【APOGEE】APOGEE 渋谷CLUB QUATTRO
2008年3月27日

取材:土内 昇

会場に入るや否や熱気が立ち込めていた満員の渋谷CLUB QUATTRO。初の全国ツアーであり、初の東京ワンマンということで、チケットはソールドアウト! それだけでも現在のバンドの勢いを感じさせるが、やはり圧巻だったのはライヴだ。APOGEEの全てを出し切ったと言っても過言ではないだろう。 ドラムセットの後ろに掛けられた鹿の剥製とともに、APOGEEのステージには欠かせない地球儀にライトが灯り、いよいよライヴがスタート。1曲目は「Waltz」。永野 亮(Vo&Gu)のやさしいストロークが場内に響き渡ると、そこに透明感のあるしっとりとした歌声が重なり、ドラマチックに展開していくナンバーを客席は静かに聴き入っていた。しかし、2曲目にプレイされたシングル曲「アヒル」が、その清閑なムードを一掃する。ブラックミュージックとニューウェイヴのDNAをセンスフルに融合させた、屈折しつつもポップさを損なわないサウンドが客席を揺らすと、その後もさまざまな表情を持つ楽曲で観客を酔わせていく。内垣洋祐の重たくうねるベースと間野 航のパワフルなドラムが作り上げる生々しいグルーブの上に、大城嘉彦が操る無機質で甘味なシンセサイザーと永野の伸びやかな清涼感のあるヴォーカルが乗るといった、熱いものとクールなものが絶妙に溶け合って生まれるポップ感がAPOGEEサウンドの醍醐味である。2枚のアルバムからほとんどの曲を演奏しきった、フルボリュームのライヴで、終演後にはAPOGEEを堪能したという満足感が残った。

APOGEE

01年に永野亮(vo&g)と間野航(dr&cho)が知り合い、ロック・バンド=APOGEEは組織された。さらに大城嘉彦(syn&cho)と内垣洋祐(ba&cho)がメンバーに新たに加わり、03年から本格的に活動をスタート。そんな彼らがメジャー・デビューを果たしたのが06年2月で、シングル「夜間飛行」を発売した。そして同年5月には、ソウルやサイケの匂いに満ちたサウンドを横溢させる2ndシングル「ゴースト・ソング」を発表。その「ゴースト・ソング」にしてもそうだけど、APOGEEはブラック・ミュージックのビート感覚とニュー・ウェーヴのテイストが絶妙な塩梅でブレンドされた、ユニークで心地良い音作りを自分達の持ち味としている。それは他では見られない、圧倒的な存在感である。またヴォーカリストの永野は、アコースティック・ユニット=ビンジョウバカネのメンバーとしても有名だ。

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