【TWEEDEES】
聴きたい音楽を作る欲が
無軌道になってきた

L→R 沖井礼二(Ba)、清浦夏実(Vo)

NHK Eテレアニメ『おじゃる丸』のエンディングテーマ「プリン賛歌 〜20th à la mode edition」やパンキッシュなリズムと奔放なヴォーカルのコントラストが最高の「à la mode」などを収めたミニアルバムが到着! TWEEDEESは今、どんな状況にあるのか?

清浦さんは最近、登山にかなり夢中みたいですね。

清浦

そうなんですよ(笑)。去年から始めて、この前はグループで初めて丹沢山〜塔ノ岳に行って7時間半歩きました。楽しかったです! そもそもはひとりで何かを成し遂げてみたかったのがきっかけでしたけどね。

沖井

レコーディングの休憩中もテントのことを調べたりしてるもんね。こっちは“今、録った歌の話をしようよ!”って感じなのに(笑)。

清浦

道具集めも楽しいんですって。リフレッシュになってると思いますよ。

沖井さんの気分転換は?

沖井

う〜ん…テレビやPCでイギリスの街の映像を観て、お酒飲んだりとか。仮想旅行みたいな。

清浦

沖井さんも山に行けばいいんじゃないですか? 誘ってはいるんですよー。

沖井

全然やぶさかじゃないんだよ。僕、昆虫とか好きだから。親曰く、昆虫図鑑で字の読み書きを覚えたらしいし。タガメがね、好きだったんですよ。用水路のギャング(笑)。でも、地元の広島にはあまりいなくて。東京ならいるのかな?なんてことは考える。ナキイナゴも捕獲してみたい。

清浦

ふたりとも自然は好きだから、接点はあると思う。探しましょう!

新作のタイトルが“à la mode”なので、日常の出来事が制作に影響を与えたこともあるのかなと思って訊いてみました。

清浦

最新流行をね!

沖井

導入としては非常に美しいですね。

清浦

「Birthday Song」は日常からできた曲じゃないですか。

沖井

確かにね。以前お世話になっていた事務所LD&Kの社長が、誕生日パーティーを今年はわりと盛大にやるというので…これがまた、僕と誕生日が1日違いだったりするんです(笑)。で、誕生日の曲を何かカバーしようと思ったら、意外と世の中に適した曲がなくて。そういうタイトルの曲はあっても、実は政治的な内容とか。だから、そのパーティーのために書いた曲ではないけど、みんなが安心してカバーできるバースデーソングを必要に駆られて作りました。

少しのきっかけでそういう展開に。

沖井

“à la mode”というワードだって、「プリン賛歌」をカバーするのが決まった時点で“プリンとくれば、アラモードだろう”みたいな(笑)。番組側に“完全にTWEEDEESの曲にしてください”ってオファーしていただけたのも、とてもタイムリーなことで。1st、2ndとアルバムを出してきて、なんとなくTWEEDEESの尻尾が掴めた段階で、自作じゃない曲にTWEEDEESを落とし込む試みができたから。

清浦

プレッシャーはありましたよね。私世代の人なら絶対に聴いたことがあるだろうし、自分も大好きな曲だから、超えるにはどうすればいいかっていう。

沖井

“これからはもうTWEEDEESの曲です!”ってくらいオリジナルを徹底的に自分たちのものにしてしまうのが、対象曲への敬意だと思うんですよ。“TWEEDEESとは何か?”を言葉にするのは野暮なので、オリジナルと聴き比べて答えを感じてほしいかな。ひとつヒントみたいなことを言えば、オリジナルと今回のバージョンはBPMもキーもまったく同じです。

清浦

私は20年前の『おじゃる丸』を息をするように観てて思い入れも強いけど、沖井さんはそこがまっさらだったからバランスが良かったんじゃないかな。

沖井

でも、覚えてないかもしれないけど、結構ダメ出ししてきたじゃん。アレンジがプログレッシブになりかけてた時なんて、“沖井さん、これじゃ暗い!”とか。

清浦

え? そうでしたっけ??(笑)

沖井

僕はノリノリで作ってたから“何をっ!”と思ったんだけど、この人がそういうなら…みたいな。

清浦

おじゃる丸って、わがままでプリンが大好きな男の子なんですよ。だから、より奔放なアレンジにしたかったのかな。昔のイメージに寄せることもなく、歌もわがまま感を出して、とにかく好き勝手やるのが課題でした。

沖井

それでいて、キャラソンにはなってない。彼女の歌手としての芝居心が非常にいいかたちで出てると思います。

この独特な曲のカバーが、リード曲「à la mode」など他の収録曲と自然に馴染んでるのが驚きでした。

沖井

良かった〜! それは本当に目指したことなので。

清浦

ですね。これができて、広がっていった感じありますよね。

沖井

真逆っぽい「悪い大人のワルツ」ができたりね。映画音楽的なことをやりたい想いは結成当初からあったんですけど、それが分かりやすく具現化された曲だと思います。まず、あなたがタイトルを閃いたんだよね? 夜中に突然LINEが来たんですよ。“悪い大人のワルツってどう?”って。

清浦

なぜか急に思いついて。詞先でも曲先でもなく、ワード先ってやつですよね。その段階では細かいことなんにも考えてない(笑)。

沖井

そこで僕は“すごくカッコ良い!”って思っちゃう。タイトルだけで名曲だし、なんとか作ってみようと。「プリン賛歌」でTWEEDEESらしさと向き合ったからこそ、今までできなかったこういう曲に導かれた感触があるんですよね。

清浦

辻林美穂さんのストリングスアレンジが素晴らしいゆえに、ドラムを急遽なしにしたり。そういう柔軟さも良かった。素敵な大人をイメージしたりもしたけど、結果的には後悔の歌になったんですよね。副題を付けるなら“こんな大人にはなりたくなかった”(笑)。

沖井

「Birthday Song」の歌詞と対になってて、意味合い的に通じるところがあって、僕はその並びが今作で一番好きですね。

今回、ミニアルバムという形態になったのは?

沖井

詳しくはまだ秘密だけど、3rdフルアルバムの構想を実現するのに必要なステップです。ミニアルバムを出したいと言ったのは僕で、整理や練習のためであり…。

清浦

準備や導入のためでもある。

沖井

たぶん、バンドとしての初期は終わりました。中期になり始めて、自分たちが聴きたい音楽を作る欲がすごく無軌道になってきてる。それに対処してる最中ってことですね。

清浦

“これは今やったほうがいい”とか“これは私たちらしい”とか、その擦り合わせはほぼしなくても分かる感じになってきました。だから、無軌道な今回の6曲をロクレンジャー的に並べられるんですよね(笑)。

取材:田山雄士

アルバム『à la mode』 2017年6月21日発売
日本コロムビア

  • COCP-39984 ¥2,200(税抜)



『ショウほど素敵な商売はない〜「à la mode」TOUR2017』

8/10(木) 愛知・名古屋ell. SIZE
8/11(金) 大阪・Pangea
9/08(金) 東京・TSUTAYA O-WEST

TWEEDEES

トゥイーディーズ:2015年に結成され、同年3月に1stアルバム『The Sound Sounds.』を発表。16年7月には2ndアルバム『The Second Time Around』、17年6月にはミニアルバム『à la mode』をリリースした。ポップスとロックの王道を貫く高い音楽性とファッション性を持ち、等身大のフレンドリーなキャラクターで臨むライヴにも定評がある。

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