【きくこ】またこうやってバンドがつ
ながれたから、
費やした時間は必要だった

L→R デミ(Ba&Cho)、えーぽん(Dr&MC)、菊(Vo&Gu)


取材:ジャガー

『絶対領域』にかかった約一年は、意志の疎通が上手く噛み合わずに衝突したと語るメンバー。一時は完成すら危ぶまれたが、掛け違えた“糸”を丁寧に解いていくことで、楽曲のクオリティーはもちろん、バンドとしても大きく成長できたという。

「制作期間も中盤に差し掛かったところで、お互いの意見が衝突してしまい…こんなに大きく爆発するまでに、ちゃんと話し合えてなかったのがいけなかったんですけど。いろんな感情がぐるぐる頭の中で回って、考えることから逃げたくて、『何もしたくないな』が生まれたり、本当に壮絶でした(笑)。でも、バンドとしてはすごく成長できた時期だと思うんです。こんなに近くにいる存在でも、感情を表に出さないと伝わらないんだって気付けましたし、おかげで歌い方も変わりました。音程を気にして綺麗にまとまろうとするのではなく、外してもいいから1曲の中で感情を全部吐き出さなきゃって」(菊)

「音楽に嘘を付いても意味がないんで、“これで終わってもいい”ってぐらいに意見をぶつけましたね。それだけこのバンドに懸ける思いが本気だったし、それでも良かったらついてこい!って…上から目線な(笑)」(デミ)

「一度は揉めたけど、またこうやってバンドがつながれたから、それが今回のコンセプトにもなってるんじゃないかな。そう考えると費やした時間は必要だったんだなって思います」(えーぽん)

リズム隊がリードする上を生々しく、人間臭く、狂気に満ちたヴォーカルが暴れる。今作では“糸”がコンセプトとなっているのだが、あくまで自然な流れだった。

「最初は特にコンセプトを決めずに曲を作ってたんですけど、バンドが大きく衝突したことで“糸”って言葉が浮かんだんです。“糸”を結ぶことで助けてくれることもあるけど、時には苦しめたり、死に追いやる凶器に変わってしまうじゃないですか。人と人とのつながりにも置き換えられるんですよね。寂しいからつながりを求めるんだけど、絡み合うと苦しめられて壊したくなる…自分たちがまさにそういう状況でしたし。そんな思いから『繋ぎ糸』ができて、楽曲をいざ並べてみると自然とこのコンセプトになってたんですよ」(菊)

きくこ

キクコ:2008年に結成。紅一点の菊(Vo&Gu)が舵を取り、おどろおどろしたサウンドを紡ぐ3ピース感情型激情ロックバンド。東京都内・新宿を中心に活動中。昭和歌謡を彷彿させるメロディー、感情のままに綴られたストレートな言葉により、人間の喜怒哀楽をありのまま表現する。

アーティスト