【ウラニーノ】

L→R ピストン大橋(Ba&前説)、山岸賢介(Vo&Gu&Piano)、小倉範彦(Dr&アート)

結成9年目なのだが、バンド史上初となるシングルを発表したウラニーノ。“シングルは難しい”という意識を乗り越えて完成させた「終着駅」について語ってもらった。
取材:土内 昇

結成9年目にして初のシングルを発表されたわけですが、ミニアルバムでの作品のリリースはあっただけに、シングルというものに抵抗があったのですか?

山岸

そうですね。ウラニーノの曲って最初から最後まで聴いてもらって分かるっていうようなストーリー性のあるものが多いので…やっぱりシングルって、サビだけ聴いて分かりやすいものが求められたりすると思うんですよ。でも、そういう曲を作るきっかけがなかったし、アルバムの方がウラニーノの世界が伝わりやすいと思っていたので、ずっとミニアルバムを出してきたんですね。だから、今回は最初からシングルっていうお話があって作ったという感じです。

では、シングルを意識して曲を作ったと?

山岸

そうなんですけど、実はもう1曲作っていて、それを表題曲にする予定だったんで、「終着駅」はカップリング用ってことでレコーディングしたんですよ。でも、「終着駅」のほうが評判が良くて、シングル用に録り直したといういきさつがあるんです。

小倉

最初はシングル用の曲ってことで“明るい曲なのかな?”とか思ってたんですけど、今までのウラニーノっぽい世界観だったんで、シングルを狙った感じはしなかったですね。普通にライヴでやってみたいと思ったし、これをバンドでやればどうなるんだろうっていう期待感もありました。だから、僕もカップリングではもったいないって思ってましたね。

大橋

僕はメンバーでありながら、いちファンでもあるんですけど、山岸くんの曲でいいなって思う曲は、Aメロでのメロディーや言葉だったりの掴みが面白いというか、インパクトがあって…この曲も出だしが“扉に挟まれる”ですからね(笑)。だから、最初からいい曲だなって思ってました。

そもそもはどんな曲を作ろうとしたのですか?

山岸

難しいシチュエーションや物語ではなく、比較的分かりやすいラブソングを作ろうと思って…でも、ウラニーノらしいものっていうか、言葉使いとかはよく考えて、“好きです”みたいな単純なラブソングにならないようにってのは気を付けました。

いつも歌詞は小説的ですが、実体験なのですか?

山岸

ほぼ妄想で書いているんですけど、自分と重なったりしますね。歌詞の主人公が自分であるにせよ、ないにせよ、すごくダメな奴なんだけど、どこか愛おしいようなイメージを持ってもらいたいんですよ。なので、そういう主人公像っていうものを意識してます。ただ、昔よりも、どんどん自分に近づいてきている気はしてますね。妄想で書いているんですけど、その主人公に自分を重ねているなって思うことがよくあります。

シングルとはいえ、ウラニーノらしい作品になりましたね。

山岸

ウラニーノにとってシングルは難しいっていうイメージが3人にあったんですけど、自分たちの意志を曲げることなく、ちゃんとウラニーノの世界観を出した上で、初めてのシングルが出せたのは大きいですね。最初はポップでキャッチーなものを作らないといけないのかなって思ってたんですけど、結果的に妥協なく、出したいものが出せたので、満足できるものになりました。

大橋

カップリングの「ありがとうとごめんねと」と併せて聴いてもらえれば、ウラニーノの世界観がさらに伝わるし、これがみんなの入口になればいいなって思いますね。

小倉

ライヴハウスの人とかに“キラーチューンが1曲あればいいのにね”とか散々言われてきたんですけど、9年目でできたシングルが「終着駅」だと思うので、その重みがありますね。

ウラニーノ

埼玉出身の3ピースバンド、短編小説のような独特な歌詞の世界観とドラマチックな曲の展開にもかかわらずコミカルなステージング。佐久間正英氏プロデュースでインディーズバンドとしては異例のC.C.Lemonホールワンマンライヴを決行。1200人を動員。2009年7月、メジャーデビュー。

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