【faith】


取材:石田博嗣

いろんなことに挑戦しようと思えた

今作は3rdアルバム『faith』を出してから10ケ月ぶりのリリースとなるのですが、ユニット名を掲げたアルバムの次の作品ということで、それだけの制作期間を要したのですか?

そうですね。faithの在り方みたいなものを模索しようっていう感じだったので、見せ方だったり、楽曲に関しても…今まではfaithの世界観を追求する感じだったんですけど、もっと幅を広げたいなってことでいろいろ考えてましたね。だから、この10ヶ月は、すごく意味のある期間でした。今までは“こういうふうに見せよう”や“こんなふうに聴かせたい”って考えてやってたんですけど、それよりも自分たちが自然体でいられること…やっぱり自然体の中から出てくるものが一番いいと思うので。そういうことを考えられるようになったことが大きいですね。

今までは“faithはこうじゃないといけない”とかを考えて制作していたと?

考えてましたね。それを3rdアルバムでやり切れた部分があったんで、次はいろんなことに挑戦してみようって…もちろん、“クラシック・ミーツ・ヒップホップ”と掲げている部分がベースにはあるんですけど、そこから一歩踏み出したものにしたいっていう思いがすごくありました。

そして生まれたのが「I believe」ということですか?

そうですね。この期間で40曲ぐらい作ってて、いい曲もたくさんあったんですけど、サビのメロディーがすごくキャッチーだし、歌詞も今までにないぐらい素直だっていうことで、この曲をシングルにすることにしました。

ビートアレンジをthree NATIONのEIGOさんにお願いしているのも、ひとつのトライで?

挑戦でしたね。ビートアレンジを頼むのって初めてだったから、新しい風が入ってきたというか…私たちもすごく楽しめたので、またこういう形でやるのもいいなって思ってます。

歌詞はJamさんが書かれているのですが、やはりテーマなどはふたりで話し合うのですか?

毎回、“こういう感じの歌詞がいいよね”みたいな感じで相談しつつ。で、今回は恋人であっても、家族であっても、信じることが一番大切だねっていうメッセージを込めたものになりましたね。今の私たちの気持ちにすごく近いので、歌ってても感情移入がすんなりいきました。

WEEVAさんの歌声がやさしくて温かいのが印象的でした。

10ヶ月の間に、“自分が一番表現したいと思っている歌い方って何だろう?”っていうことを考えていたんですね。で、私が表現したいのは透明感のある繊細な歌声だということが分かったんで、次はそういう歌い方をしようって決めてましたし、『I believe』の世界観に合わせて、繊細かつ壮大なものになるように心がけて歌いましたね。ヴォーカルに表情を付けたかったから、息づかいとか細かいところを意識して…そういう意味では、本番よりも練習の時の方が大変でした。いろんな声で歌ってみたりして。“この声がいいな”って自分の中で決まってからは早かったので、レコーディングの時はすんなりと歌えましたけど。

そんな今作はどんな作品が作れた実感がありますか?

力を抜いて自然体になれたので、等身大の私たちの姿がそのまま表せたんじゃないかな。自分たちの気持ちの在り方、スタンスも全部含めて。いろんなことに挑戦しようって思えたのもすごく大きなことだったし、この作品を作ってfaithの今後の可能性みたいなものがすごく広がったと思います。

FAITH

フェイス:2003年に結成。Jamのピアノを弾きながらラップをするというスタイルや、クラッシクとヒップホップを融合させたサウンドが話題となり、05年にメジャーデビューを果たした。