【UROBOROS】人の力が加わることで新
しいものが生まれる
L→R 中村泰造(Ba)、上木彩矢(Vo)、大村孝佳(Gu)、黒瀬圭亮(Composer&Manipulate)、笹渕啓史(Dr)
元Asrielの黒瀬圭亮(Composer&Manipulate)がトータルプロデュースと全作曲を担当する新プロジェクト、UROBOROS。その結成の背景と、楽曲の方向性を首謀者の黒瀬と、久々の音楽シーン復帰となった上木彩矢(Vo)のふたりに語ってもらった。
取材:帆苅智之
UROBOROSはバンドのサウンド面は基より、ビジュアル面、デザイン面を含めて、全てを黒瀬さんがハンドリングするプロジェクトという捉え方でよいのでしょうか?
黒瀬
いや、基本的な世界観の構築であったり、サウンド面での方向性であったりは僕が叩き出しますが、自分だけでは出てこない才能っていっぱいあると思うので、いろんなクリエイターやアーティストと協力して、その辺をどんどん混ぜ合わせていくというスタイルですね。“俺のやりたいことが全部正しいんだ”という俺様な感じでやるつもりはなくて、自分が思い描いていた軸みたいなものに対して、いろんな人の力が加わっていくことでどんどん新しいものが生み出せるんじゃないかなと。
局面々々でベストなクリエイター、アーティストと組み、しかもそこでディスカッションを重ねながらかたちにしていくということですね。
黒瀬
そうですね。バンドメンバーはもちろん固定したいと思っているのですが、一緒にものを作っていくクリエイターの方々とは作品の色やテイストに合わせて、“こういう人のほうが合うんじゃないか?”と自分が舵を切ってやっていこうとは思っていますね。
上木さんと黒瀬さんとの出会いはどのような感じだったのですか?
黒瀬
(バンドメンバーの中で)上木は一番最後に決まったんですよ。ヴォーカリストについて僕が思う条件や要求するものをレーベルの方たちに話したら、“そんな人、いるの!?”って言われて(苦笑)、ヴォーカリストを決めるのは時間がかかるかなと思っていたんです。そんな中で上木を紹介してもらって、直近の楽曲を聴かせてもらったら、“この人以外にないでしょう!”くらいにはまりが良かったんですよ。で、“これはもう一緒にやるっきゃないでしょう!”って。
上木さんは最初に話をもらった時はどうでしたか?
上木
その時、私は舞台をやっていて、音楽活動をまったくやっていなかったんです。音楽活動を再開するにはいろんなタイミングがあると思っていたので、運に任せて…というわけではないですけど、“なるようになるでしょ”みたいな気持ちで、その間に新しいことに挑戦したり、“音楽以外でのスキルアップをしておこう”という生き方をしていたんで、“ついに来たか!?”みたいな感じでしたね。マネージャーから電話があって、“どうする?”って言われて、“やる!”って即答でした(笑)。
そもそもメジャーレーベルでも活動していた上木さんが音楽からフェードアウトしていたのはどうしてだったのですか?
上木
私、デビューが16歳で、感情が揺れ動く時期にいろいろなことをギュッと凝縮して経験してしまったので、要は疲れたんだと思います。どういうものを作っていいかも分からなくなったし、こうしたい!というものも作れないというところで八方塞がりになって、音楽が楽しくなくなっちゃって…いろんなことがモヤモヤしていましたね。大人たちとの意見が合わなくなってきて、求めている目標のラインが分からなくなって、それはその時にはどうにかできることではなかったし、“もう止ぁめた!”って感じでした(苦笑)。
いろんなしがらみで業界に嫌気が差したと? とはいえ、音楽に対する欲求はどこかでずっとくすぶり続けていたわけですね。
上木
それはありました。最初の2年間くらいは“もう(音楽は)いいや。私はミュージカル女優になる!”って思ってたんですけど(笑)、知り合いのミュージシャンのライヴを観せてもらったりすると、やっぱりビリビリくるんですよ。“あぁ、自分も音楽をやりたいな”って。
なるほど。1stミニアルバム『ANOTHER ARK』にも収録されているシングルチューン「Black Swallowtail」、この歌詞は言わば“I can get no satisfaction”といった内容だと思うのですが、今話してもらった上木さんの半生と重なっているという解釈もできそうですね。
上木
UROBOROSの歌詞は黒瀬さんからテーマをいただいて、そこから書くんですけど、基のサウンドのイメージだったり、カラーだったりが自分の経験してきたことに近いんだと思います。
黒瀬
「Black Swallowtail」は不死な者の想いを乗せたいと思っていて、(上木に)それをうまく表現してもらいたいという話をしたのですが、出来上がったものは一発OKでした。テイストもいいし、文字のはまりもいいし、何も言うことがなかったです(笑)。
上木
あと、黒瀬さんも私も愛だの恋だのっていう歌詞が好きじゃないんですよ(笑)。そこは似ていると思います。
黒瀬
それはありますね(笑)。
上木
今回収録されている「十二夜」は愛の歌だから、それがまったくないわけじゃないんですけど。
黒瀬
どちらかと言うと、自分自身に対して言い聞かせるようなテーマが多い気がしますね。感傷に浸ったり、自責の念に駆られたり、“自分の内なるものを発していこう”という想いだったり、そういうものが曲にもあるんですけど、歌詞も同じようなテイストで、はまりはすごくいいと思います。
上木
(歌詞のモチーフは)おそらく裕福な生活をしてきた人たちではないと思うんですよ。人生で悔しい思いをしてきた人だったり、“自分はマイノリティーなのか?”と思う人だったり。自分自身もいろんな経験をしてきて、悔しい思いもたくさんしてきたので、すんなりそういう言葉をチョイスしたんでしょうね。恋愛の歌詞も素晴らしいんですけど、それを担当する人はいっぱいいるから、私たちは“生きるということとは?”とか、そういうことをメッセージとして伝えていけたら…と思っています。
それはおふたりのロック観が近いということでしょうか?
上木
(※黒瀬に向かって)悔しい思いをしてきてるでしょう?
黒瀬
メチャクチャしてきてる(苦笑)。僕、見た目も話し方もこんなですけど、反骨精神の塊みたいな感じですから(笑)。
いつも中指立ててますか?(笑)
黒瀬
心の中で…ですけどね(笑)。
上木
(笑)。その辺でお互いに近い部分があるから、曲のテーマもすんなり自分の中に入ってくるし、私もすんなり表現できるんだと思います。
サウンドはまさにそんな黒瀬さんの反骨心の表れでしょうか。全てのパートが前のめりでせめぎ合っていて、どこか生き急いでいるような印象すらありますよ。
黒瀬
僕、ビジュアル系が大好きで、ビジュアル系の音楽で育ったんですが、あの方々の音楽って大体生き急いでいるじゃないですか。その感覚が身体に染み付いているのかもしれません。
上木
歌うほうも必死ですよ。速くて、“これ、どこで息継ぎをするんですか?”みたいな感じですから(笑)。絶対に適当には歌えない。だから、今回のレコーディングは“かかって来いや!”みたいな気持ちでした(笑)。
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