【PIGGY BANKS】
ガールズバンドの宿命(!?)を逆手に
取ったジャンルにこだわらない新しい
サウンド
2作目となるアルバムはakko(Ba)が産休というガールズバンドの宿命を前向きにとらえた意欲作。ジャンルに拘らず、ファンクや80’sサウンドにもトライ、作詞面ではyoko(Vo)の新機軸も顔を出し、聴きどころ満載だ。そんな作品をyokoが語ってくれる。
1stアルバム『タイムスリラー』発売以降のバンドの状態はいかがでした?
昨年の今頃はリリースツアーをやってまして、もちろんいい感じで進んで、自分の中でも“最高!”って感じでファイナルを迎えて。その直後にakkoちゃんに赤ちゃんができて、“おめでたい!”って気持ちもありつつ、“バンドどうしよう?”っていうのも思ったんです。ただ、ガールズバンドをやるっていう時に、私たちももう10代や20代じゃないので、必ず結婚だったり妊娠だったりは付いて回るっていうのは、ある程度メンバーでも話してたんですよ。なので、1回今後のライヴの打ち方だったり、リリースのやり方をすごく考えました。その中で12月のライヴは私が今までやってなかったことをやろうっていうんで、初めてギターを持ってやるっていうのを決めて。やっぱりakkoちゃんの存在って大きいし、ステージ映えするし、華がとてつもなくある人なので、彼女がいない時にどうやったら今まで以上のインパクトを出せるか?っていうことの一環ですごく考えてましたね。
1stに比べ、今回はバンドサウンドに拘らない曲調で。
1作目とはかなり違った感じには仕上がっていて、akkoちゃんがいないからこそ、逆にこういうのも今の時期はありなんじゃない?っていう。まぁ、ピギバン自体は新しいバンドだと思うんですけど、それぞれみんなはいろんなところでやってたっていうのが強いので、あんまり凝り固まらずというか、ジャンルの枠を飛び越えて面白そうなものはどんどんやってみて。むしろ、やりたい放題って感じですね(笑)。
アルバムのタイトルにもつながる1曲目の「シュビドゥバイン」はシンプルなロックンロールなんですけど、歌詞は随分ロマンチックで。
あぁ、そうですね。実は今回の5曲の中では「シュビドゥバイン」の歌詞に一番時間がかかって。私、蠍座なんですけど、「さそり座の女」を現代風に変えて…とか、どんどんおかしくなって(笑)、とっ散らかっちゃって“分かんない!”ってなって、結局コンセプト自体は原型に戻しました。あんまり今まで…特にピギバンでは恋愛の歌詞って全然書いてなくて、前作は「タイムスリラー」ってSFチックなものや、「キラワレモノ」とか、恋愛とはかけ離れたものを書いていて、ロマンチックな感じの歌詞はakkoちゃんが書いてくれていたので。で、今回はちょっと小っ恥ずかしいなと思いながらも恋愛要素を入れてみようじゃないかということで、「シュビドゥバイン」を書いたんですけど。
曲調だけでなく、歌詞がさまざまなシーンをとらえているという意味では写真のアルバムみたいですね。
確かに。「PVPHS」ももろ私が高校の時に通ってた高校の名前なので、そこでの思い出を書いてますね。パビリオン・スーパーマーケットが近くにあってとか、結構まんまです。
いっぱいボーイフレンドにバイバイしてますが(笑)。
あ、ちなみにそこだけはフィクションです(笑)。
そして、サウンドプロダクションに驚いたのは「Sweet Dreams」で。映画『フラッシュダンス』を彷彿させる(笑)。
もろ、そんな感じ(笑)。「Sweet Dreams」は最初はほぼ英語で書いていてレコーディングもそれでやったんですけど、そのあとにちょっと直しをすることになって、歌詞も今の状態にするために一旦、英語から離れて日本語にしてみようっていうことで…それも結構大変でしたね。英語の時はそういう意味ではラフというか、掴みどころのない、聴く人の自由だよ〜っていう。悪く言うと丸投げみたいな(笑)。でも、やっぱり日本語の歌詞になると、情景だったりをこちら側から聴き手に“これはこうだよ、あれはこうだよ”って説明してあげてる感じなので、歌い方もそれなりに変えなきゃいけないなというのも改めて思ったし、だからこそ歌は難しかったですね。メロディー自体は単調に良いメロディーではあると思うんですけど、逆にヴォーカルがどこにも頼れない。そういうところはかなり大変だなと思いながら歌ってました(苦笑)。
アレンジが不思議な感じですからね。
4曲目の「アナボリック リアクション!?」はファンクだし。ファンクとかも聴いたりはするけど、自分ではあんまり歌ってこなかったから難しいなと思ったんですけど、「アナボリック リアクション!?」以上に「Sweet Dreams」は5曲中で一番難しかったですね。それで言うと「DASH」みたいに遊べちゃうのはすごく好きで。“こんな変な声出してやろう”みたいな何でもありっていう、クレイジーであればクレイジーであるほどオーケー!って曲はやりやすかったですね。
「アナボリック リアクション!?」の歌詞に関しては、これはもうyokoさんのライフスタイルなのかな?と想像しちゃったのですが。
いや、そんなことはないです(笑)。その歌詞はみんなで音楽を聴きながらお酒を楽しみたいなって。で、どんどんおかしくなるみたいであれなんですけど(笑)。まぁ、確かにお酒を飲んでワイワイするのは好きなほうだと思いますが。
具体的にお店の名前かな?と思えるフレーズもあるし。
歌詞を見た人には“それ絶対、RED SHOESだよね?”って言われるんですよ。ほんとは外苑ではないんだけど、どうしても符割りで入らなくて外苑にしたという(笑)。
東京の情景も浮かびます。
さっきフォトアルバムみたいだって言っていただいて、意識はしてなかったんですけど、一曲一曲やってたのが自分の成長過程というか、青春期からちょっと大人になって、今…みたいなのが一枚の作品でできてるのかもしれないですね。
ライヴでどうアレンジが変化するかも楽しみですね。
どんどん変わっていくと思います。前回もライヴをやっていくごとに進化していったので、今回もそんな感じになると思います。いい意味で私にもピギバンがどうなっていくかは分からない、でもそこがまた面白いんですよね。
取材:石角友香
アーティスト
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