【LOWIQ&THE BEAT BREAKER×ACIDMAN
】LOWIQ&THE BEAT BREAKER×ACIDMAN
Zepp Tokyo 2009年7月6日

text:宮本英夫

二組のアーティストを結び付ける言葉をひとつ挙げるとすれば“リスペクト”だろう。“やってる曲調はちょっと違うけど、考え方が似ている”と、ライヴ中に大木伸夫(ACIDMAN)も話していたように、両者は以前から互いに認め合って“いつか一緒にライヴを”と願っていた。その夢が実現したスプリットツアーの最終日、Zepp Tokyoは満員の観客で開演前から大いに盛り上がっている。 トップを切って現れたのはLOW IQ & THE BEAT BREAKER、すなわちヴォーカル&ギター・LOW IQ 01とドラム・恒岡章のふたり。ふたりの楽器は向かい合うようにセットされ、一瞬の目配せののちにスタートした1曲目「LITTLE GIANT」から、会場は一気に熱狂の渦に巻き込まれる。とにかく音がデカく、強く、ふたりで出しているとは思えないものすごい迫力で、リリースしたばかりのソロデビュー10周年のベスト盤からの楽曲を次々と畳み掛ける。王道メロコア、センスあふれるミクスチャー、ポップで切ないメロディーなど、とにかく全ての曲がキャッチーで盛り上がる。“初めて観る人は帰りにCDをチェックして! 絶対損はさせないから”とMCも余裕たっぷりだ。新曲「NOT ALONE」「BETTER」など早くもライヴ定番曲の貫禄があり、客席ではダイブとモッシュの嵐が止まない。全14曲で1時間、LOW IQ 01の持つさまざまな音楽性のうち、最もパンキッシュでストレートな一面を見せつける圧倒的なステージだった。 そして、ACIDMAN。いつものワンマンライヴとは違い、「リピート」「式日」というソフトでメロディアスなタイプの楽曲でライヴを始めたのは、LOW IQ 01のパワフルなステージとのコントラストを意識したのだろう。“イチさんはずっと憧れの存在でした。今日は特別な気分です”と大木が素直な感想を言うと、大きな拍手が巻き起こる。この日のACIDMANは本当に特別で、中盤ではアコースティックギターとベース、カホーンで「赤橙」「WALK」をしっとり聴かせ、バンドの音楽性の幅広さを見せ付ける。そして、「Under the rain」から始まる終盤3曲は凄まじい勢いで突っ走り、LOW IQ 01を始めとした先達から受け継いだ反骨のロックスピリットを剥き出しに、ACIDMANならではのオルタナティヴロックの真髄を聴かせてくれた。アンコールではリリース前のニューアルバム『A beautiful greed』からの新曲「ファンタジア」も飛び出し、1時間以上のライヴを見事に締め括った。 両者は、10月10日にJCBホールで行なわれるLOW IQ 01のソロデビュー10周年記念ライヴで再び共演することも決まった。世代もジャンルも超えて受け継がれるスピリットが、音楽をひときわ輝かせてくれた素晴らしい一夜だった。

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