【fly sleep fly】


取材:高木智史

“ここは僕らの場所だ”と旗を掲げられる1枚ができた

3枚目となる作品ですが、何かビジョンはありましたか?

yUsUke

1stと2ndはわざと自分たちでカテゴリーを限定するように作っていったので、今作は作る前に、そういう小細工はなしでいこうと決めてました。それでいて、6曲全部シングルとして通用するようなもの、“精いっぱい作りました”と言えるものを純粋に作りたいと思っていました。

NuTz

歌詞に関しては、悩んだ時とかに友達や周りの人がくれた言葉にインスピレーションを受けて書いたことが多かったですね。なので、これまでと違うところは“みんなに”じゃなくて“To You”みたいな感じかな。個人レベルでの歌詞が多くなったと思います。それから「Shine Out!!」ではレコーディングに入る前に、感情的になって歌うことと相手に伝わるように歌うことはまったく別のことなんだと気付いて、悪い意味じゃなく力を抜いた部分とか、ファルセットとかいろいろ変えて歌いました。それが今作での挑戦にもなっていますね。

その「Shine Out!!」は疾走感があり、爽快な曲ですよね。

yUsUke

実は、この曲は最初にメロディーができた時に“今の5人ではできない”と思ったんですよ。これまでは僕が作った最初のイメージにみんなで向かっていくという曲の作り方で、実際みんなでアレンジしてみても、やっぱり僕が想像していた以上のものは一切出てこなかったんです。でも、バンドでやっていくうちに、そのイメージを飛び越えちゃったという。だから、自分の中でも掴みきれてないところが正直なところ若干あるんですね。曲自体が生き物のようで、“いつ暴れ出すか分からない”みたいな感じがするというか。それだけ得体の知れないパワーを秘めている曲だと思います。5人でゼロから作った曲としては初めての曲になるので、この曲ができたことで、ある意味バンドになったなと思えました。

BACHI BLUE

その行程はすごくしんどかったですね。1ヵ月不眠症になったり。いつもはわりと好きなようにやらせてもらってるんですけど、この曲に関しては“これも違う。これも違う…”って何十パターンもフレーズを作ったんで。あと、バッキングに関しては前半yUsUkeで後半が僕というふうになってるので、ふたりの音圧の違いやキャラを感じてもらえたらうれしいですね。

それは意外でした。この曲以外でもいいのですが、ShoWさんとkazさんがこだわったところや挑戦というのは?

ShoW

僕は「JUST ONE THING」ですね。もともとyUsUkeさんのデモが、絶対手が3本ないと叩けないものだったんです。正直、“何なんだ、これ!?”って(笑)。でも、やっていくうちにそのフレーズだから意味があると思えたので、頑張りました! そろそろレベルアップしなきゃと思っていたので、難易度の高いものに挑戦できたと思います。

kaz

僕は「I just wanna…」という曲なんですけど、デモをもらった段階ですごく好きな曲だったんですよね。自分が普段聴いてる音楽も静かな音楽だったりするし。だからか、すぐフレーズも出てきて、すごく作り込むこともできました。自分の中で一番好きな曲です。

それぞれに明確な意志や挑戦があって、出来上がった作品にどのような心境ですか?

yUsUke

“FLY THE FLAG”というタイトル通りの“ここは僕らの場所だ”と旗を掲げられる1枚ができたと思います。ここは誰も入れないし、入ってこれたとしても“もう二番煎じになりますよ”というくらいの自信の持てるものができました。

fly sleep fly

フライ スリープ フライ:5人から成るガールズヴォーカルエモロックバンド。渋谷、新宿を中心にライヴを行ない、2008年1月、1stミニアルバム『Way I Believe In』をリリースした。

アーティスト