【鴉(からす)】鴉にはこういう曲もあ
ると知ってほしい

L→R 一関 卓(Ba)、近野淳一(Gu&Vo)、渡邉光彦(Dr)

激情系3ピースとして注目を集める鴉が、3rdシングル「黒髪ストレンジャー」をリリース。ジャズを採り入れた意外性あるアレンジが、ポテンシャルの高さを物語る作品になった。
取材:榑林史章

「黒髪ストレンジャー」はすでにライヴでも頻繁に演奏されてる曲。ジャズっぽいニュアンスが独特でカッコ良いですね。

近野

4年くらい前に作った時は、ジャズってあまり聴いたことがなくて。こういうビートもあるなって、ぼんやりしたイメージでやっていたんですけど、それから徐々に学んでいきながら、今回のかたちになりました。

一関

最初に聴かせてもらった時は、確かに他の曲とは雰囲気が違うって。でも、世界観としては、鴉の持っているものと通じる部分を感じたし。カッコ良いと思ったのが一番で、“すぐこの曲をやろう!”と言ったんです。

渡邉

鴉でやったら面白くなりそうだと思いましたね。

アナログレコードのノイズや、ピアノの音が入っていたりして、すごく細かい遊びが散りばめられている。でも、歌が始まると、やっぱりすごく鴉らしいですね。

近野

だから、変化球ですよね。鴉って、これまでも無茶なアレンジをしてきたんですけど、それは曲の中に違和感を残すということで。今回で言えば、ジャズっぽい雰囲気がそう。それで、“これを鴉がやるの?”というだけで違和感はもう十分だから、逆にそれ以外の部分はより鴉らしくやりました。

渡邉

跳ねるリズムがすごく難しかったです。まぁ、でも完全にジャズをやってるわけじゃないし。結果的に、ロックな部分もすごく出てると思います。

一関

ジャジーな感じはわりと好きで、聴いたりもしていたけど、ちゃんとやったことはなかったからね。

曲名のセンスが抜群。ある意味すごくキャッチーだし。

近野

何かのフライヤーに“ストレンジャー”って書いてあって、単純に語呂がカッコ良いから使いたいと思って。

ちなみに、黒髪の女の子がタイプですか?

近野

別にそういうわけじゃなくて。

一関

“金髪ストレンジャー”じゃカッコ付かないし(苦笑)。

歌詞は作った当時から直したそうですね。

近野

すごく単純化したんです。日本の古き良き歌って、短くて単純な言葉だけで成立している。この曲は、音の遊びというところから始まっている分、どこかで締め直してあげないといけないと思ったので。

そんな「黒髪~」に対し、カップリングの「夏色」はストレートなメロディックパンク調で、「無」は独特の浮遊感がある。まったくテイストの違う3曲が収録されましたね。

近野

その時期その時期でいろんな曲作りのモードがあるんです。「夏色」の時は、良いメロディーさえあればそれで良いという考えで作ったもの。だから、メロディーとノリを重視して、余計なことは一切していません。「無」は「黒髪~」が派手な変化球としたら、こちらは地味な変化球。当時、奥田民生さんの曲をすごく聴いていて、コードの使いかたとか、あの独特の浮遊感を自分なりに出せないかと思って作ったものです。人に放つような曲が多いから、たまには包み込むようなものが作れないかと。

この3曲を聴くと、次はどうなるか楽しみになります。

近野

逆にどこに行ってしまうの?という不安もあるかもしれないけど(笑)。でも、鴉にはこういう曲もあるんだっていうことを、流れの中で知ってもらいたいと思ったんです。だから、1stの「夢」から2ndの「風のメロディ」と、続けて聴いてもらえたら、分かってもらえると思います。

鴉(からす)

カラス:近野淳一が中心となり結成した3ピースロックバンド。2009年8月にシングル「夢」でメジャー進出。そして10年12月8日、1stアルバム『未知標』のリリースが決定!

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