【chay】豊かな香りが詰まった珠玉の
ポップス
シンガーソングライターchay待望の2ndアルバム『chayTEA』。懐かしい気持ちになるポップスの要素を取り入れつつ、新たな挑戦もしながら完成した本作について語ってもらった。
アルバムはどこか懐かしい気持ちになるポップスをchayさん流に表現していますね。
60’s、70’sのテイストは私の根底にあるものなんです。今回のアルバムはその要素もありつつ、“2017年バージョンにアップデートしたchay”というようなアルバムに仕上がりました。
「真夏の惑星」とか?
まさにそうですね。もともとデモの段階では別のアレンジだったんですけど、作曲してくださった多保孝一さんとお話をしながら、私と同い年のアレンジャーさんや同世代のスタジオミュージシャンのみなさんにも参加していただいて、このかたちになりました。
サウンドが懐かしいテイストの曲でも、歌詞は今の時代を描いていますね。
はい。歌詞に関しては今の26歳の私の気持ちをお伝えして表現していただいているので、リアルな私を感じていただけたら嬉しいです。私は平成と昭和の架け橋のような存在になりたいんです。
「恋のはじまりはいつも突然に」もサウンドは懐かしい感じですけど、浮かぶ景色は平成29年だと思いました。
求めれば求めるほど上手くいかないことって、恋に限らずあると感じていて、そういうことを歌っているのがこの曲です。学校とか仕事から疲れて帰る、みなさんの心を癒すものにしたいと思って作りました。
chayさんといしわたり淳治さんが共同で作詞をした「好きで好きで好きすぎて」も、物語や風景がすごく浮かびました。
いしわたりさんは私が書いた乙女心にびっくりされたようです。好きな人と旅行に行くのに“ノーメイクを見せたくない”とか思うのが、男性の視点からすると驚きのようで、“すっぴんがかわいいのに”とおっしゃっていました(笑)。
(笑)。このアルバムは素晴らしいクリエイターのみなさんとのコラボ作でもありますね。松任谷由実さんのカバーの「12月の雨」は豪華で驚きました。ティン・パン・アレーの鈴木茂さんがプロデュースで、林立夫さん、小原礼さん、柴田俊文さん、鈴木雄大さんも参加しているじゃないですか。
私は両親の影響でユーミンさんの音楽をよく聴いていたので、カバーをさせていただくことへのプレッシャーも感じながら試行錯誤をしたんですけど、“当時のああいうアレンジの雰囲気は大事にしたいよね”ということになったんです。それで、“当時のユーミンさんの作品に参加されていた鈴木さんにやってもらえたらいいよねぇ”と話をしていたら、本当に引き受けていただけました。
それにしてもカバーを毎回すごく楽しんでいますね。
楽しいです。シングルのカップリングでも毎回カバーをさせていただいているんですけど、いろいろな発見があります。今回収録させていただいた吉田拓郎さんの「結婚しようよ」もそうでした。その時代ならではのワードが出てきたり、今とはまた別の結婚観が感じられるところが新鮮で。こういうカバーをきっかけに、同世代や若いみなさんに原曲も聴いていただけたら嬉しいです。
chayさんはモデルとしても活躍されていますけど、音楽活動はやはり特別なもののようですね。
音楽はずっと私の軸にあるものです。でも、私の歌に辿り着いていただくための入口は、いくつあってもいいと思っているんです。だから、これからもいろいろなことに挑戦したいと思っています。
テレビドラマ『早子先生、結婚するって本当ですか?』の主題歌となった「それでしあわせ」も、さまざまなリスナーとの出会いになったのではないでしょうか?
そうだと思います。テレビから私の曲が流れるって、とても不思議な気持ちになります。「あなたに恋をしてみました」が月9ドラマの『デート~恋とはどんなものかしら~』の第1話で流れた時は家族で観たんですけど、嬉しくて涙が出ました。
「それでしあわせ」はドラマの台本を読みつつイメージを膨らませたそうですね。
はい。台本を読ませていただいて“幸せについて描こう”と思ったんですけど、壮大なテーマなので、どのように描くかに関していろいろ考えました。そして、広い視野でとらえたいとイメージもしながら思ったのは、“幸せに対する価値観はさまざまで、誰かが正解を決めることでも、大小があるものではない。自分の心が決めることなんだ”ということでした。
この曲もそうですけど、chayさんの歌からは自分の意志を持って生きている女性像をすごく感じます。
ありがとうございます。私はこう見えてネガティブで、落ち込みやすかったりもするんです(笑)。だけど、芯のしっかりした逞しい女性になりたいと思っています。
カッコ良い女性になりたいですか?
“カッコ良い”という言葉は私にはあまり似合わない言葉かもしれないです。よく転ぶし、忘れ物も多いですし(笑)。でも、そうなりたいという憧れはありますね。
「You」や「笑顔のグラデーション」も一生懸命生きているchayさんの姿を感じる曲でしたし、リスナーへの温かいメッセージソングとしても受け止めました。
メッセージ性は前作から今作までの間で変化したところだと思います。前までは自分を奮い立たせるために曲を書いているところがあったんですけど、最近は聴いてくださるみなさんを包み込むような、全部を肯定してあげられるような曲を書きたいと思うようになってきて。私もリスナーとして音楽に救われてきたので、表現する立場から、それをできる幸せを噛み締めるようになりました。たったひとりでも“この曲に救われたんです”と言っていただけたら本望です。
取材:田中 大
アーティスト
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