【GOODWARP】踊らせたい意識、いろい
ろなアレンジの混ぜ方を発見できた
L→R 萩原"チャー"尚史(Ba)、有安祐二(Dr)、吉崎拓也(Vo&Gu)、藤田朋生(Gu)
2月18日にリリースした、流通盤としては約2年振りとなるEP『STAR SIGNAL』。バンドサウンドだけにこだわらない、打ち込み音との絶妙な融合がひときわ異彩を放つ本作について訊いた。
取材:高良美咲
本誌初登場のため、まずはGOODWARPの結成のいきさつを教えてください。
吉崎
俺とチャーが前に組んでたバンドが解散することになって、その時はサイドギターをやってたんですが、新しいバンドで踊れるポップスを自分で歌ってみたいなと思ったことがきっかけです。
活動の中で、何か変化はありましたか?
藤田
よりライヴ映えするように曲全体のダイナミクスにこだわってアレンジするようになりました。
2013年5月にはタワーレコードとAmazon限定でミニアルバム『SOUND FROM A DINGDONG』をリリースしましたね。
吉崎
当時の自分がやりたかったサウンドや理想を並べて、そのまま詰め込んだアルバムですね。あのアルバムに入ってる楽曲はすごくループフレーズを多用しているんですけど、ここ最近聴いていた音楽は変化に富んだアレンジが多かったので、この前聴き返してみてなんだか新鮮に感じました。
有安
リリースの反応は率直に良かったですね。いろんな人が反応してくれました。バンド仲間やお笑い芸人の方がTwitterで呟いてくれたり。
そんな前作から約2年振りの流通盤となるEP『STAR SIGNAL』を2月18日にリリースしましたが、タイトル曲でもある「STAR SIGNAL」はどのようなイメージからできたのですか?
吉崎
「STAR SIGNAL」は去年の秋頃書いた曲です。ライヴで無意識のうちに笑いながら歌ってるようなダンスミュージックが多いのですが、真顔で歌う曲を作ってみよう、ということで書き下ろしました。夜な夜な機材車の中にアコギとレコーダーを持ち込んで作りました。
キャッチーで口ずさみたくなる歌だけではなく、心地良いメロディーラインからギターソロまで、サウンド面も聴きどころ満載でした。
吉崎
最初はウワモノが足し引きされながらドラムがワングルーブで駆け抜けるようなアレンジを考えていたのですが、歌の聴こえ方を優先するためにあえてデコボコさせました。
藤田
全体的に男らしいというか、ガッシリとした頼れる印象にしたいと思っていました。ギターは歌の後ろでも口ずさめるフレーズを…というように考えました。特にBメロはこだわりました。
チャー
最初はそれこそワングルーブで踊らせる感じだったのですが、最終的にはもうちょっと歌を聴かせる感じにまとまりました。でも、ただ歌を聴かせるだけではなく、踊らせるニュアンスを残せるようにベースを弾く意識でレコーディングしました。
有安
とにかく身体が動くようなアレンジや演奏を意識しました。あとは、ドラムの音色にはとことんこだわりました。楽器をたくさん試したんで楽しかったです。
「サーチライト」はライヴでの合唱が想像できる一曲でした。
吉崎
タテノリだし、歌詞もエモいし、僕らの中では一番テンポの速い曲です。合唱が映えるようなステージの広い感じを出そうと意識しました。2サビの《意味なくたって高く登って 等身大を踏破してゆく》っていう歌詞は、昔チャーの実家の側の工場地帯みたいなところによく忍び込んで、細いハシゴのかかった高い鉄塔に登っては、なんかスッキリした顔で降りてくるていう思い出がもとになってます。
後ろで鳴っている軽快な打ち込みのシンセサイザーも印象的で。
チャー
バンド演奏だけで仕上げるとギターロックのような印象を感じたので、シンセのシーケンスフレーズを楽曲に混ぜてみました。ライヴではお客さんと一緒に合唱したいですね。
「command C」は現代を抽象的に描いた歌詞、言葉選びや言葉遊びが面白かったです。タイトルの“command C”というのはパソコンにおけるコピーのショートカットキーですが、どのようなきっかけからできた曲なのでしょうか?
