【FALCO&SHINO】聴く時に心を使って
ほしい

2007年、5000組のアーティストが出場したavex主催オーディション『STARZ AUDITION』にて優勝を勝ち取ったFALCO&SHINO。その後も精力的にライヴ活動を続け、満を持してミニアルバム『The Message』を完成させた!
取材:ジャガー

タイトルに“The Message”と付けるだけあって、1曲目の「時をかけるラッパー」からパンチの効いたリリックで攻めていますね。生半可な気持ちで歌うことはできない分、おふたりの意気込みを感じました。

FALCO

若さもあるんですかね(笑)。

SHINO

出だしから《ツマンネー奴が売れんのはツマンネー》って、大丈夫かー?みたいな。

言い方はきつい部分もあるかもしれませんが、間違ったことは言ってないですよね。確かにそうだなって、共感します。

FALCO

聴いた時にハッとさせたかったんですよ。いろんな楽曲があるわりにトピックは泣ける恋愛が多かったりするじゃないですか。そういう中で俺らの曲を聴いたら新鮮に思えるんじゃないかと。ずっと音楽やってきて、活動場所を大阪から東京に移して感じたことを言葉にしてるんで、それがきついと言われたら“きついんちゃう?”ってぐらいで、受け取り方はリスナーに任せます。でも、聴く時に心を使ってほしいですね。例えば「時をかけるラッパー」って、聴いてるとすごいエネルギーを感じる曲だから受け取る側もしんどいと思うんですよ。“私もエネルギー使ったわー”とか、“夜思い出してもうた”とか。そういう曲を作りたい。恋愛の曲であれば、よりリアルに。誰かの悲しい過去をえぐるかもしれないけど、それを浄化できる力が歌にはあるから、今となっては良い思い出やなって思えるきっかけを作りたいですね。タイトルは収録曲7曲全部が仕上がった段階で付けたんですけど、全編聴いた時の印象が“これって自分たちからのメッセージじゃない?”ってことで。角度は違うけど、言ってることは俺たちの今思っていること、伝えたいことだったし、ここから本格的な音楽活動が始まる第一歩の音源だから、“The Message”っていうタイトルを付けることでリスナーにもそういう気持ちを汲んでから聴いてほしくて。

SHINO

「時をかけるラッパー」は、たまたま『時をかける少女』の映画を観たんで、そこからインスピレーションを受けました。良いものは世代を超えて残っていく、自分たちもそういう良い音楽を作れるアーティストになりたいなっていう話が膨らんで曲を書くことになったんですよ。一曲一曲トピックが違って、そのトピックに合わせて自分たちが思っていることを歌ってるんですけど、基本的にメッセージ性を強く押し出したいというのはFALCO&SHINOのベースにありますね。だから、一発目だから挑発してやろうって気持ちではなく、これが自分たちのスタイル。FALCO&SHINOはこういうアーティストだっていうのは見せれたかなって思います。

アルバムには母親や仲間に対する愛があったりして、実は良い人なんですね(笑)。

FALCO

そうですね、そう思われたいです(笑)。「Dear Mama」は感謝する曲を入れたかったんで、感謝する順番でいったら最初はオカンじゃないかなと。で、次のアルバムではオトン、その次は兄弟って続けていったら、最終的にはみんなに感謝できるという。そうやって攻撃的な面と優しさを出してギャップを狙って、そこから惚れさす…的な(笑)。

落としどころはそこですか!? 活動の場を東京に移したと先ほどおっしゃいましたが、曲自体は東京に来てからのものですか?

FALCO

そうですね。もともと2~3曲あったものも、東京に来てから完成させました。数としては結構作りましたね。

そこから収録されている7曲が選ばれた理由は?

FALCO

自分の気分が乗った曲ですかね。他にも良い曲はいっぱいあったんですけど、自分らが作ってて一番テンションが上がったものですね。俺とSHINOのやりとりで“これヤバくない?”っていうのが始まりやと思うんですよ。制作期間が1年と長かったんで、いろいろ曲を作ってはライヴで披露して反応を見たりしながら生き残った7曲です。

「ROCK&ROLL」や「BABY BLUES -SHINO-」は、ライヴで盛り上りそうなナンバーですね。

SHINO

「ROCK&ROLL」は、まさしくそのために作った曲ですね。盛り上がる曲をちょうど作りたくて、音を聴いた時にひらめいたんです。もともとバンドをやってたんで、バンドのビートにメロディーとかラップを乗せるのがすごい好きっていうのもあり、これはやったらいけるんちゃうかって。「BABY BLUES」は上京してきての自分を歌ってるんですけど、シンセを使って疾走感を出しました。今の音楽にはシンセが結構使われてるじゃないですか。ああいう感じをFALCO&SHINOでも作りたくて。そこに上京してきた自分の決意や考えをリリックに込めました。

「I HAVE A DREAM」にも決意を感じましよ。これまでおふたりが歩んできた道とこれから続く未来を感じさせる内容で印象深かったです。

FALCO

1番と3番の歌詞を書いたんですけど、これ絶対良い曲なるわって確信がありました。SHINOの書いた2番の《俺はどこにでもいる普通の高校生》っていう出だしを見て、確信したんです。最初、俺の出だしは違ってたんですけど、統一することで、歌自体が俺らと一緒に続いていきそうだなって思ったんですよね。

SHINO

自分の経験がそのままリリックになってるから、今聴くと昔のことを思い出したりとか、一瞬泣きそうになります。ありのままの自分を詰め込めたんで、この曲のリリックは一番好きですね。

そう言えば、FALCOさんは海外で旅をされたんですよね。

FALCO

トルコに1週間行ってきたんですけど、ミニアルバムができた時に改めて音楽のトピックってもっとあるべきだと。「新世界 -FALCO-」ってソロの楽曲でも歌ってるんですけど、みんなが感じることって、彼氏彼女のこと以外にもあると思うんですよ。今で言ったら、雇用形態や自殺の話だったり。身近にそういう出来事が起きてて感じることは山ほどあるのに、歌は恋愛だけっておかしいなと違和感を感じてたんです。だから、アーティストサイドから盛り上げていかないとってことで、俺を知らない海外にまずは行ってみたいと思ったんですね。トルコにしたのには、ヨーロッパと中東の文化が上手いことミックスされてるっていうのが大きかったです。そこで新鮮な気持ちをたくさん育めたので、次回作につなげていこうかと。でも、11月から今度はアジアを回るつもりなんで、そこでも何か得たいとは思ってます。

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FALCO&SHINO

ファルコ&シノ:1985年生まれ、大阪出身。絶妙な言葉選びによって聴く者を納得させるリリックを生み出すFALCOと天性のハイトーンヴォイスを駆使し観る者を魅了するSHINOによる2MC 。2002年に原型となる4MCのクルーを結成し、関西でライヴ活動を開始。それからメンバーの脱退を経て、04年現在のかたちとなる。

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