【D-51】自分たちが良いと思うものを
全て詰め込んだ

L→R YASU(Vo)、YU(Vo)

通算5枚目のアルバム『STAR』は全楽曲の作詞作曲をふたりが手掛け、D-51としての可能性をさらに高める作品に仕上がった!
取材:石田博嗣

前回の「ファミリア」の取材の時に“今度はこういう曲をやりたいとか、次は違うタイプの曲を作ろうって思うようになった”と言っていた通りの意欲的なアルバムになりましたね。

YASU

僕ら自身がやりたい曲も作るんですけど、スタッフからのリクエストにも応えたので、僕らだけでは感じられないD-51の音楽というのものを気付かされましたね。

YU

スタッフと恋愛の話をしていて、その場のノリで“じゃあ、心にグッとくるバラードを書いてみるよ”ってなったり。もちろん、ふたりで“こういう感じの曲があったらいいんじゃない?”って作ったりして、いろんな個性の楽曲ができましたね。

サウンドも遊び心や挑戦心に満ちてますよね。「GOLDEN TIME」のバスケットボールをドリブルしてゴールする音がビートに発展していくアイデアは面白かったです。

YASU

この曲はbjリーグの琉球ゴールデンキングスの応援歌なんですね。僕がものすごくバスケが好きなので、アレンジャーの生田真心さんにイントロの部分にバスケをやっている音が欲しいってお願いして、キャッチボールをしながら一緒に作りました。シューズの音も頭の中で動きを想像しながら“ここのドリブルの後にキュッと入れてください”とか言ったり(笑)。

YU

むちゃくちゃ細かかったよね(笑)。

それもこだわりですね(笑)。歌詞なのですが、やはり年齢を重ねていく中で視線も変わってきました? 「STAR」のような歌詞は、20歳そこそこでは書けないですよ。

YASU

歌詞を書く時って、身近な人たちの話とか、友達と呑んでいて…やっぱり仕事の愚痴大会になるんですけど(笑)、そういうのって年齢を重ねるごとに内容が全然変わってくるんですよね。でも、そういうことを歌にしていきたいんですよ。存在する人に向けて歌ったほうが、CDを買ってくれた人も共感しやすいと思うし。「STAR」は周りの友達に子供が産まれたりして、一緒に遊んだりもするんですけど、“あの頃よりも大人になったな”って一番思ったことが、受け取る側から与える側になったってことなんですね。クリスマスプレゼントにしても、お年玉にしても。そういうことを感じた時に、僕が今感じていることを歌いにしたいと思った…その子供たちに歌ってあげたいっていうか。それをYUに伝えてできた曲ですね。

YU

こういうことが歌えるようになったんだなって。やっぱり、最初は気になりましたね。でも、僕らには歌しかないので、こういうこともどんどん伝えていかないといけないと思うし…だから、アルバムのタイトルにもなっているというか。

本作でD-51の可能性が広がった感じがしますね。

YASU

そうですね。「ファミリア」の時もそうだったんですけど、アルバムを作って“こういうこともできるな”とかいろんなアイデアがすごく浮かんできたんですよ。そういう意味では、まだもっといいものが作れるなって。いろいろ冒険したことで、“こういう曲もD-51でできるね”ってなったし、よりカッコ良い曲、より泣けるバラードをやっていきたいですね。そのためにももっと勉強したい…もちろん、今の僕らができることをやりきったアルバムではあるので、これを聴いていただいて、次のD-51を期待していてもらいたいですね。

YU

今までの作品が自信なかったわけじゃないんですけど、今回のアルバムでようやく自信作が作れた実感がありますね。妥協してないし、自分たちが良いと思うものを全て詰め込んだので、誰が聴いても刺さるアルバムができたと思います。

D-51

沖縄のストリートから音楽シーンのメジャー・フィールドへ——。03年から数多くのストリート・ライヴをこなしてきた、沖縄を拠点にするヴォーカル・デュオ=D-51。彼らはそのライヴ経験に裏打ちされた実力(ふたりのヴォーカルのハーモニー/強く大きな歌唱力など)と爽やかで透明感のあるグルーヴィな歌声という華やかな個性を携えて、04年にメジャー・フィールドに飛び出した。インディ時代には既に彼らの才能の素晴らしさが口コミで広がっていき、全国区の人気を獲得するにまで至ったそう。メロディアスで涼やかなトラックと彼らのヴォーカルが描き出す世界には、リラキシンな聴き心地と仄かな熱情が入り混じっている。そんな世界を味わわせてくれるD-51の音楽に多くの聴き手が惚れ込むのもうなずけるというものだ。そんなD-51が発売したメジャー・デビュー・アルバム『ONENESS』にも彼らの魅力が目いっぱい詰め込まれている。オーディオ・プレイヤーの再生ボタンを押すと彼らが紡ぎ出すグルーヴの波が爽やかなそよ風に姿を変えて、柔らかく暖かく聴き手を包んでくる。なるほど、これが彼らの魅力なのだな。そう改めて実感する。彼らの歌声は“歌う喜び”に満ち溢れている。その想いを含めて、D-51の音楽はちょっと甘酸っぱくて、とっても気持ちがいい。

アーティスト