまりなかったので、二人で思い切り踊りたいなと思っていたりします。
『REONJACK1』からずっと出てくださっている、クリスティアン・ロペスさん。一緒にムーディーなタンゴを踊ることが多かったのですが、今回はもう少し違った感じができたらいいなと考えています。
あと、YOSHIEさん。前回はYOSHIEさんのジャンルに挑戦しました。自分自身もいろんなダンスを踊ってみたいので、また挑戦したいなと思っています。
そして、『ZEROTOPIA』(2018年4月〜7月)から、丹羽麻由美ちゃんと、砂塚健斗君に出ていただきます。以前から素敵だなと思っていたし、稽古を経て、さらに出て欲しいと思って、お願いしました。
ダンサーとしての柚希礼音
『REON JACK2』より
−−ダンサー・柚希礼音として、今どんな風に進化されているのでしょうか?
やはりミュージカルをやっていると、『REON JACK』ほど踊ることがなかなかないんです。自分としてはレッスンに行ったりしていますが、『ZEROTOPIA』が終わったら、日々ずっと踊り続けている方と対等に踊るため、またダンサーの体をつくり直さねばと思っています。
宝塚の時はお芝居とショーというのがあったので、常に踊っていたのですが、その機会が減った今、『REON JACK』でいっぱい踊って、見てくださる方にとっても、自分自身にとっても、満足感のある、充実感のあるものになればいいなと思っています。
−−ちなみに、男性にリフトされることには慣れましたか?(笑)
申し訳なさでいっぱいです(笑)。
でも男役としてリフトしていたことは役に立っています。「重いから、ごめん、ごめん」と遠慮している方が重いんですよ。そのことが分かっているので、「すみません、すみません、でもやります!」という勢いでいきます(笑)
でも、あんなクリスティアン・ロペスさんがするようなリフトは男役としてしたことがないので……今回も大いにリフトされたいと思います。
「こうして続けてこれたのは、皆様のお陰」
柚希礼音
−−来年で芸歴20周年だそうですね。改めてどんな一年にしたいか抱負を教えてください。
宝塚の初舞台から20周年なのですが、途中で「女優1年生」に戻ったので、正直あまり20周年感がないのですが……(笑)。20周年という節目の年を迎えるにあたり、こうして続けてこれたのは応援してくださる皆様が本当に温かく、どんな時も見守ってくださったお陰だなと思います。
来年は日頃の感謝を込めて、皆様に喜んでもらえるようなことをやってみたり、自分自身にとって「ちょっと無理かも…」と思ったことにあえて挑戦してみたり、楽しみにしていただけたらなと思います。​
−−特に『REON JACK 2』から『REON JACK 3』の1年半は大きな変化があったと思いますが、ご自身として振り返るといかがでしたか?
『REON JACK2』が終わり、『ビリー・エリオット』に出演した時から、更に変わったなと思います。『ビリー〜』の時に、「こうでないといけない」という型や縛りはないんだなと実感しました。今まででやるような役とは違う役に挑戦したので、たくさんのことを学びましたし、何か吹っ切れた感がありました。
その後、『マタ・ハリ』でますます殻が破れました。自分自身にとってマタ・ハリという役は、宝塚でいう『スカーレット・ピンパーネル』のショーヴランに出会った時のような出会いでした。とても怖くもあったし、お客様にどう思われるかなと考える自分もいましたが、一生懸命挑んだ結果には、お客様も納得していただけるんだと思い、これからも、いろんなものを怖がらず、挑戦しようと思えたのが『マタ・ハリ』の作品でした。
地球ゴージャス『ZEROTOPIA』でも、これまで演じてきた役とは全然違い、また新しく学びました。
これら三作品を経た『REONJACK 3』。いろんなことを勉強し、少しだけ一歩を踏み出した自分が、柚希礼音としてどういうことをしたいかを考えるのが、今、とても楽しいです。
−−最後にファンへのメッセージをお願いします。
『REON JACK 3』ができるのは、これまでの『REON JACK』『REON JACK 2』をたくさんの方が見て応援してくださったから。本当にありがたいなと感じています。
こういうのが見たいというお声もいっぱい私自身にも入ってきていて、それら全てを叶えられるわけではないと思いますが、『REON JACK』でしか見られない姿をお見せして、私にとってもファンの皆さまにとっても幸せな空間になればいいなと思っています。楽しみにしていてください。
柚希礼音
取材・文=五月女菜穂 撮影=荒川潤

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