【芸能コラム】高畑充希&竹内涼真
「過保護のカホコ」で見せる新たな魅
力
画像提供:日本テレビ
毎朝の起床は母親任せ、今日着る服も自分で選べず、アルバイト経験もゼロ…。そんな超過保護な家庭で育った女子大生カホコの恋と成長を描いたホームドラマが、日本テレビ系で放送中の「過保護のカホコ」(毎週水曜日午後10時)だ。
脚本を手掛けるのは、「女王の教室」(05)、「家政婦のミタ」(11)の遊川和彦。コメディータッチで家族の在り方を問う現代的なドラマもさることながら、主演の高畑充希とその相手役の竹内涼真の新たな魅力も本作の見どころだ。
高畑は、「ごちそうさん」(13~14)で演じた主人公の義妹から「とと姉ちゃん」(16)のしっかり者の長女役まで、その幅広い演技力は数々の作品で実証済み。本作では、過保護に育てられたが故に未熟なものの、自分の考えはしっかり持ち、真っすぐな性格の主人公カホコを好演している。
黙って考え込んだり、目をパチパチさせたり、言葉にならない心情を抑えた芝居で表現したかと思えば、街中を疾走する姿やせきを切ったようなしゃべり方で、思い込んだら突っ走る一面をアクティブに演じて見せる。そのメリハリのついた芝居のうまさには、改めて舌を巻く。やや誇張気味に描かれるカホコは、一歩間違えればリアリティーのない人物になりかねないところだが、地に足の着いた存在感は、高畑の演技力があればこそだ。
一方、竹内が演じるのは、過保護過ぎるカホコにいら立ちながらも、次第にその真っすぐな性格に引かれていく画家志望の大学生・麦野初。これまで「仮面ライダードライブ」(14~15)、「時をかける少女」(16)、「ひよっこ」(17)などで活躍してきた竹内だが、どちらかというと感情を抑える役が多かった。
ところが初は、カホコとは対照的に喜怒哀楽がはっきりした人物。185センチの長身と長い手足を大きく動かして伸び伸びと感情を表現するその演技は新鮮で、今までにない姿を披露している。初には、幼いころに母親と別れ、学費をアルバイトで稼ぐ苦学生という一面もあるが、過度な重苦しさを感じさせないのも、爽やかさが持ち味の竹内らしい。
そんな2人の魅力をより引き立てているのが、全編で繰り広げられる息の合った掛け合いだ。例えば第6話には、気持ちが通じ合った初から交際を申し込まれたカホコが、「名前で呼んでほしい」、「好きだと言ってほしい」と懇願する一幕があった。そのストレート過ぎる依頼に対して、初は照れくささもあってやや悩んだ末に「もうちょっと時間をくれ」とはぐらかす。
普通なら多少なりとも湿っぽさが漂い、見ている方が恥ずかしくなるところ。だが、カホコのピュアな性格を嫌味なく表現した高畑と、それを受けた竹内の爽やかなリアクションによって、カラッと明るくほほ笑ましい場面に仕上がっていた。
メリハリの効いた演技でカホコに成り切る高畑と、それを伸び伸びと受ける竹内。笑いを交えて家族の問題に切り込んだドラマの行方と共に、新たな魅力を発揮した2人の今後が楽しみだ。
(井上健一)
(井上健一)
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