【Any】衝動的な感覚が音に出てるし
、
詞もつながってる
L→R 高橋 武(Dr)、工藤成永(Vo&Gu)、大森慎也(Ba)
メジャーデビューシングル「優しい人」に続く2ndシングル「落雷」が早くも完成! 一体感豊かな演奏と胸を打つ歌声のアンサンブルがさらに研ぎ澄まされた「落雷」には、現在の彼らのリアルな意志が強く込められている。
取材:道明利友
「優しい人」と今回の「落雷」は2カ月連続リリースになりますけど、この2曲の流れはどんなふうに捉えていますか?
工藤
「優しい人」は、僕が高校生時代に作った曲っていうのがまず大きかったと思うんですよ。大会に出た時にグランプリを獲ったかなり昔の曲なんですけど、それをデビュー曲にしたっていうのは、自分たちの原点回帰みたいなところもあったというか。で、今回の「落雷」は…『羽根のさなぎ』(2ndミニアルバム)を出した後に、自分の詞の表現とか、"どうしたらもっと届くだろう?"って、すごく悩んだ時期があって。そういう大きな変化を求めてた時期にできたのがこの曲だったんですよね。悩んで悩んで、どうしたらいい? どうしたらいい?…って時にワーッとギターを鳴らしてイントロを弾いたら、一気に曲ができたっていう感じで。なので、この曲はわりと衝動で作ったっていう感覚が大きいのと、「優しい人」っていう曲があったからこの歌詞を書けたなっていう。自分がもともと表現したかったものとか、Anyがもともと持ってる良さを、また思い出せたっていうか。
幕開けのギターのリフから、いきなり衝動的ですよね。メロディーはもちろん曲の芯にありながら、"Anyってこんなに荒々しいバンドだったっけ?"って思うぐらいのサウンド感で。
高橋
そうですね。最初に弾き語りで曲を聴いた時に、工藤くんが変化を求めているっていうのは明らかに感じて。僕らもバンドとして変わる時期だなっていう自覚もあったし。で、この「落雷」は、良い意味で作り込んでいないというか。
大森
そう。工藤くんが持ってきた曲に対して、アレンジとか音作りをそういうふうに考えたのは、今回が初めてで。
高橋
衝動で持ってきたものを僕らも衝動で鳴らす、っていう感じだったんですよね。でもそれは、衝動で鳴らすっていうのを意図的にやったわけではないんです。曲を聴いて、自分たちが自然と鳴らしたらこういうものになったっていう…それが、"曲の持つ力"っていうことだと思うんですけど。
余計なものは要らないって、曲が言っているような。それだけの魅力を、このメロディーと歌詞が持っていたのかも。
大森
だと思います。どうして3人が同じように衝動で合わせにいけたかを考えると、今回は、詞の表現が変わったこともあるのかなって。テーマがより明確に示されるようになったし、3人が目指すべきところがはっきり見えていたからこそ、同じ方向を向けたんじゃないかなと思っていて。だから、意志の強さとか、グイグイ引っ張っていく強さを演奏でも表現できたらいいなっていう意識で今回はやりました。
工藤くんが最初に話してくれましたけど、その意志の強さを感じさせる曲ができるまでには、悩みとか、苦労がかなり?
工藤
はい。自分はこの先どう曲を書いたらいいんだっていうこと自体にとか、これからどうしたらいんだろうって漠然と悩んでしまったんですよね。その時は、自分は考えることに必死になっちゃって空回りしてたと思うんです。そういう時に、次は片寄さん(プロデューサー・片寄明人)と一緒にやってみようよって話になって、それでまたさらに成長したいっていう思いもあったし。そういう中で、曲もなかなかできなくて悩んでたら…"もう、いっちまえよ!"みたいな感じで弾いたのが、この「落雷」だったんですよね(笑)。その衝動的な感覚が音に出てると思うし、そういうことと詞もつながっているというか。《一直線に駆けていく》とか《甲羅も脱ぎ捨てる》とか、殻を破りたいなっていう気持ちがそういうところに出てますよね。
《君に会いにいくから こっち向いて》っていう歌詞は、一見はラブソングに捉えられるかもしれないですけど、当時の心境がリアルに言葉になっている曲なんですね。
工藤
そうですね。自分が今見てる世界から、一歩踏み出したいなっていう。"大事な人に会いにいく"っていうのをコンセプトにこの曲は作ったんですけど、"君に会いにいく 大好きだよ"みたいに歌ったら安っぽいと思うんですよ。そうじゃなくて、自分が何をしたいのか、自分は何を表現したいのかっていうことを描いた曲で…。例えば、自分の身を犠牲にしても行きたいっていう気持ちだったり、"こうなりたい"とか"こうありたい"って願望はすごく出てると思うんですよ。だから、《一直線に駆けていく》とも言ってますけど、そう言いながら僕は自分を奮い立たせてるんですよね。《終わりのない闇の迷路》とか、《地獄の渦にはまっても 自力で這い上がっていく》っていうところとかは、周りから見ても"絶対こんなの無理だろ!"っていうところに自分からあえて飛び込んでいって、みたいな。そこで葛藤して悩んで見つけた答えが、"会いに行く"っていう行為だと思ったんです。
理想とか夢を"君"っていう言葉に託して、そこに自分の力で向かっていくっていう。その力強い意志は、音からもしっかり伝わると思います。バンドとしてひと皮むけたような感覚は、この音を作れた今はすごくあるんじゃないですか?
工藤
ありますね。僕から見ても、リズム隊はめちゃくちゃ上手くなってるんですよ。ベースもめちゃくちゃグルービーになってるし、ドラムもキレが増してるし。ライヴやってても、背中に受けるドラムの感じとかが全然違うんですよ(笑)。最近は、圧というか、意志がもう全然!
大森
うん。前は、歌を生かすためにはどうしたらいいかを考える時に、やっぱりシンプルにいくのがベストかなって思ってたんですけど。ただシンプルにいくだけなら僕じゃなくて誰でもできるんじゃないかと思って。そうじゃなくて、自分らしさをより少しずつ濃く含めていきつつ、Anyの世界観を膨らませられればと思ったのがきっかけですね。今の、この音ができた理由は。
アーティスト
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