【Geminy Wise】


取材:ジャガー

相手を引っ張っていけるような歌を歌いたい

一番最初に出す作品だからこそ、決めてかかりたくなかったんですよ。“私はロックだからこういうアルバムです”っていうのは、今の私の方向性ではなくて。今作には初期のGeminy Wiseの楽曲から、最近作ったものまでを織り交ぜているので、歴史を見てほしいなと。その中で気に入った曲があって、なおかつ共感してもらえるとうれしいですね。

そうヴォーカルのKannaは語る。コンポーザーのSin.と結成したGeminy Wiseにとって初音源となる今作には、ロックを基盤に多方面に輝きを見せる6曲が収録されているのだが、現在はKannaのソロプロジェクトとして活動している同ユニットだけに、そこには彼女の想いが如実に表れていると言えるだろう。

ドロドロに書いちゃってますけどね(笑)。でも、どこか冷めた部分もあったりして、個性的な曲ばかりだと思います。私の歌声もそうですけど…実は、この声が本当に嫌いだったんですよね。頭の中ではかわいい声を想像していたのに、現実はハスキーっていう(笑)。歌うことを諦めようともしたんですけど、ちょうどその時にロックと出会うことができて、自分に合った歌に巡り会えたことで、逆に“これは私の個性なんだ”と思えるようになったんですよ。そんな私に合った楽曲を、いつもSin.は提供してくれるし、歌詞も乗せやすかったですね。

荒々しいバンドサウンドと力強い歌声が響き合うリード曲の「Shining」からは、前進することを恐れない逞しさを感じられた。彼女が綴る言葉には、痛みや苦しみも描かれている。それでもなお闘おうとする姿にはリアリティーがあり、だからこそこんなにも感情が揺さぶられるのだろう。

それは、私にもみんなと同じように悩みもありますから。今まで生きてきた中でいろいろ苦労はあったし、痛みや苦しみってどんな人でも経験するものだと思うし。こうやって誰かに伝える立場になったからといって、ただ“大変だね、頑張って!”という曲は歌えないですからね。自分の経験を活かして、相手を引っ張っていけるような歌を歌いたいですね。そういう意味では、どの曲においても私の生き様が注入されてます。暗い面も出ちゃってるとは思うんですけど…それが悪いことだとは思ってません(笑)。だからって押し付ける気持ちはなく、共感できるポイントがひとつでも多くあればいいなって。音楽を発信することが全てではなく、共感してもらえて初めて私の歌は救われると思うので。

Geminy Wise

ジェミニーワイズ:Kanna(Vo)とSin.(Composer)からなるユニット。現在はKannaのソロプロジェクトとして活動中。ロックを主体とした楽曲に、独自の主観を織り交ぜながら激しさと切なさの融合する世界を創り出している。

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