【DaizyStripper】この一年の成長が
凝縮された、
希望あふれる一枚”
L→R 風弥~Kazami~(Dr&Piano)、まゆ(Gu)、夕霧(Vo)、なお(Gu)、Rei(Ba)
2011年に『BLESS』『SIREN』と2枚のフルアルバムを発表したDaizyStripperが、年明け早々アルバム『AIR』をリリースする。自らに試練を課し、逞しい筋力や精神力、豊かな表現力を身に付けた彼らの渾身の一枚にビビれ!
取材:フジジュン
5thアルバム『AIR』をリリースするわけですが、2011年を振り返って特に印象的だったことは?
夕霧
僕はSHIBUYA-AXでのワンマンライヴが印象的でしたね。ソールドアウトしたのも嬉しかったし、その日に「KISS YOU」をみんなに合唱してもらったのを『AIR』に収録したんですが、映像を観た時にすげぇ感動しちゃって。
風弥
「KISS YOU」は絆をテーマに作った曲で、僕らも絆を強く意識して発信していたし、みんなにもそれが伝わっていて、お互いの愛も深くなって、ライヴに来るお客さんも温かい目で空間を愛してくれるようになった気がするんです。
そんな中、わずか半年強で3枚のアルバムが完成です!
風弥
過去に自分たちで作詞作曲してるバンドで、この曲数を作った人っているんですかね? “ま、できるでしょ”とか言ったけど実際やってみたら…ものすごい大変で(笑)。
夕霧
2010年にアルバムを2枚同時に出したんで、11年はそれを超えようっていう、ただの負けず嫌いだったんですけど。正直、“言わなきゃ良かった~”と思うこともありました(笑)。
風弥
3枚のアルバムは順番に作っていって、『AIR』は夏くらいに作り始めたんですけど、作曲期間が一番短くて…一週間くらい?(笑) あの時期は違う自分みたいになってて、ひたすら自分のプライドとの戦いでしたね。
なお
振り返るとアルバムを録ってた時期が夢を見ていたみたいな感じですね。冬に始まって、気付いたらまた冬だったみたいな(笑)。
さまざまな苦労も経て、いよいよ『AIR』が完成したわけですね。まずは出来上がっての率直な感想を聞かせてください。
まゆ
やっぱり『BLESS』『SIREN』があったからこそ、このアルバムができたと思います。色鮮やかな『BLESS』、攻撃的な『SIREN』があったから辿り着けたみたいな。
Rei
この一年でバンドとして成長した部分が『AIR』に凝縮されてると思うし、希望の見えるアルバムになったと思います。僕はレコーディング中に夕霧が進化を遂げた瞬間を実際に見たんですけどね。
夕霧
これだけ録っていれば、自分の良いところだけでなく弱点も見えますからね(笑)。歌詞では「切望のフリージア」を書いてる時とか、伝えたいことが言葉にならないのが苦しくて。丸裸な自分を出していこうと思って、《もし負けを認めたら楽になれるかな?》とか、その時に思った正直な気持ちを書きました。
その丸裸になる覚悟も進化のひとつかもしれないですね。
夕霧
確かに、絵画のように言いたいことを飾って書いたのが『BLESS』で、その表面を少し剥がしたのが『SIREN』で、『AIR』はほとんど素材のままで。ただ、その中にも“Air=空気”って一番身近にあるものなので、自然と人を包みこむようなアルバムになればっていう思いを詰め込んで。結果、現時点での完成形と言える作品になったと思います。
では、アルバム収録曲についてもお訊きします。1曲目「Endless Song」は、決意表明的な曲に感じたのですが。
風弥
どのアルバムでも1曲目にはすごくこだわってて、この曲も前作の流れや『AIR』をどんなアルバムにしたいかを考えて、オープニングらしい曲を作りました。
夕霧
足の裏に力を入れて、どっしりと立っているような曲になったので、歌詞では“俺たちの歌は終わらないんだ”と力強く伝えて、言いたいことをちゃんと言えましたね。
そして、Reiくん作曲のアッパーで攻撃的な「Time∞Killer」は、アルバムでもかなり異質な曲になっています。
Rei
「Time∞Killer」はアルバム制作の時間がない中、目が覚めるような曲をって意味もあったんですが。もともとは僕自身も『SIREN』を踏まえて、もっと突き抜けられたらと思って作った曲で。バンドにとっても、夕霧にとっても、新しい挑戦になった曲だと思いますね。ライヴでどうなるのか楽しみです。
Reiくんは意図的に夕霧くんがヴォーカリストとして、さらに突き抜けるきっかけをこの曲で作ったのですね。
夕霧
メロディーより言葉ありきの曲で。歌詞もとにかく時間がない中で本当にその時に思ってることを書いたんで、《I want to sleep》って正直に言っちゃってるんですよね。
Rei
僕も確かに“今の気持ちをそのまま書けばいいじゃん”とは言ったんですけど…。
アハハ。なおくんは「if」でラウドなDaizyStripperの一面を表現してます。
なお
『SIREN』で激しい部分はある程度出し尽くしているんですけど、自分の中でまだ出せる気がしたし、このアルバムにはない部分だと思って作りました。激しいけどメロディーも立っていて、アルバムの良いフックになったなって。
夕霧
歌詞を付ける時に“if”って仮タイトルがすでにあって、面白そうだなと思って書き始めました。“億万長者になったらどうなるかな?”とか考えて、どんどん空想が膨らんだんですけど、結局は今と変わらないし、それでいいんだろうなって結論になって。
「aquarium」は夕霧くんとまゆくんの穏やかで優しい部分がうまくリンクしていますよね。
夕霧
「aquarium」はすごくスムーズに書けた曲で。曲を聴いて、地球が水槽みたいに見えている画がすぐに浮かんで一気に書きました。深夜2時頃に歌詞を書いたんですけど、フワフワしていて、この曲を聴きながら眠りたいなって(笑)。
まゆ
曲もまさにそんな感じで、夜が来た後は朝が来るように、地球が回るように物事は回ってるっていう壮大なイメージで作りました。『BLESS』の1曲目「adam」のイントロをアレンジしていて、僕の中では新しい旅に出るけど実はまた一周していて、みたいな意味合いもあったんです。
ラスト「Bremen」はアルバムを締め括りつつ、次作へとつながる希望にあふれる終わり方で。
風弥
作品自体のクライマックスは「aquarium」ですが、「Bremen」はアンコールみたいな曲で、まさにバンドとしての次のステップを一歩踏んだところで終わりって感じですね。
夕霧
《下り坂を転がるようにね》って歌詞は、まさに今年を象徴した言葉だと思うんですけど…来年もきっとそうなると思っていて。俺ら、ブレーメンの音楽隊みたいに不器用でカッコ悪いところもあるけど、それでも未来を見据えながら、希望を持って音楽を鳴らし続けていきたいですね。
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