【LOTO】


取材:道明利友

いろんなものを解き放って感情を吐き出していいよ

1曲1曲、物語の描き方もテーマもバラエティーに富んでいて面白いですね。「ZIPANG STORY」は古語を使っていたりして、音と歌詞を合わせてじっくり味わいたくなります。

PAN

ありがとうございます。この歌詞は最初、古文じゃなかったんですよ。でも、“ZIPANG”ってタイトルだったり、“紀元前”っていう歌詞の中のフレーズからも分かると思うんですけど、舞台が昔の時代だったりするんで、そのイメージを大切にしたくって。昔の時代と今の時代が重なるような、そういう物語にしたいと思ってこういう歌詞になったんです。

uk.

高校の頃の、古文の参考書みたいなのを片手に(笑)。

PAN

調べながらね(笑)。言葉ひとつひとつを。それぐらいした方が、この曲のストーリー性が伝わるんじゃないかなと思って。そういう曲もあるし、「言霊」みたいに本当にあったことから書いた曲もあるし。例えば、何かものを取る動作を書くにしても、いろんな言い回しがあるじゃないですか。手で取る、掴み取る、他にもいろいろ…そうやって、面白い言い回しを僕なりに考えて曲にはちょくちょく入れたりしますね。

「言霊」は、もう本当にタイトル通りというか、すごく強い思いが込められてる言葉を、エネルギッシュな演奏で聴き手に伝えてくる曲で。これは、リアルな体験を基にして?

PAN

はい。僕の友達がバイクで事故を起こしてしまって。今は全然元気なんですけど、その時は足が動かなくなるぐらいのケガをしてしまって…。この曲はその人のために書いた歌詞でもあるし、大切な人をイメージして書いた歌詞でもあるんで、自分の思いがすごく詰まってるんですよ。

uk.

僕もこれは、“俺の手足がなくなってもお前にやるぜ!”ぐらいの強い意志を込めて歌いましたね。

“強い意志を込める”っていうのは、どの曲からも共通して感じました。ピアノをフィーチャーした「Ng…」みたいなシンプルなサウンドでも、メロディーを感情表現豊かに歌い上げていて、胸にグッとくるものがあるというか。

PAN

この曲も僕はすごく思い入れがあって…メロディーと歌詞が同時に思い浮かんで、歌いながら曲を作ってたんですけど、その歌いながらの時点ですでに感情移入しちゃってて。そういうこと僕は結構あるんですけど、曲を作ってる時にすごい泣いちゃったりするんですよ(笑)。

uk.

で、僕は、その歌を聴いて泣いてるんです(笑)。

エモですね~(笑)。もちろんジャンルとしての“エモ”じゃなくて、“感情”が強く込められてるっていう意味で。

PAN

感情対感情、ですね(笑)。聴いてる人と僕らと、感情がぶつかり合うみたいな。なんか、そういう…泣いっちゃうぐらいの感情をそのまま出したくて、「Ng…」はこういう曲調になったんですよ。熱い思いを、そのまんま伝えたくって。人が泣く時って、心が思いっきり揺さぶられてるってことですよね。そういう感情は大事にしたいです。

uk.

で、泣いてくれた後には、笑ってほしいです。聴いてる人を後押しできるような音楽がやりたいっていうのが、僕にはすごくあるので。日常の中には、やっぱりいろんなことがあると思うんですよ。だけど、僕らの音楽を聴いてる時だけは、いろんなものを解き放って感情を吐き出していいよって。そういう気持ちで、僕はいつも歌ってます。

PAN

そうだね。みんなが素直な気持ちになれるような、そういう音楽であったらいいなと思います。

LOTO

ロト:2006年結成。新宿、渋谷を拠点にライヴ活動を展開。08年6月に発売されたライヴ会場限定1stミニアルバム『time loot』はわずか4カ月で売上枚数1000枚を突破した。 

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