【DAOKO】新機軸はDAOKO流の渋谷系リ
バイバル
3月に1stアルバム『DAOKO』でメジャーデビューを果たし、18歳の天才ラップシンガーとして注目を集めるDAOKOが、1stシングル「ShibuyaK / さみしいかみさま」をリリース。楽曲・ビジュアル面を含め彼女自身が踏み込んだ新たなフェーズとは?
取材:小林“こばーん”朋寛
3月にメジャーデビューをしてから、いろいろ変化があったと思います。ライヴも増えて、人前に出ていくことが増えましたよね。その中で自分自身の新たな部分に気付いたりすることは?
インディーズ時代は顔も隠して、わりと好き勝手にやらせてもらってたんです。ある意味、自己満足とでも言えるような気持ちで。それが逆に伸び伸びと活動できていた理由でもあるんですけど、メジャーデビューしてからは、もう少し形式的になってきたというか。自分自身の人生の上に音楽が乗ってきて、そういうことに向き合った時に、もっと人とコミュニケーションをとりたいという気持ちが芽生えてきました。だから、ライヴもどんどんやりたいと思うようになりましたね。DAOKOをいかに世の中に伝えていくかという意味では、ライヴは効果的な方法のひとつでもあるので、そういうことをちょっと俯瞰的に見ている感じです。
1stシングルはまず“ShibuyaK”というタイトルにドキッとさせられました。楽曲はORESAMAの小島英也さんが担当していて、シティポップのニュアンスがありつつ、90年代を彷彿させるサウンドなのですが、最初に聴いた印象はどうでしたか?
私自身、90年代の音楽はちょっとテレビで聴いたことがある程度だったから、逆にすごく斬新に聴こえました。たぶん私と同じ世代の人たちは新鮮に感じると思うし、90年代をタイムリーに経験している人は、きっと懐かしいと感じてくれると思います。
今までのDAOKOさんの音楽にはなかったダンスミュージックでもありますよね。
こういうスタイルは初めてで、しっかり意識しないと作れなかったと思います。メジャーデビューをしてからは、いろんな音楽をやってみたかったので、革新的だけど新たな一歩としては面白いものになりましたね。
DAOKOとしても初めての試みだし、さらに言うとこういう直球のダンスミュージック自体が今のシーンでもすごく新しいです。
どんな人でも乗れるようなサウンド作りをすることで、“踊れる”っていう部分は意識しましたね。
歌詞は渋谷の街を描いていますが、DAOKOさんにとって渋谷はどういう街ですか?
歌詞を書くにあたって、渋谷に向き合うために街の風景の写真を撮ってみたり、ちょっとした詩を書いてみたり、いろいろ調べてみたりする中で気付いたこと、感じたことがあって。踏み込んでみると渋谷って、“生き物”っぽいなと思ったんです。物とか人が右往左往して、入れ替わり立ち替わりしているような。場所によってもいろんな顔を持っているし、常に最先端だなと感じるし。歌詞はそういう表情を捉えながら、エモーショナルでセンセーショナルなものにしたかったんです。サウンドは新しいんだけど、DAOKOらしさもしっかりと入れたかったんですよね。
2曲目の「さみしいかみさま」もダンスミュージックなのですが、今までのアブストラクトなヒップホップとある種対極にあるようなポップさがありますね。
今までは“ポップさ”みたいなものは特に意識していなくて、自然と出てきたものがポップになったりということはあったんですけど、今回はより意識的にポップなものに向かっていくという思いがあって、その中で自分らしさをどの程度組み入れていくのかをすごく考えました。自分の中で消化し切れていない部分はありつつも、探りながら、掴みつつという感じなんですけど。
ポップな部分というのは、今までの自分の中にあったものですか?
自分の耳心地の良いものを選び抜いていったものが結果的にポップなものになっていくので、おそらく自分の中にあったんだと思います。メロディーにしても歌詞の言葉にしても、自分なりの分かりやすさ、すっと入ってくる部分に対して意識的でしたね。
インディーズの1枚目のアルバム『HYPER GIRL -向こう側の女の子-』の1曲目に、「向こう側の女の子」という自分自身に問いかけているポエトリーリーディングを収めたトラックがありましたが、あの世界観が如実に表しているように、DAOKOさんの歌詞ってすごく自分自身を客観視しているものが多いですよね。シングル3曲目の「ゆめみてたのあたし」はまさにそういう内容で。
確かにもうひとりの自分がいつもいるような感覚はありますね。書いている時は全然意識していないのですが。『HYPER GIRL -向こう側の女の子-』を出してからの3年間ですごく変化はしたんですけど、根本的な感性は変わっていないと感じるので、そういうところはリンクしてもおかしくないですね。
DAOKOさん自身が“DAOKO”というアーティストをセルフプロデュースしているような印象ともつながるんですよね。
本名の自分も含まれての想像上の人物ではあるんですけど、ちゃんと作り込んであげたいんです。自分の理想に近づけたいし、求められているものもちゃんと反映させたいという気持ちはあります。インディーズの頃はDAOKOと自分自身の境目がそんなになかったんですけど、学校を卒業してからは音楽ひと筋になって、メジャーデビューをして向き合う時間も増えたことで、DAOKOという存在がより鮮明になったのかなと思います。
ジャケット写真やミュージックビデオではついに顔を出しましたしね。
今まで隠すのが普通になっていたので、めちゃめちゃ不安もあります。けど、今のタイミングが一番良かったかなと。Twitterに長い文章をアップしたんですけど、よりお客さんとコミュニケーションをとって、つながるためには面と向かって接しないと伝わるものも伝わらないだろうということもありつつ。分かりやすさ、ポップなものを突き詰めていくと、顔を見せないとそれは成し遂げられないし、私自身の顔もDAOKOのひとつの要素として捉えてもらえればいいかなと思います。今回、インストアライヴで全国を回るので、はじめましての挨拶も含めて、たくさんの人に会えるのを楽しみにしてます。
アーティスト
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