吉崎
前に働いていたバイト先で、5時にきっかりあがってはスタジオに行ってたから“9時5時くん”って冗談混じりでからかわれていて、それをいつか曲にしようと思ったのがきっかけです。そのバイト先っていうのがパソコンと1日中向かい合う仕事だったのでショートカットキーをいろいろ覚えたんですけど、今はCubase(DTMソフト)をいじる時にその操作が大活躍してて、特にcommand+C(コピー)からのcommand+V(ペースト)は毎曲ごとに何回押したか分からないくらい使うので、オリジナルを作ってるはずなのに手元だけ見たらコピペの嵐というのが、なんか矛盾をはらんでいるようで面白いなと思ってタイトルにしました。あとは、“どんなクリエイトも模倣から始まるからいいものはシェアしましょう”という大人な俺と、“パクれるもんならパクってみな”という大人じゃない俺と、ふたつの意味を込めました。
4、5曲目には自らが企画している『YOASOBI Vol.4』にも出演したBUGLOUDさんによる、収録曲「STAR SIGNAL」「command C」の“BUGLOUD Remix”を収録していますが、そのいきさつを教えてください。
吉崎
BUGLOUDさんはポップスも作曲しながら本気のEDMをやってる人なので、一緒に何かできるんじゃないかということで、去年の秋頃にレコード会社の人から紹介してもらって知り合ったんです。クラブDJや邦楽ロックDJと言われる人たちとロックバンドの交流は多くても、こういう組み合わせはあまりないんじゃないかと思って、面白そうだなとお願いしました。
藤田
よりダンサブルにやっていきたいんだ!っていう姿勢の表れです。
本作の制作で意識したことはどういったところでしたか?
吉崎
ずっとライヴの風景を想像しながら歌入れしました。ヴォーカルブースにこもってるとピッチがどうとか声色がどうとかに気をとられて縮こまることがあるんですけど、そういうのはあまり考えずに歌いました。
チャー
ライヴで盛り上がれるようにという意識も持ちつつ制作してたので、結果的にリミックス含め全曲踊れる感じになったと思ってます。ぜひ聴きながら身体を揺らして聴いてほしいです。
作り終えて何か発見できたことはありましたか?
吉崎
譜面が全てじゃないということです。旋律はまったく同じでも、打ち込みで再現するのと人力で録音するのとでは、当然ですが聴こえ方が全然違う。僕は曲を作っている立場なので、理想の聴こえ方を想像しながらデモを作りますが、それじゃ通じないニュアンスや細かい表現が、結果的に楽曲を劇的に良くしてくれるということがよくあります。ディレクターさんに“ミュージシャンは説明の人生だ”と言われたのが印象的でした。
藤田
打ち込み音を混ぜて音楽をやる以上、バンドサウンドがより感情的である必要があります。自分のギターがどう入ってくるかで、そこの景色が大きく変わることがとてもやり甲斐のある部分でした。
チャー
今まで以上に歌を意識してアレンジを考えていけたと思います。今までの自分たちの踊らせたい意識と、いろいろなアレンジの混ぜ方ができることが新しい発見でした。
有安
バンド全体では今までと違うアレンジをいろいろ試せたのは収穫でした。意識していろんな聴かせ方を狙えるようになったし“ドラムの音色と全体のノリの関連性”に対して理解が深まったのは大きかったです。これからの制作にも活かしていけると感じています。
『STAR SIGNAL』はどのような一枚になったという実感がありますか?
吉崎
サウンドは結構男臭いですけど、自分にとっては近所迷惑にならないよう車の中で凍えながら作曲した思い出が蘇る、甘酸っぱい作品になりました。
有安
より歌を聴いてもらえる、より歌詞の届く作品に仕上がったと思います。
リリース後は3月1日に初ワンマンライヴとなる『今夜は100万ドル』を渋谷TSUTAYA O-WESTにて行ないますね。
吉崎
バンド結成して丸3年、俺たちはこれからも音楽を続けるんだ、っていう決意表明になるライヴをお客さんに観せたいです。
チャー
とにかくお客さんに楽しんでもらえる、一緒に踊ってもらえる感じになるようにしたいです。そのためには自分たちが心から楽しめるライヴにしようと思っています。一緒に踊りましょう!
アーティスト
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